冬霞

「起立、礼。」


その次に生徒数人が

「ありがとうございました」と

放るように言っているのを片耳に、

鞄を持ってすぐさま

教室から駆け出した。


別に走らなくても

何とか間に合う時間には

してあるはずなのだが、

気持ちが急いでしまって仕方がない。

もたもたとしていられず、

体が勝手に動いたようだった。


結華は今頃部活の顧問の先生に

休みますと連絡をしている頃だろうか。

それとも、もう既に

茉莉と同様帰路を辿っているのだろうか。


茉莉「は、はっ…。」


風を切る、切る、切る。

前髪なんてぐちゃぐちゃに

跳ね回っているだろう。

側から見れば、

まるで3連休が楽しみすぎて

やまない子供か、

用事に遅れそうで仕方がない学生かだろう。

生憎両方でもないのだけど、

周りのことを気にしていられるほど

茉莉も茉莉で余裕がない。


慌てて家に帰ると、

玄関先に置いてあった荷物に

足を取られそうになった。

足を大きく踏み出すと、

鈍く重たげな音がする。


兄ちゃん「おいおい、賑やかだなあ。」


茉莉「あ、ごめん。」


兄ちゃん「後何分後に出りゃいい感じ?」


茉莉「走って帰ってきたし、時間は少しあるよ。40分後…とか、それくらい。でも早く出ようかなって。」


兄ちゃん「そうだな、大事大事。」


茉莉「茉莉と真反対で落ち着いててなんかムカつく。」


兄ちゃん「何でだよ理不尽な。」


そう言って兄ちゃんは笑っていたけど、

茉莉の耳にはうまく

滑り込んできてくれない。

荷物は昨日散々確認したから

大丈夫のはずで、

チケットも持ったし、お金も持った。

久美子さんたちへのお土産だって

鞄の中に入れた。

他に忘れ物はないかと

家の中を右往左往しながら考える。

今だけは随分と

時間が過ぎるのが遅かった。


兄ちゃん「まあそう焦んなよ。」


茉莉「うん。そうしたい気持ちはある。」


兄ちゃん「そわそわするのはわかるけどさ。一緒に行く友達もビビっちゃうだろうし。」


茉莉「肝座ってる子だし多分平気。」


兄ちゃん「そっか。俺とは何度か一緒に新幹線乗ってたけど、友達とだと心配とかあんのかなって。でも大丈夫そうだな。」


茉莉「辿り着けはすると思うよ。…多分。」


兄ちゃん「道中くれぐれも気をつけろよ。」


茉莉「言い方が何かなぁ。彼氏か何か?」


兄ちゃん「ばーか、兄だよ。」


落ち着こうとスマホを見たり

テレビを見たりしている間に

どうにか時間は進んでくれて、

家を出てもいいくらいの時間になった。

出る直前、もう1度スマホを見てみれば

一件の連絡が入っている。

見ると、どうやら陽奈からのよう。


陽奈『一緒にいけなくてごめんなさい。茉莉ちゃんなら見つけられるよ…!頑張ってね。』


そう、いってらっしゃいともとれる

彼女の優しさがそこにあった。

大丈夫。

見つけられる。

そう言ってもらえると

本当に見つかるような気がして、

心が温かくなるような気がする。


ある一種の決意を胸に

玄関先の荷物を再確認する。

大丈夫。

よし、髪も結んだ。

これまで自分はあまり心配性だと

思ったことはなかったけれど、

どうやらそんなこともないようで、

何回確認したって

安心できないのではないかとすら思えた。

見つけられますように、

会えますようにと願いながら

荷物の詰まった鞄を持って玄関に立つ。


兄ちゃん「もう行くんか。」


茉莉「うん。」


兄ちゃん「じゃ、おかんたちによろしく。」


茉莉「うん。」


兄ちゃん「あはは、そんな緊張すんなって。」


だしん、と肩を叩かれる。

荷物が多いせいもあって

負荷がかかるのがわかった。


兄ちゃん「ただの東北旅行と思って行ってこい。」


茉莉「…うん、そうする。」


兄ちゃん「よし、よう言った。気をつけてな。」


茉莉「うん。行ってきます。」


兄ちゃん「いってらっしゃーい。」


兄ちゃんは日々

学校へ送り出すときのような、

いつもの声のトーンでそう言った。

特別な場所に行くのではなく

ただ近くのスーパーに行って

引き返してくるような気持ちになる。

そして意を決して

玄関から1歩踏み出した。

そこは変わらず神奈川の冬だった。


早めに家を出たものだから、

横浜駅に着くも結華の姿はなかった。

彼女と顔を合わせたとき、

第一声は何になるのだろう。

ひと言も喋らなかったりして。

はたまた案外普通に話したりして。

