236話 あんたの為に

「「――あ」」



 ギター部屋からトイレに向かおうとした時、ちょうどトイレの扉が開いた。

 同じ声を上げた相手――しずはだった。


「来てたんだ」

「うん、お邪魔してました。光流もいるよ」


 ピアノの練習をしていて、その休憩の合間なんだろう。近づくと、しずはの体から少し熱さを感じた。

 それはピアノで体を動かしたことによる、体温の上昇。

 彼女も頑張っているのだ。


「そう……あいつ――親父は大丈夫だった?」

「うん! しずはのお父さんって凄いんだね! なんか練習で悩んでたことがスーッと晴れたみたい!」

「マジ……? あんなの過剰なスキンシップで私に嫌われたただの親父だよ」

「えー! なにそれ! 酷い!」


 しずはが彼女の父に教えてもらえばという話をしてから、確かに扱いが軽いとは思っていたが、そういう過去があったのか。

 思春期の時に父親から過剰にスキンシップをされたら、そうなる可能性もあるかもしれない。

 酷いとは言ってしまったが、同意できる部分もある。


「何よ、あんたのお父さんはどうなのよ? 社長やってるんでしょ?」

「え〜、うちは私とも仲が良いとは思うけどな。確かに凄い会社の社長なのかもしれないけど、私にとっては普通のお父さんだし……」

「それと同じ。結局娘にとっては父は父。ただの人間なの」

「しずはつめたーい」

「はいはい」


 確かに見た目は少し独特だったけど、優しく話してくれた。

 しずはと私に対する話し方は違うんだろうけど、良いお父さんに見えた。


「てか! しずはの今日の家着!」

「普通のパーカーじゃない」

「パーカー! 私あんまり着ないから新鮮!」

「これだからお嬢様は……」


 確かにしずははボーイッシュな服装が多い。それでもお洒落はちゃんとしている。

 勉強合宿でも男子がいるからか、光流がいるからか、そこまでラフな服装ではなかった。


 でも今日はしずはの家だ。とってもラフな服装に見えたのだ。

 グレーのプルオーバーのパーカーに膝丈のスカート。


 その服装を見たからか、ふと思ってしまった。


 こういうボーイッシュな服装をしたら、光流と服を交換したり、お揃いの服だって着ることもできるのではないかと。

 私は女の子が着る服が多く、男の子が着れない服ばかりだ。


 でも、もし。光流とそんなことができたなら……なんかすごく良い!


