第10話 机の上の小瓶
「綾瀬さんのことは俺もひどく悲しい、綾瀬さんの分も学んで遊ぼう天国にいる綾瀬さんもそうして欲しいだろうからな」
先生からのその言葉を聞きながら色んな子が泣いていた、綾瀬さんは交通事故にあって亡くなってしまった。机の上に置かれた小瓶の中には少量の水と花が刺してある、すぐに枯れてしまうだろう。
毎日の水換えはみんなでやると約束したのに結局はわたし1人がやっている、みんなは悲しんだだけで自分で動こうとはしなかった。
「綾瀬さんの巾着袋だ、なんでこんなところに」
ロッカーの上に埃まみれになりながら置いてあったピンクの巾着袋、わたしと同じ柄の大切な物がそこにあった。
「返しに行こう…」
雨の中綾瀬さんの家へ届けに行った、事故があった電柱付近には花やお茶が置かれていた。
『はーい、あらミカちゃん』
「綾瀬さんの巾着袋を返しに来ました」
『これ、そうだったね。2人で仲良く買いに行ってたね、この刺繍されてるシオンの花が好きっていってたなぁ…ありがとうミカちゃん、大切なものを届けに来てくれて』
帰り道は空に虹がかかって雨も止んで大きな水たまりができていて1人で遊んで帰った。水溜りは大きすぎて1人で遊ぶには余りすぎてしまった。
翌日、母と花屋に行って巾着袋に書いてあった紫色の花を買って小瓶の中に入れた。
あの子が好きな花をたむけた。
シオンの花言葉
君を忘れない
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