第6話 自販機

一晩中、彼と歩いた。


それは彼に別れを切り出されて、私が泣きじゃくったからで。


二月の寒空の下で手を繋いでいた。


「やっぱり離れたくない」


ズビズビの鼻声で言うと、彼は笑った。


笑い事じゃないのに私も笑っちゃった。


「これ奢り」


途中、自販機から出てきたミルクティーが目に染みる。


かっこつけ。

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