「あんた、顔がニヤけてるわよ。気持ち悪い」

「!! その言葉久しぶりに聞いた!」

「うわ、気持ち悪いって言われて喜ぶのあんただけだよ……」


 親友である真空だって、私に対して色々言ってはくるが、しずはほど鋭い言葉は流石に使ってこない。

 でもしずはは私に全然遠慮しない。

 こういう言葉を私にくれるのがなぜか嬉しいのだ。


「むふ〜。……ねえ、練習何時までなの?」

「え? ん〜テストも終わったし、七時くらいまでやってご飯食べたら、寝るまでまたやろうと思ってるけど……」

「……そうだよね。もうすぐ海外のコンクールだって言ってたもんね」

「なによ、私と遊びたいわけ?」

「――! うん! 私のことがわかるようになったの!?」

「いや、わかりやすいだけでしょ。顔に出やすいから」

「ああ…………その言葉、嬉しいなぁ……」


 光流や真空以外にそうやって言われることはなかなかない。

 しずはに言われると、なんだかぐっと嬉しさを感じる。


 私が包帯を外して外に出たのはほんの半年前。

 表情の変化なんてまず、わかるわけもなく、『顔に出やすいから』なんて言葉は包帯を外せたから言われるようになった言葉ということなのだ。


「ほんっと、気持ち悪いったら…………別に、今日くらいなら……いいよ」

「えっ!?」

「だって明日は土曜でしょ。あんたが帰ったあとでまたいくらでもできるから」

「しずは……っ!」

「てかあんた、トイレじゃないの? 漏らすよ」

「漏らさない!」

「漏らして光流に嫌われれば良いのに」

「もう〜、しずはったら」


 しずはと話していると、忘れてしまう。

 この子は本当に恋敵なのかと。


 多分、私は何歩もリードしているのだろう。

 しずはには、つらいことをさせている悪い子なのかもしれない。


 光流のことを除いてしずはと話したとしても、こうやって会話ができるだろうか。

 まあ、光流あってこその関係だからあり得ない話ではあるんだけどね。


 真空以外の同性の友達と話していて、こんなにも楽しいのは今はしずはくらいだ。

 彼女になら、色々なこと――光流にも、真空にも言えないことが言えそうな気がする。


「ギターが終わったらメッセージ寄越しなさいよ。お母さんにご飯用意してもらうから」

「しずは大好き!」

「抱きつくなっ!!」


 ああ、友達じゃなくても良い。恋敵でも何でも良い。

 私はこの子が本当に好きなんだ。


 理由はわからない。でも、一つだけ共通点があるとしたら、同じ人を好きになったということ。

 だから、この正反対に見える私としずはでも、どこか似ている部分はあるのだろう。


 名前のつけられない、変な関係。

 彼女は、私の大切な人の一人なんだ。




 ◇ ◇ ◇




 その後、なぜかしずはの家でご飯までごちそうになることになった。


 いつの間にかルーシーとしずはの間で決まったようで、俺も強制参加させられたのだ。

 ただ、その食事の中で色々と大変なことが起きたのだ。


 この家には一番の人好きのモンスターがいるのだから。


「ルーシーちゃん! かわえええええ!! ねえ髪に何使ってる? ツヤツヤ過ぎない!? 匂いもエグい! こりゃあ天使だわあ……」


 午後七時過ぎ。

 ご飯の時間前に家に帰ってきた夕花里さん――しずはの姉である。


 創司さんの元気が全て彼女に吸い取られたのではないかというほど元気で、この年齢になっても好奇心旺盛な女性だ。

 今、彼女は二十六歳くらいになっており、俺も久しぶりに顔を見た。


 花理さんの娘でしずはの姉でもあることから、彼女もその美人の顔を受け継いでいる。

 夕花里さんは『柑橘系社会』というメジャーバンドでベーシストをしている。


 たまにテレビでも見かけるほどの人気でもある。俺が出会った頃から既にデビューしていたこともあり、年々忙しさは増しているという。

 今日はちょうどPV撮影をしてきたとのことだった。


「ちょっと夕花里。ルーシーちゃん迷惑してるでしょ。ご飯の時くらい静かにしなさい」

「だって! こんな子がうちにいるんだよ!? なんか存在だけで食卓が明るい!」

「それはただの髪色でしょ。ナチュラルでそうなんだから」

「髪色だけじゃないでしょー! なんか、オーラというか!」

「お姉ちゃんって有名人なはずなのにオーラないもんね」

「ふふん、それが良いんだよ。ベーシストは陰で支える。派手なのはベースの色だけで良いの」


 ルーシーの前で目まぐるしく展開される藤間家の会話。

 俺もルーシーも、ついでに創司さんもどうして良いかわからず、とにかく食事の手を進めている。

 いや、創司さんはいつもこうなのかもしれないけど。


 その創司さんと言えば、今まで寝ていたのか一人だけスウェット姿だ。

 本当にいつ練習をして、いつコンサートをしているのだろう。本当に謎の人物だ。


「――――ね、光流くんはどう思う!?」

「えっ!?」


 突然夕花里さんに話を振られた。

 俺が黙々とご飯を食べながら頭の中で色々考えている間にも話が進んでいたようだ。

 

「だから! しずはとルーシーちゃんの髪! どっちやツヤツヤだと思う!?」

「ええええええ!?」


 この人は……答えにくい質問をこの人の多い場所の前――しかも両親がいる前で……。

 どう答えれば良いというのだ。

 夕花里さんが話を振るから、しずはもルーシーも俺の顔に視線を向けてきたじゃないか。


「えー……俺はり」

「両方はなしだよ!」

「なんで!!」


 無難に両方ともツヤツヤだと答えようとしたが、夕花里さんに遮られ答えを消去された。


「どっちがって聞いてるんだから、どっちかしか答えがないの。当たり前でしょ?」

「ぼ、暴論だ! 俺をいじめてそんなに楽しいんですか夕花里さん!」

「うん、すっごい楽しい!!」


 ほんっとうにこの人は…………!

