第17話 東海道新幹線こだま号
フランが運転する350SSは、特に渋滞にハマることなく三島駅の北口ロータリーに到着した。
普段タンデムすることがないフランは道中で信号で停まる際に何度かバランスを崩しそうになったが、立ちゴケすることはなかった。
周りはEV車だらけでエンジン音が特別大きい昭和の旧車はアイドリングさせて停まっていると悪目立ちしすぎるのでフランはすぐにエンジンを切った。
リナはバイクから降りるとヘルメットを脱ぎながらフランに言った。
「送ってくれてありがとね。…あっ、飲み物奢っては冗談だから(笑)」
リナは礼を言いながら出発前に駅に着いたら飲み物を奢れと冗談のつもりで言ったが、フランは財布から500円玉を取り出してリナに渡しながら言った。
「クソ暑いんだからこれで飲み物買いなよ(笑)熱中症になったら大変だから。もうそろそろ東京行のこだまが発車する時間でしょ?早く行きなよ」
「うん、そろそろ行くよ。フランも気をつけてね」
「リナもね、それじゃ!」
フランはバイクのエンジンを始動すると颯爽と走り去っていった。
リナも小走りで駅内に向かい新幹線の改札を通過すると自分が乗るこだま号の座席についた。
発車するまであと5分程あるのでリナはスマホでYou Tubeでも観て時間を潰すことにした。
最近ハマってるのは昭和の旧車をこよなく愛するVtuberの動画で昔の車やバイクを紹介して実際に運転をして特徴を視聴者に説明する内容なのだが、最近ではリナが憧れてるKawasakiのZ2について説明する動画が多くてリナはここ最近そればかり観ている。
動画を観ていたら気づいたら新幹線は発車していたが、リナは初めて茨城に行った2年前のことを思い出した。
あの時は在来線を乗り継いで茨城まで向かったが、東海道線の神奈川間で乗客同士のトラブルに遭遇したりと今では笑い話になるくらいのいい思い出だ。
東海道新幹線の中では停車駅が1番多いこだま号だがそうは言ってもやはり新幹線なので、在来線で東京駅に向かうより断然早いし快適だ。
動画ばかり観ているとスマホのバッテリーが無くなるのでリナは東京駅に着くまでひと眠りすることにした。
三島からなら東京駅まで約1時間で出発して10分くらいは経っているので、あと50分程と言ったところだろう。
リナはBluetoothイヤホンの電源をオフにしてスマホの画面を閉じると、幸いにも後ろには誰も乗車していなかったので後ろに座席をリクライニングするとゆっくりと目を閉じた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます