第6話 私のパンツ見たい?

 父さんに仕事の内容・やりがい・大切な要素を尋ねた安達さん。俺も彼女のお姉さんにインタビューする時は、それらを訊くとしよう。


その後は母さんが買ってきたケーキを食べる俺達4人。全員完食するまで、誰も話すことはなかった…。



 「安達さん、ケーキはお口に合ったかしら?」

母さんが場の空気を変えるためか、話を切り出す。


「はい、おいしかったです…」


「良かったわ~。学校の宿題のためとはいえ、女の子が家に来るのって初めてなのよ。だから緊張しちゃって」


「そうなんですか…」


「できたらで構わないけど、これからも武文と仲良くしてね」


「ちょっと母さん!? 何を言い出すんだ?」


安達さんに迷惑をかけないでくれ!


「…もちろんです。松田君は隣の席なので、仲良くしたいと思っています」


母さんの前だから気を遣わせちゃったぞ。いつか謝らないとな。



 ……再び会話が途切れた。この空気どうすれば良い? なんて考えてる時。


「今日はありがとうございました。私はこれで…」

安達さんは椅子から立ち上がり、父さんと母さんに頭を下げた。


「気を付けて帰るんだぞ」

父さんは彼女に向けて優しく微笑む。


「はい…」


「武文。安達さんを送ってあげて!」


「ああ…」

母さんなりに気を遣ったと思うが、ぶっちゃけ余計なお世話だ。


俺は面倒な気持ちを抱きながら椅子から立ち上がり、安達さんを玄関まで見送る。



 ……安達さんが玄関で靴を履き終えたし、俺の見送りはここまでだ。


「ねぇ松田君」


「何だ?」

今更何の用がある?


「私がこの家に上がってリビングに向かう途中、パンツ見ようとしたでしょ?」


「…えっ?」


スカートの中に意識が向いていたから、安達さんの視線を確認してなかった。知らない間に振り向いてたか?


「……」

言い訳が出てこない。


「正直に言えば怒らないよ」


「…その通りだ。本当にゴメン!」

俺、終わったかも…。


「もっと話聴きたいから付いて来て」


「わかった…」

内容が内容だし、家の外で話したほうが好都合だろう。


俺は安達さんと一緒に家を出た。



 安達さんは俺の家の近所にある、小さくて寂れた公園に入る。同じ中学出身だし、このへんの地理は把握済みか。


…当然のように人はいない。この公園いらないだろ。


「松田君、私のパンツ見たい?」


「はっ?」

俺の耳はおかしくなったのか?


「スカートを短くすると、男子はジロジロ見てくれるの。けど松田君のような大胆な行動をしてきた人は今まで誰もいなかった…」


床に這いつくばるなんて、自分の家しかできないだろ。学校を含んでの発言だろうが、家と学校は訳が違う。


「“見たい”って言ってくれたら、本当に見せるよ?」

安達さんはスカートの裾を持ってヒラヒラさせる。


ただでさえ短いスカートだぞ。そんな事したら本当に見えちゃうのに…。


俺の視線は、ヒラヒラしてるスカートに注がれる。今すぐそのスカートをめくりたい。中を知りたい。その気持ちで頭はいっぱいだ。


今まで“闘牛ってアホだよな~”と思っていたが、それは撤回しないといけない…。


「安達さん、パンツ見せて欲しい」

我慢できるはずがないので、正直に伝える。


「いいよ。今は外だから、少しだけね」


安達さんはスカートをまくり上げるのだった…。

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