第5話 初めての試験場
本屋で教則本を買って、3回ほど読み返したか、練習問題もきっちり合格点を取れるようになった。あとは試験場で試験を受けるだけだ。えっ・・・?試験場?
公共交通機関を使って試験場に行こうとすると、いったん都心まで出て、そこで乗り換えて、という事になる。お金も時間もかかってしまう。
「免許を取りに、試験を受けようと思う」と何気なく夕食時に話したところ、親父から、
「何や、それならお前の得意技、「自転車」で行けばいいやん。1時間かかれへんし、大きな川を一つ越えるくらいやから、大学に行くより楽やで」
とありがたいアドバイスを受けた。
授業の空きコマの多い日を選んで試験を受けようと思ったら、たまたま俺の誕生日だった。ちょうど20歳の誕生日。だから何だ、という気もするし、何か意味のあることかもしれない。そんなことを考えながら、免許センターまで「自転車」を飛ばした。
筆記試験を受けて合格発表を待つ。少しドキドキしたが、無事に合格。
「この後、写真を撮影し、講習会を受けていただき、そのあとで免許書を交付します」
と職員が案内していた。
「講習会?なんじゃそりゃ?」
教則本には、試験後の「講習会」がある、なんて書いてなかった。しかしどうもそれを受けないと免許証を受け取れないような雰囲気である。講習費用は2000円、貧乏学生には痛い金額であるが、しょうがない。申し込みをした。
後に分かったことであるが、この「講習会」は本来は「任意」のものだそうだ。場の雰囲気にのまれ、講習会を受けたが、「講習会」そのものが無意味だったわけではないことは伝えておくこととする。
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