第26話 Chapter(章) 24

 翌朝……。

 バリスタン山のいつもの岩山とは別の場所、巨人の槍に4人は登って来た。


 「ここが巨人の槍⁉︎凄い岩ね。」

「地面から巨人が槍を突き立ててるみたいね。」


 「2人共。今日はここで鍛練よ。先ずは2人のシンクロを見せてもらおうかしら。レイラはママにシンクロして、ライラはガムにシンクロよ。今日はママの剣を持ってきてあるから、ママとガムで戦うところまで。ガム、お互い危なくなったら、彼女達のシンクロを解きましょう。」

「かしこまりましたミランダ様。」


 「じゃ、2人共。出せるパワーをフルに使ってママ達にシンクロしなさい。」


 姉妹は今出せる限りのパワーを使いシンクロに挑んだ。

周囲の空気が張り詰め、姉妹の髪色が変わると、近くの木々や草花を揺らす。


 ミランダとガムはシンクロによって操られた。

 2人は剣を抜き、相対する。

鍔迫つばぜり合いから身を翻し、再び剣を交わす。剣から火花が散るほどだ。

ミランダとガムが距離を置いたところで2人はシンクロを振り払った。


 「はい、ここまで。レイラ、ライラ、よくここまで上達したわ。素晴らしいパワーよ。もう2人の状態は上級の域に達していると感じるわ。」

「えぇ。2人のパワーは上級域にあると確信しましたよ。」

「少し休んだら、ママのシンクロを披露するわね。」


 姉妹はその場で寝そべり、一休み。ガムは煙草を燻らせている。


 雲の影が4人を通り過ぎ、鳥のさえずりがやけに耳に聞こえてくる。

まもなくしてミランダが口を開いた。


 「さて、始めましょう。先ずはレイラ、少し離れて立って。ママのシンクロを振り払うのも試してみるといいわ。」


 レイラは立ち上がり、ミランダと距離を取った。

ミランダがシンクロを使うと、髪色が変わると共に、身体中にオーラがまとった。

操られたレイラは、剣を抜き、左右に振りかざしたり、飛び上がり縦斬(たてざん)。バック宙から剣を振りかざし、後ろに飛ぶ。

そして剣を鞘に収めた。


 「最上級のシンクロ術式、パワーブースト=シンクロ=テク。ママのパワーを感じ取れた?振り払おうと試みた?」

「ずっと振り払おうと頑張ったけど、全く抵抗出来なかったわママ。もの凄いパワー……途中から恐怖すら感じた。」

「忘れずにしっかり鍛練するのよレイラ。じゃあライラ、レイラが立っていたところに立ちなさい。」



 ライラはレイラが立っていた場所まで来ると、ミランダのシンクロが始まった。

レイラと同じ事を繰り返したミランダ。

ライラも同様に振り払う事は出来ないまま、剣を鞘に収めたところでミランダのシンクロは終了した。


 「これが最上級術式なの?全く振り払えなかった。もう完全に操り人形みたいだったわママ。」

「2人共、感じたパワーを忘れないで。あなた達ならやがては達する事が出来るわ。日々鍛練する事。」


 ……尋常ではないミランダのシンクロ。最上級術式のパワー……。このパワーを遠く離れた場所で、妖魔神グランダは感じ取っていた。


 「んっ!こ、この気配。あ、あの魔道士のものに違いない。……バリスタン山か……フフフッ。復讐の時は近い。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る