第24話 Chapter(章) 22

 ようやく岩山のいつもの場所に着く3人。


 「さて、少し離れて。……うんその位離れれば良い。レイラとライラは交代にシンクロし合って、相手を操る事から始めよう。まずレイラ。ライラにシンクロしたら、剣を抜いて振りかざす。そして剣をさやに戻すところまでやってみて。僕はパワーを感じているから。」


 レイラはライラに向かい、シンクロを試みる。

「要領が分からないかな?では、ライラと交代。」


 今度はライラがシンクロを試みる。


「……2人共シンクロの本質を理解出来ていない様だね。2人共僕の方を向いて。これから僕が2人にシンクロする。その時、身体に感じるパワーを感じ取る事。じゃ、始めるよ。」


 ガムの髪の色が変わり始めると、まずレイラにシンクロを始めた。

やがて、レイラは剣を抜き、左右に振りかざすと剣を鞘に戻した。

 次にガムはライラにシンクロする。

ライラは、レイラ同様の動きを見せた。


 「2人の身体に何か感じただろう?」

「ガムさんの気配が身体全体に広がる感じがして、自然に身体が動いたわ。」

「私もレイラと同じ感覚。乗り移られた感じ。」

「ガムさんの気配だけなのに強い力で動かされてた。」

「私も。ガムさんのその力がシンクロのパワーって事ですか?」


 「2人共、その通りだよ。しかし今の君達はシンクロを振り払おうとしていない。相手が妖魔だったら抵抗してくるから、パワーもそれなりに強くしなければすぐに振り払われる。シンクロは部分的に使うのは難しい。最上級のシンクロがそれだよ。シンクロは、リンク系魔術の基礎なんだ。相手の魔術を自分の意識と同期させ、同じ術式を放つ、又は使用する事が可能になる。下級術式はシンクロ。上級覚醒するとパワーブースト=シンクロフル。最上級術式ではパワーブースト=シンクロ=テク。リンク系同様に単独で上級、最上級術式の覚醒はない。全て複合魔術により最上級まで進化するんだ。最上級魔術では、相手を操る事まで可能な特殊な魔術だが、相手が強ければ、すぐに気付かれ振り払われる事がほとんどなんだ。」

姉妹はガムの言葉をメモしている。



 「と言うことは、リンクとシンクロの最上級術式は他の術式を最上級まで覚醒出来なければならない訳ですね。」

「その通りだよレイラ。でも慌てちゃいけない。順に覚醒していけばいい。心配無い。2人共既に上級術式のパワーを持ってる。それを活かせばシンクロもすぐに上級覚醒出来るさ。」

「うーん、先はまだまだ長いのね……。」

「大丈夫、ライラ。自信を持って。君達なら出来る。……さぁ、僕のお手本を思い出して練習開始!」


 2人は少し離れて向き合うと、交代に意識を飛ばした。


 陽が高くなる頃になって、ようやく2人は互いの腕を操り、剣を抜くところまで上達した。


 陽が傾いてくる頃には、互いに剣を振りかざし、鞘に戻すまでマスター出来る様になったのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る