 するとしずはもルーシーもクスクスと俺の困っている様子を見て笑い始めた。


「こんなのどっちか言ったらどっちかが傷つくかも知れないじゃないですか! そんな回答、しかも家族の前でなんて無理です!」

「まあまあ。美女たちに囲まれてるからってそんなに興奮しないで!」

「してません!」

「え、してないの……? こんなに美女がたくさんいるのに?」

「揚げ足取るような言葉遊びやめてください。そういう夕花里さんはどうなんですか!? 最近良い話ないんですか!」

「なんだなんだぁ? 光流くん、言うようになったねぇ……小学生の時は、あーんなにちっこかったのに」


 だめだ。この人は何を喋っても軽く躱されてしまう。

 怒ったら負け、感情を出したら負けなのだ。


「ほら、答えてください。良い男ですよ。音楽界にいるならたくさんいるでしょ良い男」

「本当に聞きたいの……?」

「……はい」


 すると、少しだけ神妙な顔をして、間を開けた。


「実は…………遂に私にも春が来ましたー!!」

「えっ!?」

「夕花里?」

「お前っ! 夕花里ほんとか!」


 しずは、花理さん、透柳さんが夕花里さんの言葉に同時に反応した。

 それだけ驚くべきことだったらしい。


「私だってやる時はやるんだよ〜」

「そ、それで、相手はどんな人なんですか?」

「はぇ?」


 すると俺がそう質問をすると、夕花里さんがへんてこな顔で返した。


「だから、相手の顔ですよ。彼氏、できたんですよね?」

「なーに、言ってるの。私は春が来たって言っただけだよ? 彼氏なんてできるわけないじゃない! あはは〜〜!」

「この人はっ!!」


 つまり、完全に嘘だったわけだ。

 この人は人をおちょくるのが好きで、それを悪いとも思っていないのだ。


「お姉ちゃん、ほんとそう言うのいらないから」

「夕花里、あんたねぇ……」

「はぁ〜、だと思ったよ」


 しずはたちは頭に手を当てながら、夕花里さんの嘘に嘆息した。

 まあ、そういう反応になるよな、と俺も同意した。




 夕花里さんによって大変になってしまった食事を済ませると、俺は先にしずはの家から帰宅した。

 ルーシーはまだ残るようで、しずはの部屋で過ごすようだった。


 強めにルーシーがお願いしたんだろうなとも思いながら、二人が仲良くしているのは、普通に嬉しかった。




 ◇ ◇ ◇




「ここがしずはの部屋……!」

「あんたの家とは比べ物にならないくらい小さいけどね」

「そんなこと全然思ってないよ。私の部屋と全然匂いが違うんだなって」


 夕食後、光流を先に帰らせて、私だけ残った。

 なんとなく、しずはと二人きりになってみたかったからそうしたのだ。


 しずはの部屋は男の子っぽい部分と女の子っぽい部分が入り混じったような部屋だった。

 私の部屋と全然違ったのは可愛い系のものが少ないということだ。

 色合いも茶色とか黒とか白とか。ピンクっぽいものは一切なかった。


 けど、やっぱり女の子。部屋から良い匂いがした。


「ねえ、しずはのパーカー着てみたい!」

「え゙」


 ドスが利いた「え」だった。そんなに嫌なのだろうか。


「着てどうするのよ」

「ただ着たいだけ! 私そういうのあんまり着ないから」

「あんたの考えてることが全然わからない」


 そうぶっきらぼうに言いながらもしずははクローゼットへと向かう。

 クローゼットを開くと、そこには大量の衣服があった。

 ボーイッシュなものと可愛いワンピースなど半々といったイメージだ。

 そうして一つのプルオーバーのパーカーを取り出すと、私に手渡してくれた。


「あんたデカいんだからサイズ合わないかもよ」

「でも元々大きめっぽいし、大丈夫じゃないかな?」


