ch.3 WEB小説始めました
私は前にこうした投稿サイトがあるということ自体がありがたい、と近況ノートかどこかで書いたことがあるが、これは本当にそう思う。
というのも、まだ若い私が再び小説を書こうとなったとき、ようやくネットが普及して
今となってはどうしてそういうサイトに行き着いたのかが思い出せないのだが、私は偶然にネット上で発表されている小説のランキングサイトを見つけた。
もっとも、当時ネット上にあったすべての小説を網羅していたわけではなく、作者がつくったHP上の小説のページにそのランキングサイトでの投票リンクを貼っておいて、それをクリックされた数で競うというものだ。(仕様はちょっとウロ覚え)
ランキングサイト側は宣伝になるし、作者側はそうしてクリックされることでランキング上位を目指すというモチベーションにもなり、同時にランキングサイトを訪れた人が小説を見に来てくれるという、わりと双方にとってWin-Winな仕組みであったろうと思う。
で、当時の私というと、山本文緒や田辺聖子などの恋愛小説と、ハーレクインコミックスにはまっていた時期であったので、このランキングサイトにおけるジャンルで見るものといえば、当然ながら恋愛小説であった。しかも少しばかりエッチな描写もある(なんだかラブエッチとか言ってたかな? 官能小説とは違う、今で言うティーンズラブ的な感じだ)小説を読みまくっていた。
まぁ、女だってエロいの読みたいもんだよ。ぶっちゃけ。(ただ、男の願望だけのエロは面白くないけどな)
WEB小説……というものの、草創期といってもよかっただろう。
私がもっぱら読んでいたのは恋愛系の小説ばかりであったが、ほかのジャンルもあっただろう。たぶん。読んだことなかったから、わからんけども。
いわゆるケータイ小説なんかが流行った頃だ。もっとも私はケータイ小説を読んだことがない。一度だけ書籍化されたものを本屋で立ち読みしたが、あんまりにも空白が多くて、ちょっと詩的過ぎて、感性が若すぎて、まだ若かったその当時でもついていけなかった。
だがまぁ、おそらくその頃にわんさと素人作家が出てきたお陰で、今の投稿サイトなんかも生まれたのであろうから、ちょっとだけ私も貢献したと言えなくもない。
また話が逸れた……というか先走ってしまったので、もう言ってしまおう。
そう。だいたいわかるだろうが、私もまたWEB小説を書き始めたのだ。
これまた、最初に小説を書き始めたのと、同じ理由だ。わかるでしょ? はい。
『これ、私も書けるんじゃね?』
ということで、今度は恋愛小説なんてものを書き始めた。
これがわりと私的には大当たりした、と言っていい。
なにせ例のランキングサイトの恋愛部門で一位になったりしたこともあったから。
伊達に途中で終わる小説を何十作も書いてきたわけじゃない。失敗作と言えばそうかもしれないが、それなりに肥やしとなったようだ。
ようやくここへ来て、私は模倣の域を脱した。
自分の作りたい小説について考え、それを書くようになれた。
この小説はいまでも私的には代表作である。
長編だったが、長らく『途中で終わる』病であった私にとっては、久しぶりに書き終えた作品であった。
今読むと、やはり色々とアラが目立つが、それでも主人公達に対する思い入れは強い。彼らが幸せになれるまで書けたことが、なにより嬉しかった。それを一緒に喜んでくれる読者の存在が、とても、とても、有難かった。小説終了時のアンケートは、いまも大事に残してある。
本当にこの小説を書き終えたことは、私にとっては一つの自信に繋がった。
素人作家が何が自信だと鼻で嗤われるかもしれないが、作家というより、人間としての自信だ。生涯で一度であっても、見ず知らずの人に感動を与えることができたなら、まぁ、上々だと思うのだ。
この小説を書き終えると同時に、私生活上での環境の変化(退職、結婚、出産)が相次いでしまい、最終的にホームページは閉鎖することになった。
ちなみに。
このWEB小説を書くということに付随して、ホームページも作るのが当時のWEB小説作家だ。作家ごとの個性が光るホームページ作り。これまた楽しい作業だった。
まったくの独学だったが、無料素材を探しに行っては壁紙やら、バナーやら、フォントやら……一つ一つのパーツを組み合わせていく工程は、ちょっとした内装業者のようだった。ホームページとはよく言ったものだと思う。
カクヨムでいう『応援する』というのは、当時だとWEB拍手というのになるのだろうか。CGIを借りて、そこにWEB拍手用の画像を貼り付けて、うまく動作するまでに試行錯誤したものだ。
次のページはちょっとエッチな場面になるので、OKな人のみどうぞ的なリンクとか……色々やってたなぁ。
当初は『ホームページビルダー』というソフトで作っていたが、最終的には直接タグを打ち込み、CSSなんかも書くようになっていた。
あの頃の知識はわりと今でも重宝している。
だからカクヨムさん、できれば注釈で小窓ダイアログが開く……みたいな仕様作れないですかね?
ホームページ自体はもうなくなってしまったが、実はいまだにBBS(掲示板)だけは生きていて、たまに見に行ったりする。
当時の読者様がHP閉鎖後も来てくれて、「また再開楽しみにしてます」とか書かれていたりすると、申し訳なさ過ぎて
あれから
いずれこの小説をまたネットに上げることができれば……と思うが、再読したらもう手直しする部分が多すぎて、大工事になりそうで手がつけられないでいる。
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