第33話 その名も黒歴史製造機

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技能『魔法詠唱』(1/100)

この技能は、技能『魔素変換』が有効でなければ使用できない。

詠唱文句、使用技能、属性、消費MP量をプリセットする。詠唱文句の長さと内容に応じて魔法威力強化(大)。

設定可能な詠唱文句の長さとプリセット数は技能レベルに依存する。

設定可能な技能はMPを消費するものに限る。


朗々と、堂々と、諳んじ世界へ刻み込め。


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技能『魔法陣構築』(1/100)

この技能は、技能『魔素変換』が有効でなければ使用できない。

魔法陣を用いて魔法を発動することが出来る。

発動可能な魔法陣の大きさと密度と数は技能レベルに依存する。

最低消費MP1


これぞ魔法の最高の芸術にして最強の兵器。

使いこなせば神すらも殺せよう。


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あ、これヤバいやつだ……今リアから教わった後に技能の説明を読んで俺はそう思った。


先に『魔法陣構築』だが、これはプログラミングに近い印象だ。どのパーツをどの位置に描くか、何のインクで描いていて、何の素材に描いているかで効果が変わるため奥が深いが、遙か先のレベルの魔法もMPさえ足りていれば使えるのが利点だ。


細かい部分はカラニスム公爵家という家が詳しいらしいが、まあこれの研究は追々だろう。


問題は『魔法詠唱』だ。詠唱文句をプリセットするってどういうことだよ!?

嘘だろ、魔法の詠唱を俺たちが考えるのか!?用意されてないの!?

しかも内容によって威力強化って文言に悪意を感じる。絶対厨二病を炸裂させないといけない流れじゃないかなぁ!?絶対そうだよなぁ!?富岳院さん辺りだろこれ考えたのはよぉ!?


で、でも純粋に威力が上がるのは美味しいんだよな……倍率も大だから期待できるし……


べ、別に、面白そうなんて思ってないんだからね!


「──はぁ」


大迷走した脳内を整理して、目下の問題でどう使えるかを考える。

極々簡易的な魔法陣は教えてもらった。マジで「まーるかいてちょん」レベルだが、使えなくはないだろう。


「詠唱、詠唱か……」


試しに設定メニューを開いてみれば、設定可能なプリセットは3つで、30音が最大だった。文字じゃなくて音なので、漢字等で圧縮はできないが、これ日本語以外でも良さそうだ。


「……まあ、ど派手なのは一発芸にしかならないよな」


さて、どうするか……クリエイター魂が試される。

さて…………

さて……………………

………………………………………


いややっぱり恥ずかしいな!?




悩んでも備えても、怠けても励んでも、時間は確実に迫ってくる。

2度目のボス戦はもうすぐだった。

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