第42話 素材合成 4(石+骨+肉) 

 部屋に入った俺は早速ローレに似合うマッスルゴーレムの制作に取り掛かった。


 ドワーフの女性をモデルにして、小柄で器用な女性。

 それでいて、気遣いができるような配慮ができるようにしたい。


 だから、作りあげるマッスルボディーは、手先の器用でちょこまかと動きやすい足元を作り上げる。


「AIゴーレムに注文する、マッスルゴーレムのバランスを調整が難しいな」


 あまりにも細くしてしまうと力不足になってしまう。

 だからといって力をつけるためにマッスル部分を増やすと身長が低いので真ん丸になってバランスが悪くも感じる。


 上手く調整しないと、ロックゴーレムもサンドゴーレムの時のように失敗してしまうから、今回は配合の調整は緊張しながら、しっかりと確認を行なっていく。


「ふぅ、なんとか調整できたかな?」


 マッスルゴーレムのバランスが、整って足元や肩幅、腕の太さなど、不格好に見えないように、整えていく。


 さらに、腰や胸元、背中など、今回はパーツ、パーツを整えていく。


「よし、スケルトンゴーレムに、マッスルゴーレムを合成して」


 元々、スケルトンゴーレムはドワーフの骨格に合わせているので、マッスルゴーレムをAIゴーレムで形を整えて、ローレのイメージに合わせていく。


 素朴な感じの美少女で、ドワーフとして力持ちでありながらもスタイルは良くして、少し見た目には丸みがある感じにする。


「スケルトンゴーレムと、マッスルゴーレムを合わせることでフォルムを最終調整して」

 

 動きは早くなくてもいい。

 手先が器用で、力持ち。

 優しくて気遣いのできる女の子になってほしい。


「次は岩で作り出させる皮膚だ」


 ドワーフの人体模型が完成したところに、ロックゴーレムを合成してく。

 プログラミングはすでに、ローレとして出来上がっている。

 だから、マッスルゴーレムを合わせることで、声帯や感触が追加されて、強化されることになる。


「AIゴーレムで、整えてこれとこれの要素を追加して」


 四体目の美少女ゴーレム作成なので、随分と手慣れてきたけど、今まで一番手をかけていると思う。


「どうだ?」


 ロックゴーレムの合成を終えて、肌色は、白に近い灰色で、小麦色の肌をしているドワーフとは違って、どこか小柄な美少女という印象だ。


「うん? 主人」


 おっ! ロックスケルトンゴーレムの時には、聞くことができなかった少女らしい高い声に、口数は少ないながらも、しっかりとローレだとわかる話口調。


「よし! 完成だな。何か違和感はないか?」

「ないよ」

「よかった。そのまま性能調査をしたいんだけどいいか?」

「うん」


 俺はロックゴーレムを連れて、ドワーフの街を出た。

 出る時には、小さな門から出入りができるようで、大きな門を開くのは、馬車の通る時などだそうだ。


 たまたま、俺が入る時には馬車の出入りが重なったので、通されたと言われてしまった。


「ハァー、デカい門が開いたのに感動したんだけどな。まぁいいか。とりあえず、ローレ。行こうか」

「うん」


 今回はゴーレムとしての性能を確かめる。


 器用で物作りができるなら、助手としてこれから重宝するだろうけど、ゴーレムとして弱いということは正直ないと思っている。


 サンドの変幻自在な攻撃や、アイの頑丈でパワフルな戦い。

 モッティの素早さを生かした戦いと違う。

 

 ローレだけの戦い方があるだろうと思っている。


「ローレ、まずはファイアーバードだ。倒せるか?」

「うん」


 寡黙でのんびりとした印象のローレがどんな戦いをするのだろうか?

 そんな風に思っていると、ローレは右手を岩のハンマーに変えてファイアーバードを殴り飛ばした。


 飛来して、素早く動くファイアーバードを的確に吹っ飛ばして見せた。


「えっ? すごいな!?」

「うん」

「次もいけるか?」

「うん」


 そのままバジリスクをペシャンコにして、溶岩の中にも入っていく。

 溶けてしまうんじゃ無いかと思ったが、岩で作られた皮膚は溶けることなく火牛を捕まえて戻ってきた。


「ローレ、凄いけど。耐久性はそこまで強く無いから、今後はやめような」


 流石に溶岩に入って無傷では折れない。


 足元は溶けてしまっている。


「うん」

「よし。火牛とファイアーバードを狩れたから帰ろうか」

「うん」


 バジリスクはペシャンコに潰れたトカゲ状態なので、見なかったことにしよう。


 宿に戻るって火牛を見せると……。


「ハァー、久しぶりに見ました。私も何度かしかみたことがないので、火牛を食べられる日が来るなんて!?」


 ファイアーラビットを持ってきたら、どんな顔をするのだろうか? モッティなら、狩ってきてくれそうだから、今度持って来ようかな。


「今日も夕食をお願いします。お肉は全て宿屋に差し上げますので」

「タダでなんていただけません! お風呂、三食付きで、一ヶ月間分はタダとさせていただきます。このお肉で十分に稼がせてもらえるので」

「はは、わかりました。でしたら、適当に調査をする間は拠点にさせてもらいます」

「はい! 出て行かれてもいつでも泊まれるようにしておきますので!」


 なぜか、腕を掴まれて胸に押し当てられる。


 ドワーフも人間も、お肉を差し出すと女性たちが興奮するのは同じようだ。 

 

 

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