第3話
「では、箒を呼び寄せれた方々には実際に飛んでみてもらおうと思いますん。このグランド内なら思い思いに飛んでいただいてかまいません。アドバイスが欲しい方は私のところへいらっしゃい
ん。」
その言葉を皮切りにみんなが箒で飛び始めた。下の方で少しだけ地面から浮いているものもいれば基本に忠実に教科書通りのもの、横向きに座り軽やかに飛んでいるものもいる。
ジャルダンは誰よりも高い位置で箒の上で立ったまますいすいと空中を進んでいる。横でギルティは箒にぶら下がったりして遊んでいる。上からクラスメイトの飛びぶりを見ていたギルティが言った。
「飛行魔法って魔力コントロールのセンスでるよな〜、あの魔力を箒に流して飛行させるのってもう感覚だし。コツ掴めば簡単だけどさ。」
「ふん、箒を呼び寄せも出来ない貴族は論外として飛行魔法を入学時点までに完璧に扱えていない時点で魔力の持ち腐れだ。魔法家系生まれなら飛行魔法ぐらい家でいくらでも練習する機会はあっただろ。」
そうこうしているうちに授業は終わった。どうやらトゥールは最後まで箒を呼び寄せることはできなかったらしい。箒を片付けて教室へ戻る最中、また女子の大きな声が廊下に響き渡る。
「飛べないだけではなくて、箒を呼び寄せることもできないなんて貴族の恥ね。偶然ラッキーで入れた平民以下なんてほんっと信じられない〜笑」
「クスクス、やだ事実言ったらかわいそうよ〜」
「センスない子と平民といい、こんな子達と同じクラスなんて私達かわいそすぎなんじゃない笑」
3人組女子の悪口に該当するであろう人物は両方とも近くにいてちらちらそちらを見ているあたり戦犯であることがわかる。悪口を言われた金髪ウェーブは教科書を胸元で抱え少し下を向きながら歩いている。それとは対照的にもう片方の悪口の対象である短髪の黒髪は髪と同じく真っ黒な瞳を冷ややかに女子達に向けてスタスタと歩いていた。
「あぁ〜、腹減った。1限から魔力使うとやっぱ腹が減る!これで3あと3限授業受けろとかマジかよ〜」
腹をぐーぐー鳴らしながら歩いているギルティに腹が減ってるのはお前が朝ごはんを食べていないからだとつっこむ。
「あのぉ、もしよかったらこれ食べて下さい。」
トゥールがギルティにおずおずとピンクのリボンで包装されたママレードを差し出した。
「まじ!お前良い奴だな、サンキュー!」
ギルティはすぐさまママレードに食いつくとうまいうまいと言った。トゥールは嬉しそうに微笑み教室へ小走りで向かっていった。
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