第2話 そつぎょう
たまに非人道的なことを思う。
それは、よくある
「死にたい」だとか「辞めたい」だとか。
ごく一般的なもの。
負の感情は心のHPにオーバーキルを入れてくる。
その大きすぎるダメージに対抗する術はない。
つまりただ漠然と
「疲れた」と言う言葉が口癖になる。
するとそれを認めたくない、社会人としてあるまじき言葉だ。とだけ叩き込まれた脳内で
「眠いと」変換される。
― ―薄汚れた空をぼんやり部屋から眺めながらただ無情に
ヒトが嫌いになった。
大勢集まる場所は頭が痛い。息が苦しい。足元を見てぶつからないように歩く。
新しいところではうまくいきそうだ。職種も雇用形態も違ったからずいぶん気が楽になった。ただ変わらないものもあった。
時々来る悪魔が自信を奪っていった。また思い出しては、あらぬ妄想を膨らませ病んだ。忘れられない。
「あの一緒に働いてる新人ちゃん。あんなに使えないことある?」
また
そうやって言われるのが
こわかった。
失敗するたびに
冷や汗が
止まらなかった。
悪魔が去ると、とても気分がいい。仕事も新しいこともじゃんじゃん覚えられるしチャレンジしたい。先輩とも日常会話を話すのも楽しい。
そんなのを繰り返すんだから
疲れた。
業務が難しくなるごとに
よし!と思うときと
うーん。めんどくさいと思う時がある。
だから漠然と
「死にたい」「辞めたい」と思うしかない
また明日のことを考えている。
その周期に気づいたのは最近だった。つい半月くらい前。
明日のことは明日しかわからない。のに寝る前も出勤前もとても考える。
もしかしたら、、かも。いや、そのせいだからと甘やかされたくない。その考えだけはしない。
はあ、頭いたいな。
助けて。
このひと言が言える人生だったらどれほど楽だっただろうか。ダムのように溜め込んで溜め込んで決壊していく。プライドなんか底のほうに沈んでしまった。
ただし、楽に生きたいわけじゃない。簡単に進まないのも充分わかっている。
ただ体力は注射器の様におしだされだんだん減っていく。温存するしかない。燃費が悪い。なくなると集中できなくなる。雑念が一気に流れてくる。気がつくと誰も見てないところで鼻歌なんか歌っていたこともあった。
こんな人間でも働けていることが不思議で仕方ない。
だから、数年先の心配はしていない。今しか見えていないのかもしれない。でも、まだ頑張れる気がするからもうちょっとやってみることにする。
圧倒的不満 千世 護民(ちよ こみん) @Comin3
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます