第8話 南楽での会食


 『草』の通告をした日から3日後、雅史、小杉、黒田は再び『南楽』に集合した。今回は、ただの会食だ。


 

「田中さん、最近どう?」


「まあ、ぼちぼちかな。そういえば昨日の夜、変な夢を見たなあ」


「へえ~、どんな夢?」


「場所は相撲の稽古場、土俵。ぶつかり稽古の真っ最中。ドスっとぶつかる音。飛び散る汗。もうもうと立ち上がる湯気。額にはり付く後れ毛。俺にぶつかって押す。押して押して、いなされて横にゴロゴロと転がる。良く見ると3Cの女子なんだ」


「え~」


「みんなマワシを締めてさ、おっぱいをプルンプルンさせてさ、パシャとぶつかって来るのよ。おっぱいがパシャと当たって、白い柔肌がうす赤く染まって。汗で湿ってペットリと吸い付くのよ。それに、真っ白いケツにマワシ」


「うん」


「うん」


「それから、実戦形式の稽古。柔肌がぶつかって来て密着、引き付け合い。『むぎゅ~』と苦悶の表情が堪らない。それから、押し倒して『きゃっ!』といって重ね餅。チチをぷるんぷるんいわせて突っ張り、組み止めて引き付ける『いや~』と言ってもかまわない。マワシがくい込む、くい込む」


「うんうん」


「うんうん」


「それから、沙羅さまが登場」


「え~何で沙羅さまが」


「唐突だな~」


「それは、夢だから理屈なんてないよ。沙羅さまは、かわいいミニパイでさ~。それで、立ち合いからババババッともの凄い突っ張り。回転が速くて見えない。バーンと羽目板まで吹っ飛ばされた」


「うん、さすが~」


「納得~」


 

 ガラっと障子が開いた。


「止めなさい。そんないかがわしい話しは」


「あっ、朱ちゃん」


「ええっ、朱ちゃんて?」


「朱美だから朱ちゃんだろ。それより聞き耳はよくないなあ。それに、これは田中さんの夢の話だぜ」


「いくら夢の話でも、人に話した時点で公開したも同じ、恥を知りなさい。自分の担任の生徒をエロ話のネタにするなんて、呆れてものもいえないわ。これは、れっきとしたセクハラです。

それに沙羅さまを出すなんて、ありえない。不敬です。市中引き回しの上、獄門打ち首です」


「まあ、まあ」


「悪かった、謝ります。ごめんなさい。だから、この話は聞かなかったことに。ねっ、小杉さんも黒田さんも、聞かなかったことに、ね」


「うん、分かった。聞かなかったことにする。朱ちゃん、この肉旨いよう。食う」


「何言ってんですか、そんなのいつも食ってます。・・・・しょうがない、私も聞かなかったことにします。だけど、うふ、これは貸しですよ」


朱美は、ニヤリと笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る