第5話 大井川

結と別れたリナと東雲先生は、東名高速道路を牧之原ICで下りると国道473号線を島田市の方へ大井川に沿って北上していく。

新東名高速道路の島田金谷ICを過ぎると周りは木々に囲まれた峠道となっていき道路幅も狭くなっていく。

野生動物が今にも飛び出してきそうな峠道をいいリズムで走り抜けていく東雲先生にリナは言った。


「大井川って初めて来ましたけど道はガタガタだし、先生はこんな所に住んでたんですか?」


「こんな所ってヒドイわね(笑)、そうよ、ここが私の故郷。ここは全然マシな方よ?寸又峡の方はもっと道が凄いんだから」


この環境でバイクに乗って走り込んでいれば自然とあのテクニックが身につくものなのだろうか?

東雲先生が少し特別な気もしなくもないとリナは思った。

酷道と読んだ方が正しい道をしばらく走っていると市街地でも見かけるようなドラッグストアやコンビニがちらほら出てきた。

東雲先生曰く、このあたりにしかまともにドラッグストアがないので住んでいた頃はここで買い物を済ませていたようだ。

リナは「私には住めません…」としか言えなかったが…

東雲先生は隣に流れている大井川に沿ってひたすら北上させて下長尾八幡宮を過ぎたあたりで国道362号線へと名称が変わる。

そしてしばらく道なりに走っていると個人で経営している小さなバイク屋が出てきた。


「西園寺さん?あそこよ」





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る