第10話 浜松餃子

突然の結からの誘いに乗ったリナ達は、一旦高速を乗り直して再び名古屋方面に向かっていく。

既に清水あたりまで戻ってきてたので浜松まで少々距離もあるが遠出に慣れている東雲先生からしたらノープロブレムだろう。

特に渋滞にハマることもなく浜松ICを降りた東雲先生は、合流場所の浜松駅まで向かうと近くのコインパーキングに車を停めた。

リナが「運転お疲れ様です、代われるなら代わりたいですよ」と気を遣うと「全く問題ないわよ、でもありがとう」と東雲先生はなんてことない様子。

リナと東雲先生は、結と待ち合わせしている浜松駅の北口タクシー乗り場付近まで向かうとジーパンにブーツ姿でジャケットを手に持った半袖姿の結がリナ達に気づいて「リナ先輩!先生!こっちでーす!」と手を振りながら叫んだ。

合流した3人は北口から少し徒歩で移動すると、田町中央通りにある餃子の店に入店した。

晩飯時の時間帯もあってか順番待ちしているファミリー層が多かったが、入店してから30分程でリナ達がテーブル席に案内された。


「…思ってたより混んでないですね」


結はそう言いながら席につくと、メニューを開いた。

大体初めてくるお店だと何にするか迷ってしまうが、お店のオススメのメニューを指をさして「もうこれでいいんじゃないですか?」と言う結に合わせる形であっさり決まった。

しばらくすると円形に焼かれて餃子の真ん中にもやしが添えられている浜松餃子が運ばれてきた。


結は相当腹が減っていたのかご飯と餃子を口いっぱいにガッツリ食べている。

それはリナも同じで育ち盛りの2人がガツガツ食べている姿を見た東雲先生は「まさか自分がこの光景を見る日がくるとは…」と自分自身が歳を取ったことをひしひしと感じていた。

結が食べている手を止めてウエットティッシュで口を拭くとリナに言った。


「そういえば例のバイクはどうなったんです?」


口の中の物を飲み込んだ後にリナが答えた。


「それが…いろいろあってね…」


リナは幸助のバイク屋であった出来事を結に詳しく話し始めた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る