第6話
あれから1週間。今日は、飛行訓練を本格的に始める日だ。みんなすでに手に箒を持ち、今日に限って来るのが遅い先生をソワソワしながら待っている。
「おまたせいたしましたねん、みなさんさぁさっそく出発いたしましょうねん、れっつらごー」
到着そうそう先生の号令、みんなが一斉に飛び上がった。どの顔もワクワクしている。それもそのはず。この学校に入ってから飛行魔法は授業で習っていないうちは禁止され、徒歩では行くことのできないだだっ広い校舎の隣の森、通称、禁じられた森へ行くのはみんな初めて。禁じられた森はその名の通り、入ることは禁じられており謎が多い。一度入ったら二度とでてこれないとか、森自体が呪われていて入ったら森の栄養にされてさまうなど様々な説が行き交っている。そして、危険だと噂される一方で禁じられた森を攻略し、無事帰って来ることが出来たのなら強力な魔法が手に入るという噂もある。学校の強固な管理により攻略はおろか侵入することが出来た生徒でさえも一人もおらず、この事実はより一層のこと生徒の興味を駆り立てた。
ジャルダンも森に興味がない訳ではなかった。しかし、今は目の前でフラフラと揺れながら必死に飛んでいる危なっかしい金髪に目がいっていた。トゥールにはなんだか既視感を感じるのだ。この学校に入ってから初めて会ったはずなのに以前に会ったことのあるような感じがする。それに、トゥールからはただの落ちこぼれとは思えない何かがある気がする。事実、トゥールは魔法の技術はトップレベルで低いが口で嫌味を言われることはあっても直接手を出すものはいなかった。もちろん家柄がそこそこ良いからと言うのもあるだろうがそれ以上の何かをトゥールからは感じる。
トゥールを含め全員がなんとか森までたどり着くことが出来た。先生は優秀だと歓喜し、褒め称える。確かに全員でゴールできたのは驚くべきことで素晴らしいと思うが話が長い。すると、一人の男子がバランスを崩して箒から落下した。先生がすぐさま助けに行こうとするがなんと森が動き出したのだ。先生のほうに鋭い木の枝が迫る。先生は間一髪で交わしたが落下する生徒を助けるには間に合わない。だが、4人だけ助けようと動いている者たちがいた。1人と4人は急降下していきまるで森に呑み込まれたかのように見えなくなっていった。
ムニ、ほっぺがつままれた感じがしてほっぺの方へ手をやると柔らかい感触があった。不思議に思い、目を開けるといつかの放課後に見たのと同じ光が暗闇の中で光っていた。
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