幕間2 おまけ

「それでっ、彼らは順調に纏まりそうかな?」

「……それが本題か?」


 好奇心に目鼻を付けたらこんな顔をしているだろうという表情で、注文もそこそこに前のめり。大学時代と寸分も違わぬ勧修寺双樹の姿勢はオカルト事案だけでは飽き足らず、時として他人の恋愛にも同様の様相を呈する。


「いいか双樹、お前は手を出すな。つつくな覗くな身を乗り出すな。お前がそれさえ守れば纏まる」

「ええー、そんなぁー!」

「うるさい」


 すみませーん、と手をあげて店員を呼び寄せる。


「この焼き牡蠣、時価、二人前ください」

「あっ、僕、貝類はちょっと……」

「安心しろ、私がふたつとも食べる。お代はお前につけてやる」

「ええー、そんなぁー!」

「うるさい」


 こうして更ける夜も嫌いじゃない。ニヤけ顔を少しだけ隠したくて、カウンターに置かれた生ビールのジョッキを受け取り、やや豪快に口をつけた。

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