みつばち ミツコの夢冒険(一般書架)

すぱとーどすぱどぅ

ミツコの夢冒険

 ある日、小さな森の中で、元気いっぱいのミツバチのミツコが暮らしていました。


 ミツコはただのミツバチではありませんでした。


 彼女は夜寝ると夢の中で冒険することができる特別な力を持っていました。




 夜になると、ミツコは部屋のベッドで眠りにつきました。


 目が覚めるとそこは一面の花畑でした。

 大小さまざまな花が咲き乱れ、はなびらは宝石のように輝いています。


 ミツコは、夢の中で彼女は色とりどりの花畑に迷い込んでしまったのです。


「夢の中が花畑って、なんてすてきなことでしょう!」

 ミツコは手を顔にあててうっとりしました。


 そして、

「よし、今日の冒険の始まりね!」

 と目を輝かせます。



 周りをぐるりと見ると、遠くの方にお城が見えました。

「まずはあそこにいってみましょう!」


 ミツコは花の上を飛びながら、城をめざすことにしました。


 その時です。

 何かに声を掛けられます。


「こんにちは、おじょうさん。元気かい?」


「だれかしら?」

 周りを見ますが、声の主は見つかりません。


「ここよ、ここ」

 なんとその声がしたのは花の下にあった土の中からでした。


「ごめんなさいねえ。近頃、お日様の光が苦手になっちゃってねぇ~」


 そう言って土から出てきたのは、大きなアリのおばあさんでした。


「こんにちは、おばあさん。私はミツコっていうの。おばあさんのお名前は?」

 

 ミツコが尋ねると、おばあさんはお花の葉っぱの下の陰に移動してから


「はじめまして、ミツコちゃん。私はアントニアよ。よろしくね」

 と自己紹介をしてくれました。


「アントニアさん、私今からお城に行こうと思うんだけど、どういったらいいかしら」

 ミツコは夢の中の住人であるアントニアに尋ねました。



 すると、アントニアは少し考えた後、アドバイスをしてくれました。


「私から言えるのは「協力しないとお城にはたどりつけない」ってことだけね」



「協力?何をすれば、お城に行けるのかしら?」

 ミツコは言っていることがよく分からなくて首をかしげました。


「それは、相手が何も持っていなくても相手のことを考えて手を差し伸べることよ」

 そう、アントニアは言った後、また土の中にもぐってしまいました。


「わかったわ!ありがとう、アントニア!」

 ミツコはお礼を言って、先へ進みます。



 花畑を飛んでいると、下が花畑から青々としげる草むらに変わりました。

「また、お城に近づいたのね!」


 ミツコはうれしくなって、スピードを上げます。


 すると、いきなり目の前に大きな顔現れました!


 ごっちん!!!


「いてててて」

 ミツコが頭をさすりながら前を見てみると、そこにはコオロギが倒れていました。


「なにすんのよ!痛いじゃない!」

 そう言って、地面に倒れている。


(なによ・・・!私だって痛かったのに!)

 ミツコはむっとして言い返そうとしますが、そこでアントニアのアドバイスを思い出します。


(そうだったわ。「協力しないとお城にはたどりつけないわ」)

 ミツコは倒れているコオロギのお姉さんの近くに飛んでいくと、怪我しているところがないか見て回りました。


(うん、怪我はなさそう。良かった……。)

 ミツコはお姉さんの怪我を心配している内に申し訳ない気持ちでいっぱいになってしましました。


「ごめんなさい。わたし調子に乗ってスピードを上げて飛んでしまったの。次からはしないわ」

 そう、お姉さんに謝りました。


 すると、

「私もごめんなさい。飛び跳ねるのが楽しくて上なんて全然見てなかったの」



 こうして、ミツコとコオロギのリリーは仲直りをしました。


「私、今お城を目指しているんだけど、なにかいいアドバイスはない?」

 ミツコは夢の住人であるリリーに尋ねます。


「私もお城に行ってみたかったの!そうねえ、アドバイスになるかは分からないのだけど、「夢冒険は笑顔が一番の武器」よ」


 そう、教えてくれました。


 そして、

「私も一緒に行っていいかしら?」

 とお願いされました。


 ミツコは元気にうなずくと、リリーと一緒にお城を目指すことにしました。



 ミツコはリリーと一緒に、夢の中で様々な冒険をしました。彼女たちは雨粒の船で川を渡り、花の上で踊り、夜の星々と友達になりました。


 そしてようやく、お城にたどり着いたのでした。


 ミツコがお城の門をくぐると、まぶしい光に包み込まれました。


 そして、光が消えてなくなった時、ミツコは自分の部屋のベッドに戻ってきてしまったのです。


「楽しかったな……。本当はお城の中も見たかったけど、それは今日の夢の中でみればいいや」


 ミツコは今日も楽しい夢冒険に繰り出していることでしょう。



 おしまい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

みつばち ミツコの夢冒険(一般書架) すぱとーどすぱどぅ @spato-dospado

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