 しずはが今来ているパーカーもゆるい感じで大きめだ。

 だから彼女より身長が高い私でもいけるはずだ。


 私は制服を脱ぎ、ベスト部分を外してシャツ姿になった。その状態でしずはのパーカーを頭からかぶった。


「いけた。どうっ!?」


 私はしずはの部屋にあった等身大の鏡の前に立ち、自分のパーカー姿を見ながらしずはに感想を聞いた。


「似合ってるんじゃない? でも、あんた髪長いんだからまとめないとなんか首周りがうざったいかも」

「確かに! ちょっとまとめてみる!」


 私はしすはからヘアゴムを借りて簡単にポニーテールにしてまとめてみた。

 すると首周りがスッキリとして先ほどよりもパーカーが似合って見えた。


「ねえキャップはキャップ! しずはキャップ持ってるでしょ!」

「注文多いなぁ」


 そう言いながらしずははまたしてもクローゼットに。

 黒いキャップを手渡してくれて、私はそのまま頭に被った。


「ぴったりだ! 私としずはの頭の大きさ一緒なのかなぁ?」

「なら、身長が高いアンタのほうが頭身は高いだろうね」

「そういうつもりで言ったんじゃないんだけど」

「あんたが無意識に煽ってるからじゃない」


 煽ってないのに煽ってると言われる。

 でも、しずはがそう思っているということは、そうなのかもしれない。


「私、ボーイッシュな格好も結構イケるかな?」

「まあ、あんたの顔的に可愛い系ってより美人系だから、まあスタイリッシュには見えるかもね」

「そう? なんだか着てるうちにこういう服も欲しくなってきた」


 たまにはこういう服装も良いかも知れない。

 動きやすいし温かいし……あ、これからもう夏だから着なくなっちゃうか。

 でも、また秋になれば着る機会はくるだろう。


「ねえ、今度一緒に買い物付き合って!」

「あんたね、さっき自分で私がピアノの練習で忙しいって言ってたじゃん」

「そうだった〜! ごめん」

「別に。……夏休みが終わったなら良いけど」

「え! 良いの!」

「どーせその時には忘れてるよ」

「忘れない! スマホのカレンダーに書いておく!」

「うわ……そこまでする……?」


 この後もしずはとの会話は止まる気配はなかった。

 基本的にはツンっとした表情を私に向けてきたけど、たまに私が変なことを言うと笑顔を見せたりもしてくれた。


 会ってからまだ少ししか時間が経っていないのに、こんなにも話しやすくて私からもたくさん話してしまう人は本当に真空以来だった。


 光流の話はあまりしなかった。でもそれは、わざとしなかった、ということではない。

 服の他にもしずはが使っているコスメを見せてもらいそのことを話したり、どうやって体型維持してるのか聞いたり、持っていたゲームを見せてもらったり……。

 光流を通さなくても、話したいことはたくさんあったのだ。


「あ! 今度一緒に光流のお家にご飯教えてもらいに行かない!?」

「なにそれ」

「私、和食全然作れないからさ、光流のお母さんが教えてくれるって話があって」

「へぇ……」


 そう言うとしずははジト目で私を見つめ返してきた。


「なんでそんな目するの!」

「光流マウントうざい」

「マウントって! そういうのじゃなくて、しずはと一緒ならもっと楽しいと思ったの!」

「どちらにせよコンクールが終わらないと無理ね」

「早く終わって〜!」

「……あんたが私に色々言うせいで良い結果でなかったらどうするのよ」

「しずはは優勝するよ!」

「…………っ。なんでそう思うのよ」


 私がしずはが優勝すると自信を持って言い切ったからか、ピクリと一瞬反応したあとその理由を聞いてきた。


「頑張ってるのを知ってるから」