結華としては

茉莉が嫌っている…苦手に思っていることは

知っているのだろうか。

ツイートを全て見られていたら

知っているだろうけれど…。

だが、きちんとした生活を送っている

といったツイートをしており、

それを信じるのであれば

やはり真面目な方なのだろう。

茉莉であれば

週末は夜更かしするのだから。


真面目な彼女が

…個人的には人間性を欠いている彼女が

個人的用事を全てそっちのけで

茉莉の旅に付き合ってくれるなんて

考えても見なかった。


次、東京駅に向かう電車のある

改札の近くで待っていると、

小さなキャスターを引いた

制服のままの彼女が来た。

肩を越すくらいの髪を

縛らずそのままにしている。

まずひと言。

それが異様なほど

難しくなっていくように思われた中、

さらりと彼女は口を開いた。


結華「ごめん、遅れた。」


茉莉「んーん、ってか全然集合時間前だし。」


結華「着替えてくる時間あったんだ。」


茉莉「学校から家まで全力ダッシュしたから時間があって。」


結華「なるほど。」


茉莉「まだ時間あるしどっかで着替えてくる?」


結華「東京に着いてからでいい。」


茉莉「いいの?」


結華「逆にここで一本逃して新幹線に遅れるかもって状況の方が嫌でしょ。」


茉莉「それはまあ…確かに。」


結華「さっさと行こ。」


茉莉「うい。」


毎日通学の時間に

電車に乗っているものだから

満員電車にはある程度

慣れていると思っていたけれど、

実際そうなってみれば

やはり大変だと思う他ない。

帰宅時間や退勤時間に

そろそろ当てはまって来たのだろう。

制服の人やスーツを着た人、

おしゃれなオフィスカジュアルっぽい

服装をしている人など、

多くの人が視界に入る。

荷物が多いこともあり

身動きが一層取りづらく、

スマホをいじるにも何だかひと苦労。


30分ほどしか電車に乗っていないはずが

1時間以上も乗っていた気分になる。

東京駅に着いて早々

少しばかりは時間がありそうだったもので、

各々着替えたり

お手洗いに行ったりと準備をした。

2時間動けずじまいになるのだし、

何かしら暇つぶしを

もってこればよかったなんて微かに思う。

スマホひとつあれば

十分だと思っていたけれど、

実際暇すぎて結局寝ることしか

できないだろう。


お腹も空いておらず、

茉莉は飲み物以外買うこともなく

そのまま新幹線に乗り込む。

結華も私服に着替えては

キャスターを転がして

隣の席に座った。


結華「この時間も意外と人いるんだ。」


茉莉「ね。」


結華「うん。」


元から話しかけなくてもいい、

気を遣わなくていいことを

アピールしていたけれど、

いざ蓋を開けてみれば

普通に話しかけてくる。

独り言にしてはやけに大きいから

話しかけている…と思っているけれど。

その割には今のように

ぷつりぷつりと切れる会話が多かった。

互いに時間に

焦っていたこともあったのだろう。

確認事項やら改札、座席の場所やらの話しか

していなかった。

こうして座ってゆっくりできる2時間が

目の前で横たわっていると、

どう調理すればいいのか

わからなくなるのも当たり前だと思う。


時間になり、新幹線は緩やかに

その車体を前進させ始めた。

暖房の籠った空気と振動が

睡魔を呼び寄せている。


結華「そういえば。」


茉莉「うん?」


結華「親族探しに行くんだっけ。」


茉莉「そう。」


結華「叔母さんとか?」


茉莉「そんな感じ。」


結華「そうではない感じか。」


茉莉「言葉のあやじゃん。」


結華「そうかもね。で、どの辺に住んでるとかもわからないと。」


茉莉「そう。名前とかも全部。」


結華「また無謀なことを。」


茉莉「確かに今思えばそうかも。」


結華「もう少し前から思ってて欲しかったけど。」


茉莉「今更しょうがないよ。」


結華「新幹線に乗っちゃあね。見つけられる算段はあるの?」


茉莉「…正味、難しいだろうなと思う。糸口がひとつしかないから。」


茉莉が昔いた児童養護施設には

久美子さんが事前に

連絡を入れてくれたらしく、

どうしても茉莉の足で

そこに行きたいと伝えたところ、

快諾してくれた、と言う。

お母さんが直接施設へ入れたのなら、

そこに少なくとも

個人情報はあるはずなのだ。


別に施設には電話だけで

済ませればよかったのだろうけど、

羽澄と過ごした、

