第37話 失敗?

 サンドのAIゴーレムを作成したはいいけど、魔力消費が異常に多い。


「これはバグか?」

「バグって何?」

「うーん、上手く連結ができていないから、エラーが出てしまうみたいなものかな。見た目は成功しているけど、どこかで間違った作り方をしてしまっているんだ」

「こんなに可愛いのに?」

「見た目の話じゃないからね」


 俺はプログラミング画面を開いて、どうしてこんなにも魔力消費が激しいのか検索を行うことにした。

 

 自動自立型でAI学習をさせる機能は最初から搭載されていた。

 サンドの性格面での成長促しは、素直さだ。


 モッティの明るさ。

 アイの忠実さ。

 サンドの素直さ。


 これを調整して、性格を作成してみたけどここがおかしかったのか? サンドは軟体動物のように筋肉も柔らかくして、スケルトン部分である骨格部分を頑丈なものではなく、こちらも軟骨を中心に柔らかめにして細く薄くしてみた。


 これにより、サンドが保つ際に硬さはほとんどなくなる代わりに、自由自在に体の

形や大きさを変化させることができるようにした。


 さらに見た目は幼女から、老人にまで変化させる年齢による変化も忘れていない。


 確かにここまで書き続けて思うけど、かなり緻密で膨大な量になってしまっている。


 モッティやアイよりも複雑で、チェックする項目が多い。


「お兄ちゃん!」

「ヒースお兄ちゃん! てばっ!」

「うわっ! ごめん。どうかした?」

「もう、夜だよ」

「えっ?」

「ゴーレムさんを見つめたた黙っちゃって、モッティと遊んでたんだけど、ご飯を取ってきたから食べて」

「あっ、ありがとう」


 調べて考え事をして、サンドの調整をしているだけで半日が終わってしまった。 

 それなのに上手く噛み合った感じを受けられない。


「お兄ちゃん!」

「あっ、ごめん」

「もう、考え事をするのは仕方ないけど、ご飯は食べないとダメだよ」

「ああ、そうだな。気分転換に、ご飯を食べたら、面白いことをしようか?」

「面白いこと? なになに?」

「うーん、それはお楽しみで」


 俺は持ってきてくれた肉肉しい料理をいただいて、腹を満たす。

 考え事ばかりしていても、いいことがない時は別のことをして気持ちを切り替える。


「うわ〜、凄いね!」


 使っていなかった石を使って、ロックゴーレムを作り出す。

 AIゴーレムを使って、人間ではない形でも変化を作れるので、今回は浴槽ができないかと思って、手足が伸ばせるほど大きな浴槽を作り出した。


 しっかりと手足を作って、倒れないように吹き上がらせる。

 その下に五右衛門風呂ならぬ焚き火を作って湯を温める。


「お風呂だ! マグマはサウナが当たり前で汗を流してスッキルするんだけど、ずっと入りたいって思ってんだよな。最近はAIゴーレムの使い方もわかってきたから、やってみたかったんだ」

「入ってもいいの?」

「いいよ。でもちょっと待ってね。温度を見て、熱くなりすぎないように薪の調整と湯船に直接火が当たらないようにしないとな」


 色々と調整はいるけど、これはこれで楽しい。


 工房を手に入れられたから、材料が置いてない広い場所を使えば、誰にも見られることなく裸になることもできる。


 調整がうまくできた。


「入っていいよ」

「はーい!」


 素直に服を脱いでいくカイナちゃん。

 子供だと思いながらも女の子の裸なので、一応顔を背けておく。


「ヒースお兄ちゃん。これ何?」

「水着って言うんだ。一応誰か入ってきた時に裸じゃ恥ずかしいかなって」

「ふーん、恥ずかしくないけど、着ておこうかな」


 見えないところでビキニを着たカイナちゃんがお風呂に入る。

 余った布で作って置いてよかった。

 

 タオルとかも自作で作ってみたけど、意外に上手くできた。


「うわ〜温かい! 凄く気持ちいいね」

「熱くないかい?」

「うん。このお風呂の下に敷いてくれている木があるから熱くないよ」


 ロックゴーレムだけでは熱してしまって熱くなりすぎるかもしれないから、ウッドゴーレムをロックゴーレムの形に合わせて湯船の中に浸けている。


「うん。上手く行ったようだね」

「これはいいね。なんだか落ち着いちゃうよ」

「俺がいる時なら、また入れてあげるからいつでもいいなよ」

「うん。ありがとう」


 30分ほどノンビロとお風呂に使ったカイナちゃんがお風呂を気に入ってくれたようだ。カイナちゃんがでた後に俺も入ってみたけど最高だな。


 しかもAIゴーレムと作っているので、履歴が残るからいつでも作ることができる。


 火を起こすことも魔法ではできないけど、湯船を作れるから便利だな。

 それに、薪がわり木はたくさんある。


「ハァー、もっと早くこうすればよかったよ」

「でも、どうして石で作るの? 鉄の方が熱くなると思うけど」

「そうだね。だけど、鉄は熱くなりすぎて、木は燃えちゃうかもしれないからね。だから、石は丁度良くて、火耐性を付けているからロッグゴーレムも大丈夫なんだよ」


 カイナちゃんはお風呂が相当気に入った様子で。

 俺が出た後にもう一度入ってから帰って行った。


 その後、鉱夫の奥様たちがお風呂に入れて欲しいとやってくるようになった。


 銭湯を開くことも考えていいけど、職人さんに湯船を作ってもらった方が早いと思う。金額的なことなら、俺が出してもいいかな?

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