第21話 和平協定
南郷の体育館の窓が、全部開けられてあった。
その中に那珂随員一行と南郷の指導者、役員、関係者一行が居て、真ん中のテーブルで和平調書の作成が行われていた。
「桜井」
沙羅が呼ばった。桜井は南郷側からおずおずと出て、沙羅の前に来た。
「良くやりました。ごくろうさま」
「そんな、自分は何も・・・・」
桜井は言葉が続かず、ただ涙するばかりだった。
「田中3号」
次に雅史が呼ばれた。
おずおずと沙羅の前に立つと、”パシッ!”と雅史の頬が鳴った。
「あ~あ、怒られてやんの」
衆人が注目する中、沙羅の目からポタポタと涙が床に落ちた。
「あ~あ、泣かしちゃった~」
「小杉さん、解説要らない」
「は、い」
「先生、カバン」
南郷の双葉が、雅史愛用のカバンを高く掲げていた。
雅史がカバンを取りに行くと、双葉が雅史に飛びついてキスをした。それに触発されたのか、次々と女子が群がり、雅史にところかまわずキスの雨を降らせた。
山村教官はシブい顔をしていたが、何も言わなかった。
ふらふらになって、にやけて戻った雅史を綾が睨んでいた。
”パシッ!”と雅史の頬が鳴った。
それをきっかけに、殴る、蹴る、叩くの歓迎か、やっかみか、嫉妬か分からぬ、暴行?、祝福の嵐があった。3Cの生徒はいうに及ばず、高橋すず先生までが加わっていた。
「ずいぶんと、手荒い祝福ですな」
「ホントに、まったく誰の影響なのか」
うずうずする沙羅のドレスを、国王がしっかりと握っていた。
― 了 ―
雅史が行く 森 三治郎 @sanjiro
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