また、幼少期を過ごしたらしい場所を

この目で見たかった。

朧げな記憶をかき集めて、

どうにかその場所にいて、

ちゃんと思い出もあったことを

大切に抱えるように

思い出したかったのだと思う。


結華にはここまで

詳しい事情は話していないもので、

「ふうん」と相槌を打っている。


結華「糸口はあるんだ。」


茉莉「ある。だから、ちゃんと見つけられる…ちゃんと見つける。」


ふと、陽奈からのメッセージを思い出す。

大丈夫、見つけられるよの

たった数文字の言葉を。


妙に耳に血が行き渡り、

頬や目元が暖かくなるような気がした。

それだけでどれほど

救われたような気持ちになれたろう。

大丈夫だよ、信じて進んでいいよと

前進するための許可を

得たような気になっていた。


茉莉「陽奈に言われたんだ。きっと見つけられるって。」


結華「何それ。」


茉莉「…。」


結華「それを頼りにここまで来てるんじゃないよね?」


茉莉「…それだけって分けじゃないけど、でもものすごく支えになってる。」


結華「今すぐやめなよ、それ。」


茉莉「何で。」


結華「見つけられなかった時、あんたが奴村さんのせいにしそうだから。」


茉莉「そんなこと…」


結華「見つけられるって言ったじゃんって、嘘つきって言わない確証はないんじゃない?見てる感じ、今のあんたって不安定そうだし。」


確かに、と思ってしまった自分がいて

妙に悔しくなる。

嘘つき、とまでは言わないにしろ、

見つけられるって言ってたじゃんと

他責にしてしまう可能性は0じゃない。

茉莉は周りの人みたいに

できた人間じゃなくって、

幾つになっても責任を取りたがらない

子供でしかないから。


結華「何に焦ってるのか知らないけど、探し人だって事実だって何もかも全て逃げていったりしないよ。」


茉莉「逃げてたら?」


結華「そういうところが面倒くさい。」


茉莉「…くはは、確かに。」


結華「人に希望乗せたり委ねたりして生きると後が辛いよ。」


茉莉「経験者みたいな言い方。」


結華「妄想はご自由に。」


茉莉「あーあ、可愛くないんだー。」


そう言うと、ふん、と

鼻を鳴らして

そっぽを向いては

スマホをいじり出した。

やはり脳裏にはこの仕草からだろうか、

渡邊さんを思い出す。

やはり苦手な人の傾向は

こう言ったタイプらしい。


新幹線に乗って数十分。

時に会話っぽいそれを

する時もあったけれど、

多くは3歩歩くほどの会話しかせず

隣同士で座っていた。

かと言って互いに眠ることもせず、

スマホを見たり外を見たりしている。

気を遣わなくていいと言われたものの、

それとなく気になってしまって

気づけば声をかけていた。


茉莉「ねえ。」


結華「ん、何か?」


茉莉「部活、本当によかったの?」


結華「今更?」


鞄からカサカサと

プラスチックっぽい音を鳴らしては

スティックパンを取り出していた。

既に夕刻であるし、

ここからさらに新幹線で

2時間はかかる。

空を見てみれば、

緋色が退き始めており、

紺色と黒色の狭間へと

送り込まれるであろう今の時間が

それとなく想像できる。


結華「私は平気。パートは覚えたし、あまり批評が入ることもない。」


茉莉「へー。パート?」


結華「オーボエのね。」


茉莉「あれ、吹奏楽部?」


結華「そうだけど。」


茉莉「ん?悠里がそうだったのは知ってるけど、そっちも入ってたの?」


結華「夏休み明けからかな。悠里が復帰するのと同時に入部した。逆に何だと思ってたの。」


茉莉「…文芸部とか?」


結華「まあ言いたいことはわかるけど。」


茉莉「半年くらい?」


結華「それくらいかも。もうそんなに経つんだ。」


茉莉「だって2月も半分くらい終わるもん。」


結華「確かに。」


茉莉「半年でそんな上手くなるもんなの、楽器って。」


結華「さあ。私の場合は、かもね。」


茉莉「うげー。」


結華「何その反応。」


茉莉「なんかなあ、鼻につくなあってだけ。」


結華「まあなんとでも言えばいいけど。」


茉莉「そういうとこだよ、そういうとこ。」


結華「毎晩練習してレギュラー取ったんだし文句ないでしょ。」


茉莉「茉莉は元から文句はないけどねー。」


結華「はあ。」


茉莉「でも、気まずくなったりしないの?先輩のポジション奪った感じなんだったら尚更。」


結華「いいや別に。」


