最終話 未来を願って
大吉を引いてから幾分かの時が経過していた。
具体的に言うのであれば僕らは二年生になっていたのだ。
クラス替えもなく一年生の時と同じ面子が教室で顔を合わせていた。
「それにしても…あの神社で大吉を引いたなんてな…それで学校一の美女と美人な転校生と仲良くなれるなんて…俺も来年の正月は大吉出るまで引くかな…」
友人はそんな言葉を口にすると諦めたように嘆息する。
「何処かに良い人居るだろ?大丈夫だよ」
そんな慰めの言葉を口にしても彼は首を左右に振るだけで納得してくれなさそうだった。
「やっぱり俺はしばらく諦めるよ。恋愛は大人になってからでも遅くないしな。それまで自分を磨くわ」
「そうか。お互い頑張ろうな」
「あぁ。倉敷も両手に花で嫉妬されるかもしれないが…頑張れよ」
それに頷くと僕は自席へと戻っていく。
右隣には真田凛桜の姿が存在している。
左隣には永瀬光だった。
何の偶然なのか分からないが…。
神様のイタズラにしか思えない現在の状況を楽しむことしか僕には出来ない。
そうして二年生になった僕らには後輩というものが出来たわけで…。
放課後を迎えたことである。
僕らは三人で学校の外へと出ようとしていた。
しかし校門で僕らを待ち侘びていた少し背の低い可愛らしい少女は僕に向けて声を掛ける。
「倉敷先輩!待っていましたよ!私も大吉を引いたんです!見てください!」
そこに居たのは中学の後輩らしく。
僕は見覚えがなかったのだが…。
「大吉」
「想い人の先輩にアタックせよ」
「恋は実るであろう。精進せよ」
その様な内容を目にして僕は嘆息する。
「ここに居る二人も大吉引いたんだよ…」
そうして僕らは顔を合わせると苦い表情を浮かべるのであった。
ここから後輩女子も加えた誰を選ぶかの恋物語は始まるのだが…。
僕の選んだ相手は誰だろうか。
それは秘密にしておく。
どうか未来で僕ら全員が幸せであることを願って…。
完
初詣のおみくじで大吉を引いた僕ら。未来に良縁有りという記述を信じてみたらバクモテした件 ALC @AliceCarp
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。