第7話 引き継ぐ者
幸助はリアスタンドを解除してサイドスタンドを下ろすとリナに跨っていいよと手でジェスチャーすると緊張したリナが恐る恐る1135Rに跨った。
やはりリッター超えの大型バイクだ、重厚感が中型とは全く違う。
幼少期に奈々未の後ろに乗せてもらった頃よりも遥かに身長も伸びて大型二輪免許はないので公道は運転できないが、中型二輪免許までは持っているので基本操作はわかるし免許が不要な場所であれば動かすことも可能だ。
1135Rのハンドルのグリップを両手で握り、タンクのカラーや細部まで見渡したリナが懐かしむように言った。
「…これです!まさしくこのバイクです!小さい頃に奈々未さんに乗せてもらった1135Rです!…まさかこうしてまた跨がることができるなんて」
幸助が「セル回してごらん」と言うのでリナは既に刺さっているキーをONにするとセルのスイッチを押した。
キョカカカカカカカカ!!とセルが長く回っていてなかなかエンジンに火がつく感じがしない。
やはりダメなのか?…と諦めた時はだった。
エンジンに火が入りマフラーから白煙を上げながらエンジンが雄叫びを上げながら始動した。
リナはヨシムラカタナの凄まじい音に高揚して心臓の鼓動がドックンドックンと鳴り止まない。
「か、かかった…!!」
久々にエンジンがかかった姿を見た東雲先生も涙を流して泣いている。
涼子も泣きながら思わず拍手していた。
ずっとエンジンをかけておく訳にもいかないのでリナはエンジンを切るとバイクから降りた。
リナがキーを幸助に渡そうとすると幸助がリナに言った。
「もうそのバイクのキーはリナちゃんのものだ。…リナちゃん?奈々未の1135Rを引き継いでくれないかい?」
まさかこんなにあっさり譲ってくれると思っていなかったので正直拍子抜けと言うか、もうオーナーは貴女ですって言われても実感がなかった。
だが、リナに断る理由はないので「はい、私で良ければ」と快くオーナーになることを引き受けた。
「……こんにちは」
幸助達が新たなオーナーの誕生に喜んでいた時だった。
突然、女性の挨拶する声が聞こえてきた。
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