茉莉「強い。」


結華「だって努力してその力と価値を評価されたんだから、恥じることも後ろめたさを感じることも何もない。」


茉莉「…なんか、あれだね、あれ。」


結華「何。」


茉莉「自己愛…いや、自己肯定感高いんだ。」


結華「そうかもね。」


茉莉「いいなぁ、なんか。」


結華「急に何、気持ち悪い。」


茉莉「だって、楽器を半年で身につけちゃうくらい才能もあるし、頑張ろうって思えるような気持ちの強さもあればちゃんと努力できる。それに…まあ、愛嬌ある顔してるし。」


結華「最後は結局顔かよ。」


茉莉「くはは、違う違う。ほら、よくいうじゃん。容姿端麗、頭脳明晰、なんとかかんとかって。」


結華「まあ、なんとなくわかったけど。」


茉莉「だから…うーん、辛いことがないってわけじゃないんだろうけど、茉莉の持ってないものたくさん持ってていいなあってだけ。」


結華はパンの袋をようやく開いて

「ふうん」とだけこぼした。

それから、何を言うわけでもなく

パンをひとつこちらに渡してくる。

想像外の出来事にきょとんとしていると、

何を思ったのかこちらを睨んでは

マスク越しなのに

口を目掛けて突っ込もうとしてきた。

ありがとうと言うにも

なんか素直に言いたくなくなってくる。

けれど、不貞腐れた顔をしながら

「ありがと」と小さく口にした。

今だけはこの感謝が

新幹線の轟音でかき消されているよう願う。


彼女はパンをひと口頬張り、

しっかり飲み込んでからまたくちを開いた。


結華「あんたはないものねだりすぎ。」


茉莉「やっぱりそうかな。」


結華「間違いなく。」


茉莉「逆に何がほしいとか思ったことあるの?」


結華「化粧品とか美容液とか。」


茉莉「うわ、大人っぽい!…ってそういうんじゃなくて。物欲っていうより…うーん。」


結華「形にできないもの?」


茉莉「そう。顔は形ではあるけど…。」


結華「遺伝子的なものと思えば想像はしやすいし。」


茉莉「ま、そんな感じのニュアンスで。なんかあったりすんの?」


結華「…うーん。」


その言葉を最後に、

パンを齧っては飲み込み、

もう1度「うーん」とこぼしては

またパンを頬張っていた。


ふた口目を食べようとしているのを

ぼんやりと眺めていたが、

それで会話は終わりなのかも知れないと思い

茉莉もようやくパンを齧る。

チョコチップの甘い風味と

パンを焼いているような特有の香ばしさが

鼻と口をくすぐった。


結局6本入っていたパンは

彼女の好意で半分ことなった。

袋の中が空になり、

ゴミを片付けていると

唐突に彼女が口を開く。


結華「思いついたら言う。」


茉莉「わ、それくらい今に不便してないんだ。」


結華「そっちだって不便はしてないでしょ。」


茉莉「うーん、まぁ…。」


結華「あんたは十分幸福だと思うけど。」


茉莉「そう、かも。うん。この旅の件でもやもやすることはあったけど、解決っていうか…ひと段落したら、この先は受験とか…自分の未来のことを見れる気がする。」


結華「ふうん。今まで未来見えなかったんだ。」


茉莉「過去ばっか見てたかも。やりたいこともないし。」


結華「やりたいことも、ねぇ。」


茉莉「そこも羨ましいポイントなんだよね。」


結華「あぁ、私の?」


茉莉「そう。楽器してるし。なんかあれじゃん、昔バーチャルシンガーしてたじゃん。」


結華「楽器っていうか吹奏楽部に入ったのは悠里のため、バーチャルシンガーの活動は悠里に誘われただけ。」


くしゃくしゃと最後に音が鳴る。

そしてそれ以降、

新幹線独特の新品そうな、

はたまた使い古されたようなシートの香りと

囂々と唸る音だけがこの空間を支配する。


結華「やりたいことは私もない方だよ。やんなくちゃって思ってやってることばっか。」


茉莉「へー、茉莉からすれば十分幸せな環境に見えるけどなぁ。」


結華「ないものねだりか。」


茉莉「それだなぁ。」


結華「…あんたも不遇っちゃ不遇なこと、ひとつあったね。」


茉莉「ひとつだけか。」


結華「4月だっけ、5月だっけ。別世界線と入れ替わっちゃったこと。」


茉莉「あー…ね。」


結華「あんたが曲を作り続けてる未来も見てみたかったけど。」


茉莉「大して興味ないくせにー。」


結華「有名になったらオリジナル曲を作ってって依頼しようか考えるくらいにはあるけど。」


茉莉「有名にならなくちゃ意味ないね?」


結華「まあ。」


