第3話
「このカードを左のところにセットしてくれ」
そう言って博士は俺にカードを渡してきた。それには魔法名と魔法陣が刻まれていた。
「疑似魔法ってなんですか?」
「疑似魔法っていうのは魔法を再現したいわばまがい物だね。だけどただのまがい物とは違う。なんせ純粋な魔力で再現するものなんだからな!」
純粋な魔力。つまり空気中の魔力を使用すること。これは彼女の得意分野である。緊急脱出装置もその技術を元に成り立っている。
ちなみにまがい物の魔法は自身の属性魔力に関わらず他の属性を使えるようになるが、その代償として本来の魔法より消費する魔力が多い。
「ほらほら、試してみてよ!」
「はいはいわかりましたよ」
カードをセットし、発動させてみた。
『マジックリンク』
魔力が自身に集まってきている。
「その下のボタンを押して!」
『疑似魔法 ファイアーボール』
手の先に魔力が集まって火球が生成された。それを前に掲げて的を狙う。
「はぁ!」
勢いよく火球を打ち出す。まっすぐと的にあたって弾け、的ごと消滅した。
「おお!」
「見事にこれも成功!」
俺も博士もまるで子どものようにはしゃいでいる。
「これ凄過ぎませんか!」
「そうだろうそうだろう!」
「これさえあれば、ダンジョンの探索なんてものすごい捗るじゃないですか!」
「い、いや〜実はね...」
なんだか不穏なんだが...
「これ借金して作ったもんだし、何なら希少なものをに使っているからそんなに量産できない。まぁ一様それの劣化版は発表するけど。」
なるほど、たしかにこんな力が安安と手に入れられるわけではないからな。そうなると、今博士は借金していることになる...
「え、一体どれぐらい借金したんですか?」
「えーっとねぇ...ざっと十億?」
「えー!どうするんですか⁉」
「一様学会で発表しとけば金は入るし...一応ちゃんとした機関で借りたから問題はない!後の借金は君に稼いでもらえればいいんだからさ!」
「はい⁉何で博士の借金を返さなくちゃいけないんですか⁉」
「君に単位を上げているのは私だ。その代わりに実験には付き合ってもらっている。それと同じさ、要はそのベルトを使って実践をしてほしい。そして金を稼いでほしいのだ!それだって君が『オールシーカー』だからこそ使いこなせるんだ。」
『オールシーカー』
すべての武器を扱えるレア職業。器用貧乏として見られることが多いためあまり活動をしていなかった。でも、自分にあったものを渡してくれるからあまり断ることができない。
「わかりましたよ...これを使って探索をすればいいんですね。」
「そうそう、次の強化素材にレアドロップの「世界樹の杖」が必要だから森のダンジョンに行ってきてくれないかい?」
「森のダンジョン...というと奥多摩のダンジョンが一番近いですかね。」
「そうだね。後はまぁついでに沢エリアも行ってきてもいいかもね。蟹取れるし。」
まぁ奥多摩の方はいろんなダンジョンがある。行ってみて損はない。
「わかりました。そのレアドロップを回収したら帰ってきますね。」
「お願いね。一様ここからの交通費とホテル代はこっち持ちだから後で請求してね。あとはいこれ。」
博士からポーションと何枚かのカード、あとカードケースをもらった。
「今回は木属性だから火属性の魔法カードを渡しとく。あとこれは必殺カードだ。ボスを倒すときとかに活用してくれ。」
「わかりました。」
「あと魔鉱石をいくつか取ってきてくれ。剣の強化に使えるし、修復にも使えるから...これで私からは以上だ。」
「それでは行ってきますね、博士。」
「ああ、行ってらっしゃい。」
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