第4話 死神免許剥奪?

「ぷぅ…」

「もー先輩!笑わないで下さいよ!一番の見どころですよ!」

乳を揺らしながら先輩を叩く野間ちゃん。

「ああ、ごめんごめん。だってさ…この後に山本君が、うっかり映っちゃった写真が出ると思うとね…ぷぅ…」

「もー先輩!少し動画を戻してください!」

プンプン顔で先輩に怒る野間ちゃん。

「うん。分かってるよ。野間ちゃん、ごめんね!」


男性職員は動画を少し戻してから、再び動画の再生ボタンを押した。


野間ちゃんと男性職員は、再びモニター画面に流れる映像を見つめた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「もう一度言います!ここから先は…完全に自己責任でお願いします!」

司会の男性は、ゲストの男性の顔を見て

「どーぞ…お出し下さい!」

ゲストは頷く。

「その時に撮れた写真が…こちらになります」

ゲストの男性は、裏を向けていた写真を表にしてカメラに映したのだ。

「えーっと…どこに…映ってますかね…」

「分かりませんか?島梨さん…左上の黒い部分をよく見て下さい!」


司会の男性は…写真を食い入るように見つめる。


そして…

「え!ええーーーーーーー!」

何かを見つけてしまったのか、椅子から転げ落ちた司会者の男性。


「だ…大丈夫ですか!島梨さん!」

「ええ、大丈夫です。すいません」

少し顔を引きつらせた司会者の男性が椅子に座り直したのだ。

「分かりましたか?」

ゲストの男性は司会者を見つめる。

「はい。この左上の煙…煙に見えるドクロのやつですよね?」

ゲストの男性は、ゆっくりと頷いて

「そうです…よく見るとね…黒いローブを着てるんですよ…」

ゲストに言われ司会者の男性は、もう一度じっくりと写真を見つめる。

「は…はい。着てますね…黒色のローブに見えますね…ドクロも…はっきりと見えますね…」


司会者の男性は一呼吸置いて

「えー動画をご視聴の皆さん…おわかりいただけましたか?」


モニター画面には、死神が映り込んでしまった写真がズームアップされていた。


ゲストの男性が重い口を開けた。

「僕ね…この写真ね…いわゆる…死神だと思うんですよ…」

「ええ、そうですね」

司会者の男性は頷いていた。


「でもね…不思議なのがね…この場所にね…老婆が出ると聞いて、僕の友人は友達を連れて行ったんですよ…」

「ああ、そうですよね!老婆ではなく死神が居たと…」

「この話ね…実は僕自身の体験した後日談があるんですよ」

司会者の男性は驚きの表情になる。

「ええっと…老婆の霊の話ですか?」

ゲストの男性は頷く。

「そうです。でも今回は友人の死神の話をしますね」

「はい。では、後日談は次回の放送でやりましょう!」

ゲストは頷く。


「僕ね友人から、この写真を見せてもらった時にね…禍々しい何かを感じたんです。だからね…友人に写真を持ってお払いに行けと言ったんです」

「はい」

「でも、金がないから行けんと言って行かんかったんですわ…」

「ええっと…その後、ご友人は…問題なくお過ごしでしょうか?」

司会者の男性がゲストに質問をした。


ゲストの男性は、涙を流して…

「亡くなりました…連絡が取れなくなってね…住んでるアパートに行ったら、ベッドの中で亡くなってました」


「な、なるほど…」

司会者の男性は言葉を詰まらせる。


「僕ね…あんなに元気だった友人が突然死んだ理由が知りたいんですわ…」

「ええ」

「これがホントにね死神を写したから死神に殺されたのか、それとも単なる突然死なのかね…自分の中で感情がぐちゃぐちゃになって…」

ゲストの男性は言葉に詰まり…これ以上、言葉が出なかった。


「ええ、分かります。ご友人を亡くされて、とても寂しく辛いですよね」

司会者の男性がゲストを慰めていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「いやいやいや、無理だから。そんな事したら死神免許剥奪されちゃうよ!」

「もー先輩!動画の途中ですよ!」

「ああ、ごめんごめん。続きを再生するよ…」


再び動画の再生ボタンをクイックする男性職員であった。

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