茉莉「まったくー。そっちも歌、続けりゃよかったのに。」


結華「活動は3月で終わりって決まってたの。」


茉莉「高校生になるから?」


結華「そう考察してもらって構わないけど。」


茉莉「マジで受け答えが可愛くない。」


結華「はいはい、顔は可愛いのね。」


茉莉「否定はしない。」


結華「可愛いって言やいいのに。」


茉莉「うぜー。でも、活動楽しかったんじゃないの。」


結華「楽しかったよ。だから元々始めない方がいいって思ってた。」


茉莉「…んーっと、どう言うこと?」


結華「辞めるってわかってて始めるものほど虚しいものないでしょ。辞める時期まで決まってて。」


茉莉「あーね。楽しければいいんじゃないって思っちゃうけど。」


結華「そう?」


茉莉「思い出増えるのいいことじゃん。人生経験にもなるし。」


結華「そう思えるならいいんじゃない。」


茉莉「思ってないの?」


結華「んー…せっかくやるならもっとやっていたかったし、中途半端で始めるのは何だかね。」


茉莉「完璧主義的だなぁ。でも一緒に活動しようって誘われてやったんでしょ?」


結華「そう。」


茉莉「矛盾してない?」


結華「悠里が無理矢理過ぎたの。気づけばキャラクターのイラストを依頼してたし。」


茉莉「あははー…さすがだね。」


結華「今となっちゃそのことも忘れてるけど。」


茉莉「あー…。」


結華「虚しい思い出になっちゃった。ちゃんちゃん。」


そう言って鞄を抱えては

眠るようにやや俯いた。

けれど、その瞳は閉じず

細く開いては

地面を酷く冷たい視線で

射るように眺めていたのに気づいてしまう。

そんな顔をするのであれば、

どうしてツイートで

「事故に遭ってよかった」なんて

言っていたのだろう。

誘われて一緒に活動するくらい

仲が良かったのに、

記憶を失った悠里を補助するためか、

部活だって入って

自分の時間を削ってまで一緒にいるのに。

どうして。


理解できない出来事、

そして霞がかった感情と共に

詰まった耳を放置して

また外を眺めた。


しばらくすると、やっとのことで

仙台駅が近づいて来た。

もうすぐで降車となった時、

荷物を棚から下ろす茉莉に

彼女は静かに言っていた。


結華「わかった。」


茉莉「何が?」


結華「間違いがほしい。」


何のことだろうと思い、

鞄を下ろすや否や結華を見る。

何とも思っていなさそうな、

はたまた何か思い詰めていそうな、

感情の読み取りづらい顔で

やや俯きながら言っていた。

彼女が1度深呼吸をする。

肩で息を深く吸っていた。


結華「聞かれててもいいや。間違ってほしい。」


茉莉「うーん、あんま見えてこないけど…人生上手くいき過ぎた?」


結華「そうかも。」


茉莉「完全無欠じゃん。」


からから。

新幹線内の通路を通る。

後ろからは彼女のキャスターの音。


茉莉「でもそれ、なんかね、正解が欲しいって言ってるように聞こえたな。」


結華「真逆じゃん、耳悪い。」


茉莉「ひどっ!なんか、間違いを進み続けているけどそれを正しいんだって暗示をかけながら歩いてる気がする。」


思わず急に立ち止まって振り返る。

やはり能面とまではいかないが

仏頂面をしている彼女がいた。

が、微かに翳りを感じるのは

先ほど彼女の口から

発せられた言葉のせいだろうか。


茉莉「だから、間違って欲しいって願っちゃうんじゃないかな。多分正解だったら軌道に乗ってくれって思うだろうし。あ、あくまで茉莉の意見だからね。」


結華「…。…この世の中の9割くらいは思い込みだって思ってる。」


茉莉「…?」


結華「じゃあ、正解したと、たった今何かが間違ってくれたと思うことにする。」


茉莉「うん。茉莉はよくわかんないけど、それで区切りがつくならいいんじゃない?」


結華「ほんと無責任。」


茉莉「お互いにね。」


結華「私ら相性意外といいんじゃない。」


茉莉「それはないね。名前どうする、不仲コンビ?」


結華「ノリノリじゃん。」


肘で茉莉の腰を1度小突いてくる。

やり返したかったが、

人の波の邪魔をするわけにもいかず、

距離を取られた彼女を睨みつけた。

すると、ちら、と舌を出しては

馬鹿にするように小さく笑った。

こういうところが本当に

結華たらしめる部分だよなと

煽り文句のような言葉が浮かぶ。

それをぐっと飲み込んでは

駅のホームを後にした。


改札口には、年末年始にも会ったばかりの

