第八話「突然開催!なぞなぞ大会」
夕食後、あたし達は暖炉のある部屋でくつろいでいた。
一時はどうなることかと思ったけれど、泊めてもらうことができて良かったわ。オルフの顔はまだ晴れていないけれど。
彼女とあたしから少し離れたところではセサミと家主である三兄弟が座ってなぞなぞを出し合っていた。
「問題、火が燃えている横にいる鳥は?」
「はいっ!」
ファイラの出したなぞなぞに、セサミがすぐさま手を挙げて答える。
「火の横でヒヨコ!」
「正解!」
「お兄さん早いねぇ」
そう言って褒めたのはプラクル。その横でフィドリが口を開く。
「じゃあ次はぼくが出題するよ」
四人の様子を眺めながらこんな言葉が漏れた。
「すっかり意気投合しちゃって」
出会ったばかりの時はお互い喧嘩腰だったのに、短時間であんなにも仲良くなるなんて。子供ってすごいわね。まぁセサミは猫なんだけど。
「あの、いろいろとすみません」
不意にオルフが謝罪の言葉をかけてきた。
「ぼくが余計なことを言ったばかりに……」
「気にしないで。いくつかわかったこともあるし」
「え?」
驚いている彼女を見遣りつつ、真偽を確かめていく。
「ファイラ達が三兄弟だと知っていたのは以前会ったことがあったから。そしてあなたが強くなりたいのは悪いことをするお兄さんを止めたいから。違う?」
「その通りです。ぼくが強くなれば優しい兄に戻ってくれると思って……」
強くなりたいという願いの裏にはやはり事情があった。推測は当たっていたらしい。
「伝わるといいわね」
「はい……」
オルフの表情はまだ暗かった。そこへセサミから声が飛んでくる。
「主達もなぞなぞ参加してよ!」
ちょうどいいタイミングで来たわね。
「今行くわ。ほら、行きましょう」
「はい」
なぞなぞがいい気分転換になるといいのだけど。
「来たね」
あたしとオルフが来たのを確認したセサミはフィドリに声をかける。
「じゃあフィドリよろしく!」
「問題。Aさんは毎週ある曜日に必ず揚げ物を食べます。それは何曜日でしょう?」
「なんでしょう……」
オルフが不思議そうな顔で首を傾げる。なぞなぞに集中しているみたいね。表情が戻ってきたようで良かったわ。
「そんなの健康に悪いよ!」
そう言って怒ったのはセサミだ。猫が栄養のこと考えたりするなんて、なんだか変な感じね。
「なんでそこ気にするのよ。答えは金曜日ね」
「正解」
「どっ、どうしてですか?」
わかっていない様子のオルフ達にもわかるよう、簡単に解説する。
「揚げ物は英語でフライ。フライデーは日本語で金曜日でしょ?」
それを聞いたオルフはすぐに納得したような顔をし、三兄弟も頷いた。その点に少し驚く。当然のように答えたけど普通に曜日の概念あるのね、この国。
「なっ、盲点!」
セサミが叫ぶ。英語と日本語に直すのが盲点だったってことかしら。それにしても大袈裟ね。
「そこまで驚くことじゃないでしょう……じゃあ次はあたしが出すわ」
「ドンと来い!」
ファイラが言った。
「池にカエルが七匹います。さて、子供のカエルはその内何匹いるでしょう?」
「えぇ?わかんないよ」
まっさきにプラクルが言った。たった一人を除いたみんなは彼の言葉に同意するような顔をしている。
唯一笑みを浮かべているのはフィドリ。どうやら彼は答えがわかっているようね。視線を向けて小さく頷いて見せる。さぁ、答えてみなさい。
「ひっかけ問題だね。答えは0匹だ」
「なんでだよ」
ファイラが顔を顰めて尋ねる。対するフィドリは自信満々に理由を語った。
「カエルの子供はオタマジャクシじゃないか。つまり子供のカエルは存在しないんだよ」
「正解。なかなかやるじゃない」
解説も含めて見事だったわ。
「お姉さんたちだってすごいよ」
「ねぇ主、問題もっと出して!」
セサミが興奮気味に言う。見れば他の四人もどこかうずうずしている。きっと次の問題が待ち遠しいのだろう。
「わかってる。そんな急かさないでよ」
さて、次に出すのはどれにしようかしら。
あたしは記憶の中にあるなぞなぞを思い返した。
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