「私の頑張りの何を知ってるのよ」

「――勉強合宿の日、扉の外で少しだけしずはのピアノ聴いてたんだ」

「防音だって言ってたじゃん」


 確かに防音材を壁に張っていた。けど、扉の目の前にいればさすがに少しは聴こえてくるのだ。


「家の扉一枚なんだから音をゼロにすることはなかなかできないでしょ。ちょっとだけ聴こえたの」

「はぁ……で?」

「ほら、それ。たまにため息してた。ため息って、疲れた時とか上手くいかない時とか、そういう時にするものでしょ。だからしずはが頑張ってる証拠だと思ったの」

「それが優勝するってことには繋がらないでしょ」


 確かに繋がりはしない。

 しずはは元々凄くて、私なんかいなくても結果を残してきた。

 近くにいる人だから、フィルターがかかって、より凄く見えているのかもしれない。


 でも、私はどこかで優勝すると信じてる。

 いや、優勝してほしい。彼女ならその実力が絶対にある、そう信じさせてほしい。


「――なら、私のために優勝して」

「え?」


 また私が変なことを言い出したからか、しずはは素っ頓狂な顔をした。


「私はしずはが優勝するって信じてるから」

「…………」

「それを叶えて。だから優勝して」


 私は知ってる。

 多分、しずはだって知っているだろう。


 人が普段よりもっと頑張れるには、何が一番効果的なのか。


 ――それは『誰かのために』努力すること。


「あんたって、ほんと頭おかしいね」

「ふふ。もうしずはには何回言われたかわからないね」

「あんたのために私が頑張って優勝したら、どうなるのよ」


 しずはの表情が変わった。

 あまり見たことがない、でも、最初に会った時に見せたような、どこか吹っ切れた表情。


「何でもしてあげる。私にできることなら、何でも」

「そんなこと言っても良いの? 光流を諦めろなんて言うかもしれないよ」

「しずははそんなこと言わないから大丈夫」

「…………ムカつくやつね」


 私にはこんな態度をとっているけど、根は絶対に優しい子だってわかる。

 だから、そんな酷いことを本気で言えるはずがないんだ。


「私、しずはがくれたお守り、まだちゃんと持ってるんだから」


 それは、秋皇に合格するよう、しずはが私にくれた学業成就のお守りだ。

 私のことが嫌いなはずなのにわざわざ空港まで来てくれて渡してくれた大切なお守り。


「光流のためもあったけど、しずはと一緒の学校に行きたいって気持ちが、あのお守りでもっと強くなったの。だから頑張れたんだ」


 と、言っても私は面接だけ。

 一般受験の皆とは少し違ったけど、面接でちゃんと話せたのもお守りのお陰もあったのだと勝手に思っている。


 しずはが私の話を静かに聞いて、真っ直ぐに目を見つめた。 



「――良いよ。ルーシー、あんたの為に優勝してやる」



「しずは……!」


 私はその言葉が嬉しすぎて、少しだけ涙ぐんでしまった。

『私のため』って思うと、とても嬉しくなってしまった。


「でも、優勝できなかったらしずはが私の言う事なんでも聞いてね」

「そんなのズルすぎるじゃん!」

「ふふふふ」

「いや、普通に笑い事じゃないんだけど。私だけとんでもないハードル高いじゃん!」


 この約束だと、私が全く頑張る必要がない。

 かなりズルいな約束なのだ。


「あ、お迎え来たみたい。じゃあね、しずは!」

「おい! 逃げるな!」

「約束! 絶対!」

「学校で覚えてろ〜!」


 私はそそくさとしずはの部屋から出て、リビングに向かい、しずはの両親に挨拶をした。

 そうして、私は家へと帰宅した。



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