久美子さんの姿があった。

こちらに気づいては手を振ってくれて、

茉莉もそれに対応するように

手を振り返した。

結華は小さく会釈しているのが

視界の隅で見えた。


久美子「いらっしゃい、よく来たわね。」


結華「こんにちは、槙結華です。数日間よろしくお願いします。」


久美子「こちらこそ茉莉をよろしくね。急なことだったでしょうにありがとう。」


結華「いえ、とんでもないです。」


久美子「自分の家だと思って過ごしてもらって構わないから。」


結華「ありがとうございます。」


さっきまで茉莉の横腹を

小突いてきた人物とは思えないほど

丁寧にそう言っては

「つまらないものですが」と

いつの間に準備していたお土産を渡していた。

まるでヤンキーが猫を拾った時のような、

ギャップのある光景に少々圧倒される。


車窓から見える景色は

白一緒かと思っていたが

どうやらそうではないらしい。

ほぼ神奈川や東京と同様に

1桁以上の気温はあるようで、

降っても溶けていくのだろう。

それでも寒いことに変わりはなく、

上着のポケットに両手を突っ込んだ。


家の中は迎え入れるように温められていた。

つい先月いたはずの場所だからこそ

懐かしさを覚える前に

「ただいま」と声が出た。

毎回帰省時に使っている

普段は使わない棚などを

置いている部屋に向かい、

やっと荷物を下ろす。

冬の旅というだけで

服はかさを増して

重力をとことん増加してくる部分には

うんざりしてしまう。


茉莉や兄ちゃんが帰ってきた用にと

布団は2組あり、

既に畳まれた状態で部屋に置かれていた。

疲れてしまいそこに飛び込むと、

結華は何だか子供を見下すような目で

こちらを眺めていた。


茉莉「なんか疲れた。」


結華「普通に1週間学校あったしね。」


茉莉「そっか。まだ仙台にいる実感ないや。」


結華「明日には青森でしょ。」


茉莉「そう。泊まるところは久美子さんがとってくれたっぽい。」


結華「久美子さん…ってさっきの方よね?」


茉莉「そーそー。」


結華「何から何まで申し訳ない…。あとでまたお礼言わなきゃ。」


茉莉「意外としっかりしてるよね。」


結華「そっちだってよその家に泊まるともなればそうなるでしょ。」


茉莉「そうかも。」


結華は「ほら」とひと言だけ残して

咄嗟にスマホを手に取っていた。


夕食をとり、先に結華がお風呂に入る間

何かしようと思いながらも

何もすることがないと思い知り

布団を2人分敷いては

ただぼうっと寝転がっていた。


お母さんに会ったら聞くことを

何度も脳裏で思い浮かべる。

何で捨てたのか…と、

もし親が離婚していて片親だったら、

もう片方の親はどこにいるのか…であったり

どんな人だったか…とか。

明日は施設に行くのだし、

母親に聞くことよりもまず

施設に聞くことをまとめた方が

いいのかもしれない。

どうして羽澄は逃げ出したのか、とか。

彼女は覚えていなさそうだったし、

結局どうして茉莉は

羽澄に連れられて逃げてきたのか

てんでわからないのだ。

それに、母親の情報はもちろん、

茉莉が逃げて以降

手続きとかどうなったのかを

聞きたいかもしれない。


茉莉は兄ちゃんに拾われて、

そのまま国方の家に入ることになったけれど、

拾っただけで養子縁組が

組まれるわけではもちろんない。

手順など困難を極めたんじゃないだろうか。

しかも、特別養子縁組ともなれば

親権が元の親から移る。

生みの親とはその辺りで

揉めることなどなかったのだろうか。


…なかったのなら。


茉莉「そのくらいどうでもよかったんだろうなぁ。」


ため息混じりの言葉が漏れる。

どうしようもなく重たくって

そのまま眠ってしまいたくなった。


何分が経て、流石に上体を起こす。

明日のための荷物の準備を

し出すとほぼ同時だろうか、

夜が吠えて鳴き止まない。

まるで大きく口を開けている

化け物のようにしか見えなかった。


茉莉「…。」


明日には施設へと出発する。

…なんて、全く実感は湧かない。

だって何年も離れた故郷だ、

茉莉が勝手に逃げて来た故郷だ。

それをのこのこと帰ってきて

すみません母親のことを

教えてくださいだなんて

甚だしいにも程があるとは分かっている。

…その、つもり。

そう、つもりなだけ。

ずっと。

昔からずっと分かってるつもりだった。


茉莉「…はぁ。」


