第五話 聖水の力と、オモラシの思い出

 ソーッパタ


 宿の扉が閉まる音が、小さく控えめに鳴る。

 何度も何度も往復しているうちにうるさいと苦情が入ってしまったのだ。


 ものを音を立てないように、ベッドに座りおむつを当て治す。



 

 聖水は、ちゃんと効果があった。

 尿意を自覚できるようになった私は、漏らす前にトイレに行けるようになったのだ。




 ……が、やはり聖水は水である。

 おおよそ30分に一度は、トイレに行きたくなる。


 いや、これも正しくはない。




 トイレに行き、部屋に戻る頃にはもう次の尿意を覚え始め、30分で限界ギリギリとなるのだ。

 聖水無しなら1時間は大丈夫なのだが、無自覚なままおむつが使われる。



 これが最低ラインであり、これによりおむつは一度……多分一度使ってしまったのだ。



 もう使わないと、心に決めたはずのおむつ。

 私は、おむつが外れるのが……だいぶ遅かった。と言ってもそれはおねしょの話であるが……





 一般的におむつ外れが2歳から3歳と言われる中、私が完全におむつ離れしたのは……15歳であった。


 誤解しないでほしいのは、15歳までしていたのはおねしょだけであって、オモラシはもっと前にしなくなっていたということである。

 ……12歳には、昼の間のおむつはしなくなっていた。

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