第4話
「いや〜、あの子いい子だな!ママレードくれたし!!」
さっきとはうってかわりスキップをするような足取りにギルティはなっていた。
「単純だな、餌付けされて」
と言うと
「いや餌付けされたはされたけどさ、普通にわかるじゃん、ちょっと話せばそいつがいい奴かはさ。まぁ例外もたまにいるけどそれほど器用には見えないし」
珍しく遠くを見るような薄ら笑いをしながら言った。こいつもおとぼけだ奴には見えるが正真正銘の貴族。貴族は金も権力もあり順風満帆にも見えるが裏での権力争いによる騙し合い奪い合いは頻繁に起こる。それに子供が巻き込まれるのも良くある話で自然と人を見る目は養われていく。
「まぁ、いい奴なのかもな。だがいい奴って言うだけで生きていけるほど魔法界は甘くない」
「あーあ、ほんと世知辛い世の中だね。」
ギルティが軽く肩をすくめた。
キーンコーンカーンコーン。今日の授業が全て終わった合図の鐘が鳴った。放課後、トリザー学園の生徒はみな自由に過ごすことが許されている。学生証を持っていれば門をくぐり学校の外へ行きおしゃれなカフェにも行けるしもちろん学校に残って勉強しても寮へ戻って休憩しても良い。ジャルダンは普段、図書館で軽く自主学習をしてからギルティや他の男子クラスメイトとゲームやスポーツをすることが多い。今日も先に自主学習をしようと図書館へ行った。今日は寮でゲームをやっているらしいクラスメイト達にすぐ合流するつもりだったがいつの間にか夕陽が沈んだらしくもう外は暗かった。
カツ、カツ、カツ、
ローファーを響かせながら寮に続く廊下を歩いていると廊下の横に広がる芝生の先がキラキラ光ったような気がした。なんだか気になって廊下から芝生へ出てキラキラ光った方へ進んでみた。近づいてみるとどうやら動いている。さっと近くにあった校舎の柱に隠れた。じっと見てみるとそれは誰かが飛行魔法を練習しているらしいとわかった。制服のロープについているフードを被っているため誰かは分からない。だが、誰だか追求する気にも光りについて追求する気にもなれずジャルダンはだまってその場を立ち去った。
ジャルダンが寮へ帰るとクラスの共有スペースでまだギルティと何人かのクラスメイトはゲームをしていた。呆れた気持ちで
「まだゲームやってんのか、」
と言うとクラスメイトの一人が
「ジャルダンくん、ギルティ強すぎて全然勝てないんで交代して下さいよ〜」
と言った。
「へっへっへー、別にいいぜ、ジャルダンぼっこぼこにしてやるぞー!」
調子に乗っているらしいジャルダンは拳を作り殴る真似をしながらこちらを見る。
黙ったままコントローラーを受け取りテレビ画面と向き合う。
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