第12話 貴方の帰還
「それじゃ行ってくるよ」
貴方はそう言って戦地へと行った。
青空がよく見える日、洗濯物を干しながら貴方の帰りを待っていたわ。
けど貴方は帰ってこなかった、帰ってきたのは遺書と小さな封筒。手紙には一緒に入っている封筒のことそして私と息子への最後の言葉だった、その日はたくさん泣いた姉や母がいなかったら私はとっくに折れていたわ。一緒に入っていた封筒の中には植物の種が入っていた、けど手紙にはなんの種なのか書いてないし投げやりで植えてくれとしか書いていなかった、あの人の最後の願い粗末にすることはできず庭のよく見えるとこに植えた。
毎日水を与え続けたがその種は実ることがなかった、何がいけなかったのかわからなかった。
「貴方知ってたでしょ、私があまりこういうのができないこと。なのにどうして…」
涙でまえが霞む、貴方が最後に残したものさえもわたしは無いものとしてしまう。ごめんなさい…
あれから数年たった、息子も大きくなって友達と遊びに行くようになっていた。貴方のように元気で色んな人から好かれる人になってるよと伝えることができたら伝えたいものだ。
あの日植えた種がみのならかったことを私はひどく後悔してる、あの時水を与えすぎたのかもや土が悪かったのかもしれないと後悔をしている。その後悔を忘れるために庭が見えないようにカーテンをつけて過ごしていた、何年も過ごしているからそのことは忘れていった。そんな日が続いてゆき私と旦那の結婚記念日の日になった、貴方がいない結婚記念日はもお慣れたわ。
「結婚して何年になるのかね、私は覚えてるよあの時貴方は私の好きな花をもって婚約してきたわね、その花は…イングリッシュラベンダー……」
私は花の名前を言って思い出した、私と旦那が出会ったのは公園にあるガーデンだと、私たちを結んでくれた花、お互い好きな花、そして結婚の時も咲いていた花。
「まさか…」
急いでカーテンを開けると、今まで雑草が生い茂っていたとこにイングリッシュラベンダーがたくさん咲いていた。
「あの時貴方がくれた種はそうだったのね私ったら、そんなことを忘れて…」
綺麗に咲くイングリッシュラベンダーは出会った時よりも華やかに見えた。
イングリッシュラベンダー
幸福
ゴミ捨て場の花達 黒蛾骸彦 @Kurogakarahiko0326
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ゴミ捨て場の花達の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます