強者との戦い

 まじでまずいぞ、あの地球で最強とされていた腕がいとも簡単に、

 これじゃあ刀も展開できない。

 もういい、やけくそだこの国ごと焼け野原に変えてやる!


「第2式4次光線発射準備完了。発射。」


 だがそいつは僕の山を吹き飛ばす程威力がある光線をいとも簡単に断ち切った。

 ありえない、本当にありえない!

 ここでおわる、のか?いやだ!僕はティアを守ると誓った。


 僕は自分の体を乗っ取られた時の記憶はある。

 そうだ僕の体を乗っ取ったやつは、僕の体でありえないほどの力を示していた。

 自らのステータスを上げているように感じた。

 ステータス欄を確認してみる。

 そこには、驚くべき物があった。

 ステータス自体は変わりない、だがあるスキルがあった。

「堕天使の咆哮」。

 タップして確認してみた。


 気持ちによってステータスが上がる。

 その大きさによって上がり幅も変わる。

 雑魚にしか許されない、世界を裏切った天使が作ったスキル。

 スキルの分際で毎回俺を煽ってくんな!


 それよりも!なるほどな、僕を乗っ取ったあいつはあまりの恨みの大きさにあそこまで強くなったということか。

 なら僕もティアを想う気持ちは何よりも大きいんじゃああ!!!


 そうして僕の魔力は目に見える程大きくなった。

 それを体に流す、すると切られた部分から腕が生えてきた。


 再生した?のか?しかも機械ではない本物の、人の腕だ。

 生えてきてくれたのは嬉しいけど、結局腕が残っていないとこんなバケモンにはぜってえ勝てん!


 上がったStに魔力での身体能力上乗せによって力が溢れてくる。

いや、僕は勝つんだ。

 未来技術は半分残ってる!

 もう半分の分をステータスで補えばいい話だ!


 この姿を見て帝都騎士は笑った。


「久しくみる強者よ。だが、その程度ではまだ私には届かんよ」


 そうしてその騎士は、また僕の後ろに現れて僕を蹴り飛ばした。


 こいつは人間じゃない、それほどの力がある!

 だってこんなにも力を得てもこいつには届かないのだから、、、


 その時、落とされた機械の腕が左腕にまとわりつく。

 制御から外れたはずの腕が僕の鎧として、剣として自由自在に操れる。

 その瞬間に体がこれを使えと言ってくる。


「第3式8次堕天使の腕」


 この力を手に入れてようやくこいつと互角になった。

 金属が鳴りあう音が響き合う。

 この力は魔力と機械を融合させた、この星に来なかったらできなかった新なる力だ。

 だが、Spが僕の方が少ないようだこのままだと負けてしまう。


「ティア、お前の協力が必要だ。お前の能力を解放してくれ。」


 僕がそう言うと彼女は頷きその力を解放した。


「第1式1次脳共有」

「第1式3次未来視」


 彼女はその体に埋め込めれたチップにより、生命反応探知以外にも能力がある、その一つに観察力を強化するものがある、これにより敵のちょっとした動きの変化から次の行動を予測する。


 その予測したものを脳共有で僕もみることができる。


「遊びはここまでだ。

僕がお前に届かないだって?お前が僕に届かないんだよ」


僕は、そう言ってこの騎士を翻弄した。

もう諦めがついたのか騎士は、


「はは、私ももうこれまでか。」


と言った。


 私は、魔族に妻を、娘をを殺された。全てを奪われた。

 だから私は全てを犠牲にして力だけを求め続けた。

 魔王と魔族を滅ぼし、復讐を果たす為に。

 それで功績を上げ続け、1時期は勇者とも呼ばれた。

 そして、一つの魔王幹部の魔族の家を見つけた。

 私は迷わず1人でそこに乗り込んだ。

 私は怒り、憎しみで狂ったようにそいつの娘と妻を殺した。

 殺した後に気づいた、僕はあの時襲ってきた魔族と変わらないと。

 復讐は何も生まないとそこで気づいた。

 そこで私は絶望しながら帝都へ帰り、引きこもった。

 だが王は私に戦うことを強制し、帝都に犬となった。

 何もかもが無駄な人生だった。


「ありがとう、勇者よ。この無意味な人生を終わらせてくれて。」


 そう言った彼は、まるで死ぬことに喜びを感じているかのように微笑んだ。

 何が彼を人間から化け物に変えたかは僕にはわからない。

だから僕は、


「今までお疲れ様」


と言うしかなかった。

 そうして僕はそいつの首を跳ねた。

 彼は遠くを見つめ、少し悲しげに、少し嬉しそうに微笑んだ。


 僕たちは、人である為に、幸せを増やす為に、地球のような惨劇を迎えさせないように。

 この世界を知らなくてはならない。

 そして何よりティアを守り抜く為に。

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