大人になりたかった。

子供のままの自分が嫌いだった。

好きを知ってみたかった。

いつだか自分の好きなものを知りたくて

色々なところに行ってみたり

色々なものを書き出したりしてみた。

でも何にも判るものなんてなく

ただ辛くなっていくだけだったから

すぐに辞めてしまったんだっけ。

今回だって半ば自分探しの旅のようだ。

どうして自分を探しに

どこかに行ったりするのだろう。

自分は誰よりも近く、そこにいるのに。


茉莉「よし、服はオッケーっと。」


ぼんぼんと強めに服らを叩く。

怒っているかのように反発するだけで

茉莉は痛くも痒くもなかった。


結華「お風呂先に頂いたよ。」


部屋の扉が開き結華が入って来る。

さらさらな髪の毛を

下の方でひとつに結んでいた。

結ぶと双子というだけあって

今どっちと対面しているのか

わからなくなりそうになる。


茉莉「はーい。」


結華「あんたのお母さん、すごく良くしてくれたよ。お風呂あがりに1杯もらっちゃった。」


茉莉「え、お酒?」


結華「んな訳ないでしょ。」


茉莉「くははっ。」


笑い飛ばしていたら

不意にチョップが飛んでくる。

痛くない程度にとつ、と頭に衝撃が走った。

が、痛くなくても反射的に

痛いと言ってしまうのが人間の怖いところ。


茉莉「いでっ。」


結華「冷たいソフトドリンク。」


茉莉「あー…そんなのもあったような。」


結華「自分の家の冷蔵庫でしょ。覚えてないの?」


茉莉「別に茉莉が住んでる訳じゃないし…逆に聞くけど、結華の家の野菜室に何が入ってたか覚えてる?」


結華「…キャベツは入ってる。」


茉莉「ねー?そんなもんでしょ?家の冷蔵庫にゃ牛乳が入ってたのは知ってるんだけどな。」


結華は髪も乾かしてきていたよう。

普段ならこういうところは遠慮しそうだが。

多分、久美子さんが心配して

遠慮させなかったんだろうな。

肩まで届くか否か程度の

さらさらな髪をはためかせて

自分の荷物のある方へ寄った。

中を漁り出したあたり、

何かお目当てのものがあるみたい。


結華「さっさと入ってきたら?」


茉莉「んあー。」


結華「はいはい、んあー。」


茉莉「ちゃんと聞いてるよ?」


結華「別に疑ってない。」


つーんと突き放すような言い方は

彼女の特徴の1つ。

髪、伸びたな。

茉莉も、きっと結華も。

時間が経ったんだな。

お互い等しく。


茉莉「そこにあるヒーター、使っていいって言ってたよ。」


結華「そ。暖房だけでも十分だけどね。」


茉莉「それでも寒かったら使ってね。」


結華「んー。」


茉莉も自分の荷物の元へ行き

寝巻きをそそくさと取り出す。

いつものようなジャージだと

流石に寒いだろうと思って

持ってきたもこもこの寝巻き。

今までほぼ使ってこなかったからか

匂いが新しめだ。

その場を立つとカーペットからも熱を感じた。

脱衣所、寒くないといいな。

結華が出た後だから

比較的暖かいかな。


茉莉「んじゃ」


結華「あのさ。」


お風呂に入ってこようと思って

1歩扉に近づいた時だった。

結華の声が遠くながらに耳に届く。

きっと下を向きながらでも

話しているのだろうか。

普段の彼女らしくない、

ちょっと曲がった声の張り。


茉莉「ん?」


結華「茉莉のお母さん、いい人だよ。お父さんだってそう。」


茉莉「うん。」


結華「…茉莉がお父さんお母さんって呼ばないのって理由」


茉莉「あー…また移動してる時話すよ。」


ここじゃ、久美子さんや徹也さんに

筒抜けとまでは言わないが聞かれてしまう。

それは良くないと瞬時に判断した結果、

結華の話を遮ってしまった。

結華の方を振り向くと、

何か意味深げにこちらを見つめている。

気になっているのに何故教えないの。

そう訴えているようでもあった。

少しだけ微笑んで

すぐに扉の方へと向く。

目を背けて、逃げてばかり。


茉莉「ちゃんと話す。」


結華「…分かった。忘れたなんて言わせないから。」


茉莉「あはは、逃げ場ないねー。」


結華「逃がさないから。」


茉莉「…。」


結華「…でも、どうしても嫌なら無理矢理には聞かないわよ。」


茉莉「別に嫌じゃないよ。」


結華「…。」


結華は今、どんな顔をしているんだろうか。

怖いのか否か、

再度彼女の方を

振り返ろうとは思えなかった。

結華は今何を考えている?

何を感じている?

