スタート
しおとれもん
第1話青春回帰17歳、「あの日あのとき」
[
スタート」
青春回帰をした45年前のセブンティーン。
学園ドラマに憧れ教師の話を聴かない!
授業中居眠りをする!
成人前の17歳は大人では無く、無責任又はちゃらんぽらんな子供。
説明書を読まずに機械を操作する!
「ヨーイ・・・スタート!」
踵を着けて走れ!
と、先生は言うけれど、そんなもんで速く走れるの?
無意識で爪先を立てて走る!
6.4秒!
去年より早く走れた。
真面目にラグビーをやるものだな・・・。
これは高校3年生の体育でバッジテストの時、50m走のタイムを計った直後に脳裏に過った思いだ・・・。
しかし若い時の僕にはバグがあった。達観していない少年のまま育ってしまった。
17歳から二十歳代のファンブルが、事を遅らせるに至った理由・・・。
今思えば「急がば回れ」の方が良かったと、脳出血で左半身麻痺に為った今、あれこれと悔やむ毎日が疎ましいほどの回顧歴。
部下23名の部下を持つ徳島支店支店長での功績をフォーマットされ徳島支店が徳島店に降格して徳島店店長を拝命した。
リーマンショックの煽りを受けた、会社の法人税対策の為でもあった。
「リーマンブラザーズがリーマンシスターズだったなら破綻はしなかったでしょう。」と、上下院議員を爆笑させた安倍元内閣総理大臣のアメリカ上院下院議会での流暢な英語のスピーチを聴いて僕も胸中で爆笑していた。
支店長
から店長への降格に憤りは有ったが、同時に多くの支店長が営業課長に降格された事も有り、良しとした。
が、想う所も有り兵庫県伊丹店の一営業課長の降格を志願し、地元で新築した自宅通勤の道を選んだが、当時の四国地区本部、本部長に完成した新店の愛媛県新居浜店店長に引き上げて頂いた。
しかし誰が悪い訳でもなく、脳出血を発症した。
命懸けで働いたのに。
愛媛県新居浜市に単身赴任で神戸へ帰省直後、脳出血発症。
死亡率40%の緊急手術。
悪いのは貴方だと、周囲の意見が満場一致で「退院したい。」
と駄々を捏ねる僕を制した。何だかホッとしていた緊急手術翌日の人事通達。
「新居浜支店支店長の任を解き、四国地区本部課長の任を命ずる。」
動けない身体に慟哭が押し寄せる!
地区本部長の座を狙っていたんだ・・・。
道は開けたのに!
想い費える・・・。
左半身麻痺の後遺障害が残る。
所謂左半身麻痺、片麻痺の生活が、「スタート!」 した今。
「ヨーイ・・・スタート!」
踵を着けて着地しましょう!
歩行リハビリを遣りながら今思う・・・。
あの時、出世まっしぐらな「地区本部課長を命ずる」と、辞令が通達されていたのに・・・。
あの時、踵を着けて走っていれば・・・。
あの時、ストレス発散を飲酒ではなく別のものでやっていれば・・・。
あの時、母親に「短気は損気。」と言われた時、素直に聴いていれば・・・。
「ひとつとせ歳老う刹那タラレバと女々しき己そっと眼を閉じる」字余り。
(了)
スタート しおとれもん @siotoremmon
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