004【クチコミ】があれば【宿選び】もハズレなし!

【リルドおっさんの宿泊所】

 4.7★★★★☆(457)


 E級冒険者

 ★★★★★

 おっさんの愛想がいい。

 ベッドが綺麗

 水も使い放題


 王都を知り尽くしたC級冒険者

 ★★★★★

 これは王都の穴場!

 おっさんのおかげで地元の人とも仲良くなれた。場所はちょっと分かりにくいけど、それがまたいい感じ。


 おっさんファンのB級険者

 ★★★★★

 オストリアの拠点はここ以外ありえない

 中心街から少し離れているが、それもまた静かでいい


 おっさんの元気な声が忘れられないF級冒険者

 ★★★★☆

 ふらっと見つけて入ったが、かなり良い

 おっさんがちょっとだけ元気すぎるが、思い出し笑いができる




「ふああああ、ねむ……って、ミルフィ!?」

「すぅすぅ……」


 ふかふかのベッドで目を覚ます。

 部屋は個室、ウェルカムドリンクも付いていた。


 俺の横にミルフィが寝ていた。

 横にもう一つベッドがあるのに潜り込んできたのだ。


 ……好きなのか? 俺のことが好きなんだろうか?


 出会ってすぐに好かれるほどのイケメンなのかもしれない。

 確かに今の俺はカッコイイ。


 そうか、罪な男だ。


「――くしゅん」


 その瞬間、俺は気づく。


「……寒いからか」

「ふにゃ、おはようタビト」

「おはよう。なんで俺のベッドに」

「寒かったからぁ。タビトはあったかいにゃあ」


 そう言った彼女は、ほどよく大きいたゆんを揺らした。

 もしかして寝ているとき、彼女は俺にくっついていたのだろうか。


 ……今夜は夜更かし決定だな。


 ミルフィはあくびをしながらベッドから降りると、柔軟しはじめる。

 凄い可動域。さすが猫人。


「それにしてもいい宿だね。これで一泊、1人銅貨五枚だなんて、信じられないよ」

「確かにな。クチコミ通りだ。いろいろ・・・・と――」


    ◇


「がはは! そうか、お前さんたち初めて王都に来たのか! これも食え! おうおう、これも食え食え!」


 一階に降りると、筋肉ムキムキの宿主リルドが朝食を用意してくれていた。

 王都で人気のミルクパンとクリームスープ、更にお代わり自由のサラダが付いている。

 ちなみに朝ご飯は無料だ。


 至れり尽くせり。クチコミ通り素晴らしい。


「リルドの親父さん、最高だなこの宿泊所」

「だろう! オレ好みに仕上げたからな!」

「本当にいいところだよー。気に入ったにゃあ!」

「ったく、お前らいい奴じゃねえか! ほら、これも食べろ!」


 そう言ってリルドは、更にパンを追加してくれた。

 あと百回は褒めよう。


「でも、なんでこんなに安いんだ?」

「俺は昔、冒険者をやっててな。宿泊所ってのは、どこも足元をみやがる。アコギな商売しやがってと思ってたからよお。安い宿を作ってやりたかったんだ」

「なるほど、確かどこも高かったな……」


 昨晩、クチコミを調べながら歩き回ったが、値段が高いとか、突然キャンセルされりと低評価ばかりだった。

 ここは偶然見つけたのだ。

 夜にもかかわらず元気なリルドに案内してもらい今、というわけである。


「当分王都でゆっくりするんだろ。何かあったら何でもオッサンに何でも聞きな! 冒険者は引退したが、できることは全部教えるぜ!」

「ありがとう、リルドの親父さん」

「おっさんでいいぜ!」

「ありがとう、オッサン」

「順応が早いな」


 元気なオッサンだ。だがふと視線を下に向けると、右足が義足だった。

 クチコミにも書かれていた。

 過去、任務に失敗して傷を負ったらしい。


 冒険者には憧れがある。創作物でもカッコイイしな。


 だがこの世界は現実、そう簡単ではないのだろう。


 オッサンんのおかげで朝から楽しいが、気を引き締めるべきだとも思った。


「タビト、準備できたよ!」

「ああ行こうか」


 今日は素材を売りにいく。

 それから少し街の散策だ。

 まだ王都のことは詳しく知らない。


 クチコミがあれば、もっとよりわかるだろう。


「ちょいと待ちな若者」

「ん?」


 ――――

 ――

 ―


「がはは! 似合うじゃねえか!」

「おお、動きやすいな」

「タビト、凄く似合ってるよ」

「オッサン、もらっていいのか?」

「さっきの服ボロボロだからな。血もついてたし、洗濯しといてやるよ」

「至れり尽くせりオッサンだな」

「がはは! リルドの兄貴って呼びな!」

「ありがとうオッサン」


 俺は、新しいブラウンの服の上下に身を包んでいた。

 オッサンが冒険者時代に来ていたものらしい。


「でもこれ、右足だけやけに短いけど、まさか――」

「がはは! 気にすんな気にすんな!」

「まあでも、これもダメージジーンズみたいでかっこいいぜ。――じゃ、行ってくる」

「おうよ!」


 ミルフィ

 ★★★★★

 ベッドがふかふかで最高にゃあ

 朝からボリュームたっぷりのご飯嬉しいにゃ


 タビト

 ★★★★★

 値段も安くてベッドもふかふか

 おっさんの愛想もよくて完璧

 程よい寒さも、おっぱい的には最高だぜ!


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