第7話 アイスカップ

アイスカップが溶けてくる。


「そろそろ食べごろ」と君の声が脳裏に響く。


「そろそろ食べごろ」


真似して言った寒い部屋で、銀色のスプーンはアイスに沈んだ。


思い出す、甘くてぬるい君の優しさと炬燵の温もり。


別の部屋に行ってしまった彼の炬燵に、


せめてアイスを溶かしてほしいと願ってしまう夜。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

失恋の断片たち チャガマ @tyagama-444

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