後悔
私は、その光景を見て絶句した。
吹っ飛ばされて死にかけた私は、魔法の力で生き残った。
そしてアルが戦っていた場所へ向かった。
私がついた時、アルはもう殺されていた。
私は、怒りで全てを壊したくなった。
前が見えなくなるほど憎しみに満ちた。
頭上に無数の剣を出現させ、そいつに向けて撃ち放った。
何度も何度も。
魔法は、想像だ。
そして膨大な魔力をもった私は、想像次第でなんでもできる。
次は、アルの真似をして光線を撃ちまくる。
こんなものじゃこいつは倒せない。
そう、悟った私は体に魔力を流し込み、魔力剣も生成する。
生ける災害と呼ばれた私の力に
「屈服しろ!」
そう言って私はこいつに突撃して行く。
見える!見えるぞ!
身体強化のおかげで私は、ありえないほど早くなった。
そのおかげで目で追えるようになった。
この力でやつに突っ込むとそいつはかなり驚いたような表情をしてをしていた。
その油断の隙に魔力剣を突きはなつ。
それでもすぐに後退し、体勢を整えやがった。
ここで攻撃できなかったら、もうその速度に追いつくことは出来ない。
だからその部分を魔法を使って補う。
魔法の同時発動、それは人が成し得なかったこと。
今の世界では私しか出来ないはずだ。
剣同士をぶつけ合いながらこいつに向かって無数の剣を放ち続ける。
剣じゃ範囲が狭い。
だからアルの形見の技である、光線を放ち続ける。
やつも疲れ始めている。
これなら勝てる!
魔法は、言葉次第でさらに強くなる。
追い討ちと行こう。
そう思いまずは、死んでしまったアルの体にバリアをはる。
「魔法の深淵に最も近い生物の力を見せてやろう勇者よ」
「光も映らぬ暗き世界、そこに到達するは、魔法の深淵。
強欲たる希望への裁きは、闇
光すら取り込み、全てを吸い尽くせ!
ブラックホール」
その瞬間全てが一瞬闇に包まれる。
吸い込めれかけるが、自分に重力を付与してなんとか耐え続けた。
視界に光が戻った頃には周りの地形は半球状に抉れていた。
この力は、禁書に描かれていたものを再現したものだ。
禁書は、危険すぎるがためにやり方すら封印された魔法だ。
ブラックホールは、その1つ。
本当ならば帝都の魔法使い30人はいなければ発動できない。
こいつは、元勇者だ。
人を守る為に、人を狩る。
この世界には、7体の七大悪魔が存在している。
そしてその悪魔たちは、それぞれ大罪を抱えている。それぞれの悪魔に気に入られ、契約するからと大罪のほんの一部を肩代わりさせられ、悪魔の力のほんの一部を与えられる。
どこまでも人を救うことに人生を賭けたそいつは、その強欲さから悪魔であるマモンに気に入られて契約した。
堕ちた勇者。
マモンと契約したことで、莫大な力と無限の寿命を手に入れた。
そして魔族を滅ぼした。
だが魔王は、全てを犠牲にに生き残った。
いや、生き残ってしまった。
だが、勇者はマモンと契約したことの代償で人から忘れられた。
力を代償に地位も、名誉も、人のために生きた人生も全て消えた。
そんな勇者であってもおそらく不可能だ。
だからさすがの私でも、もう魔力はほぼ残っていない。
それは、体力も同じだ。
私は、かがみんで自分の腕に顔を埋め泣き崩れた。
アル、私が魔王だとあなたに言っていれば、、、
初めからからアルの幼馴染のティアなんかなんて存在してない、魔王としてのティアしか存在してないのに、、、
アルの憎しみの感情を浄化していたのも!
私を好きになってくれたのも!
全部、洗脳の魔法だったのに!
記憶も奪ったのも私なのに!
でも、もう私が好きになった君はこの世にはいないんだよね。
私の全てを滅ぼされた私は何年、何十年と何も考えず、復讐だけを考えて修行をし続けた。
そんな中で憎しみに全てのまれかけていた彼から世界を救おうとした。
いや、、、今思えば、私を魔王つまり悪の存在だと言わない人が欲しかっただけなのかもしれないな、、、
だとしても私は、世界の為には良いことをしたはずだ。
でも、それでも私は本当に後悔しながら泣き続けた。
アルの考えを無視して、旅なんかせず二人でのん びり暮らして憎しみも消して行くという選択肢。
初めてから魔王だと打ち明けて、アルを強くしたり、さっきの戦いを共闘するという選択肢。
数日、十数日程度の関係だったかもしれないけど、、、
この罪もこの感情も彼がいなくなった今、全て無駄だ。
それだけ彼という「本物の勇者」に惹かれていた、、、
私は、せめてもの思いで初めてアルと出会ったあの場所で彼を土に埋めた、そしてアルテミスと彫った石を置いた。
そこに向かって私は言った。
「私は、生きるよ。人を、魔族を、この星をめちゃくちゃにして、あなたを間接的に殺した悪魔を滅ぼすから。」
新しい星で勇者生活 キアラト @kiarato
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