茉莉には分からない。

分からない。

興味ない。

…興味……。

…。


今までなら、そうだった。


茉莉「ちょっとびっくりしただけ。」


目の前の扉に声を反射させて

結華の元へと雑に放る。

今までなら他人なんてどうでもよくて

自分なんてもっとどうでもよかった。

選ぶことができなくて

なんでもいいしか言えなくて

どうなってもいい人生だった。

生きるとは選択することというのなら

茉莉は確実に生きてなかったな。


それでも今は違うと思う。

そう思いたい。

今は自分の意志でお母さんを探そうとしている。

そうだと、思いたい。

思いたい。

変わったって、胸を張れようになりたい。

大人になりたい。


結華「…お風呂暖かかったよ。」


茉莉「くははっ、分かってるよそんなのー。」


適当な笑い声をひとつ。

随分とからからに乾いていた。

からからとなった扉。

結局彼女の顔を再度見れないまま

逃げるように部屋から出てしまった。


一緒の空間にいるのが

気まずくなってしまったのかな。

別にそんなふうには思ってないつもりだけど。


思えば大事なことからはいつも逃げてきた。

今だってそうなのかもしれない。

結華との話から逃げてきた。

…。

もしも。

もしもお母さんと出会えたとして、

茉莉はどうするのだろう。

向き合わずに逃げてしまうのかな。

知るだけ知って向き合わずに

捨ててしまうのかな。


茉莉「…はぁ。」


無意識ながら

何度目かのため息がひとつ漏れる。

このため息ひとつで大人になれたら。

判断力が、責任感が伴ったら。

そうだったらいいのに。


いつものように髪から洗って

体を洗って適当に流す。

お風呂に浸かると、

温めきれなかった足先の凍えが

ぽろぽろと剥がれるように暖かさが滲んだ。

じんわりと電流が走ったところで

ふう、とひと息つく。


茉莉「…窓あったら雪景色見れたのかな。」


けどもっと寒くなっちゃうよね。

それはやだな。

雪は見たいけど積もって欲しくない。

どっちにしろ施設の場所は

青森の中でも北の方で、

嫌でも視界に白色が

飛び込んでくることだろう。


お風呂から上がり

気ままにリビングに向かうと、

徹也さんはテレビを見ているようで

ソファの隅から体が見えた。

久美子さんはキッチンで

何やらこしらえている。

明日の準備だろうか。


久美子「お、上がった?」


茉莉「うん。お先ー。」


久美子「はーい。」


作業していた手を止めて

冷蔵庫を開いたかと思えば、

結華の渡したものと同じだろう、

乳酸菌系の飲料を渡してくれた。

ほかほかの体に

冷たいものが直接胃に

流れていく感覚がありありと感じられる。


茉莉「ありがとー。」


久美子「はあい。さっき結華ちゃんがお礼言いにきてくれてね。泊まる場所やご飯ありがとうって。」


茉莉「あー。ちゃんとしてるね。」


久美子「ねえ。最近の子は大人びてるわ。」


シンクに溜まった調理器具を洗い始めながら

しみじみとそう言った。


久美子「私が子供の時は「おばさんありがとう」って言ってリビングを占領してたくらいなのに。」


茉莉「え、結構アクティブ。」


久美子「時代的なものもあると思うけどね。近所の人とそれなりにお付き合いがあったから。」


茉莉「なるほど。」


テレビの喧騒が

場を繋ぐかのように

笑い声を立てていた。

こう思ってみれば、

これまであまり1対1で

しっかりと話したことがないような気がする。

何だか気まずくなって

部屋に戻ろうとした時だった。


久美子「茉莉。」


久美子さんが呼ぶ。

また手を止めては

こちらをじっと見て、

認めるように、

はたまた何か決心をしたように

ひとつ小さく頷いた。


久美子「持っていってほしいものがあるの。」


そう言って、明日の用意に

加えてという意味だろう、

ちょっとしたお菓子と、

戸棚の書類の束からひとつ

薄汚れたクリアファイルを取り出した。

中には紙の切れ端だろうか、

破いた後のある一部が入っている。

メモ帳ほどしか入っていないそれを渡され、

何のことだかわからず

とりあえず裏面を見る。

すると。


茉莉「…茉莉?」


茉莉、とボールペンで書いてあった。

真ん中から少しズレた位置に、ぽつんと。


久美子「茉莉が家に来る時、施設の人が渡してくれたの。」


茉莉「何、これ?」


久美子「茉莉が視線に入る時に、一緒に渡されたものなんですって。」


茉莉「…!」


久美子「…もしかしたら、お母様直々の文字かもね。」


お母さんの。

はっとしてもう1度見つめる。

達筆ってわけではないけれど、

それとなく見よう見まねで

この文字を書いたような拙さがあった。


茉莉「名前、施設の人がつけたのかと思ってた。」


久美子「…。」


茉莉「そっかぁ…。」


別に感動しているわけでも

涙が出そうなわけでもないけれど、

何故だろう、声が震えたような気がした。

本当に対面するかもしれない

恐怖のようなものからだろうか。


すると、久美子さんは

茉莉の肩を両手で優しく掴んだ。


久美子「大きくなったね、茉莉。」


茉莉「…!」


久美子「気をつけていってらっしゃい。」


お母様によろしく、とは言わなかった。

言いたくなかったのかもしれない。

その悲壮に満ちた目を見ていると、

本当は行かせたくないんだろうなと

感じざるを得なかった。

部屋に戻る直前、

普段から寡黙な徹也さんも

「気をつけるように」とひと言くれた。

茉莉みたく感情は

読み取りづらいけれど、

それでも心配してくれていることはわかる。

「うん」と小さく、

そしてありがとうと付け加える。


茉莉「…。」


部屋に入る前、

持っていたクリアファイルを

無意識のうちに握りしめていたことに気づく。


茉莉「………。」


深呼吸をひとつ。

明日、もしくは明後日に

出会えることを祈って。


そのクリアファイルを大切に抱えていた。

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