第2話
ヒロアキは、レイカとよく食事へ行った。そして、北陸新幹線かがやきで東京へ行った。さらに、歌人新橋イチローが「かがやきで金沢から東京へ一度は行きたいディズニーランド」の短歌の通り、東京ディズニーランドへ行った。
更に、押上にある東京スカイツリーや港区の東京タワーへ行った。
さらに、ヒロアキの好きな京急快特で、横浜まで行き、三崎口で、ネギトロ丼を食べた。
レイカは、ヒロアキが、好きなのは、女優の有村架純とか内田真礼、いきものがかりのファンだと知った。
さらに、本当は、若い時、作家になりたかったが、なれず、出版社にも採用されず、今の食品メーカーの会社員として仕事をしている、と知った。
ヒロアキは、東京の食品メーカーの会社員として、仕事をしているが、元々は、北陸地方のA県A市の公立大学A県立大学生物資源科学部で、栄養学を専攻していた。そう、今のヒロアキは、地元のA県に戻っている。
A県立大学では、ニワトリを専攻して、ニワトリの実験をしていた。
と、そんな話をしていたら、レイカは、「どうして、今まで一人だったの?」と聞いた。
いや、と思った。
「本当は、オレは、放送作家になりたかった」
と言った。
そうだ、と。本当は、推理小説を書いている東野圭吾みたいになりたかったとか、または、中谷彰宏になりたかった、とか思った。
「夢を実現したかった」
「どんな夢?」
「東野圭吾とか中谷彰宏になりたかった」
「誰それ?」
「作家」
「物書きの人?」
「うん」
と言った。
ただ、と思った。東野圭吾のような推理小説ではないが、そんな話を読んでいて、思ったのは、ビルの看板にあたった男性を思い出した。あの人は、今頃、どうしているのか、と思った。
「ヒロアキは、お父さんお母さんは、元気?」
「まだ、元気だよ、もう75歳になったけど、ピンピンしている」
「へぇ」
「レイカのお父さん、お母さんは、?」
「震災で、お父さんもお母さんも亡くなった」
「え」
「どんな理由で?」
「お父さん、ビルの看板にあたって、亡くなった」
「ビルの看板にって、まさか、どこ?」
「A駅前のお菓子の看板」
「ええ!」
「お父さんの写真があるよ」
と観た。
すると、寺尾聰にそっくりな顔をしていた年配の男性だった。
「お父さん、即死だった。お母さんは、心不全で亡くなった」
「オレさ」
「うん」
「レイカのお父さんが、倒れているのを助けることができなかった」
そうだ、ち思った。東京に住んでいる時、何度も、女性と関係を結んだが、それで、ぷっつり連絡をしないことは、何度もあった。だが、ヒロアキは、これで自分もいよいよと思った。
「私のお父さん、養鶏場をしていたんだ」
と言った。
皮肉にも、こんな場所で、と思った。
「オレが、レイカのお父さんを、駄目にしたんだ」
と言った。
そして、レイカは、優しくヒロアキにキスをして、二人は、その日、ホテルで逢瀬を交わした。
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