第34話 アイの性能チェック
アイを完成させたことで、喜びはあるものの、カイナちゃんに胸を触っているところを見られて、何か失ってはいけないものを失った気がする。
「ハァ、とにかくアイの性能をチェックしていこう」
完成はできたが、どんなことができてどんなことができないのか確認は必要になる。モッティは無邪気で陽気な性格なために、受け答えがしっかりしておらず、心の成長を促す必要があった。
戦闘では速度を重視した戦いができる。
それ以外に、木を使った魔法を得意としている。
その辺りは主となるのがウッドゴーレムだからなんだろう。
では、アイは何ができるのか? アイアンゴーレムをベースにしたことで、頑丈さとパワーを強める鉄製を施した。
サンドやロックよりも魔力消費が一番多いアイは、魔力に消費に見合う流暢の口調も特徴的だった。
見た目も大人っぽい雰囲気を持つせいなのか、真面目で余計な言葉を発しない感じを受ける。
モッティが子供っぽい感じに対して、アイは大人の女性という感じだな。
「アイ。君が戦っている姿が見たい。魔物を狩りにいこう」
「はい。ご主人様」
余計なことは言わない。
言われたことを実行する。
「それじゃあ鉱山の魔物を倒していこう」
鉱山の中に現れる魔物はミノタウロスと呼ばれる牛の顔と、人の体を持つ魔物で、魔物としても強い部類に入る。
「はい。ご主人様」
鉱山の深部に進めば、進むほど強いミノタウロスが現れるので、俺たちは鉱夫たちが入り込めていない場所へ侵攻することで、鉱山から取れる採掘量も増やすことができる。
「ブモモモモモ!!!」
「来たな! アイ」
「はい。ご主人様」
ゆったりとした動きで、動きは早くはない。
だけど、迫るミノタウロスに動じることなく、振るわれた拳はミノタウロスを吹き飛ばした。
「おお! 一撃か!」
「はい。ご主人様」
言葉は流暢だけど、同じ返事ばかりだから単調だな。
この辺はモッティと同じく知能の成長が必要なんだろうな。
「とりあえず、危なくなるまで進もうか」
召喚している間の魔力消費もそれほど多くはない。
モッティと変わらないぐらいだ。
2体同時に出すと維持するのはキツくなるが、出来ないことはないといった感じだな。
ただ、召喚時に魔力の5分の1を消費して、そこから消費される魔力を考えると現在は一体ずつにしておい方が良さそうだな。
「はい。ご主人様」
アイの戦闘データと俺の魔力消費について検証しながら進んでいく。
そうすれば、モッティよりもアイの方が戦闘面では強いことがわかる。
動きは早くはない。
だが、相手の攻撃を受けても倒れない頑丈さは、俺が魔力を注ぐことで強度を増すことができる。
また、速度も同じように走れば速いが、人の動きと対して変わらない程度。
攻撃手段はパンチやキックでほとんどを一撃で倒してしまう。
ミノタウロスは、高級肉として取引をされているので、マジックバックに収納して冒険者ギルドに販売する。
「アイ、今日はこの辺にしよう」
「はい。ご主人様」
未開の地を2階ほど進めることができたので、ミノタウロス討伐ができれば俺のレベルも上がって鉱山にも得なことばかりだ。
鉱山を出るとカイナとララさんがいた。
「あれ? ララさん。お久しぶりです」
「ああ、カイナに居場所を聞いてな。待っていたんだ」
「何かありましたか?」
「とりあえず、君の工房にお邪魔してもいいか?」
「もちろんです」
俺は鉱山を出たので、アイの召喚を解いてララさん、カイナちゃんと共に工房へと帰った。お茶をカイナちゃんが出してくれて、向き合って座る。
「まずは、私は冒険者ギルドに再就職した」
「再就職?」
「ああ、今は冒険者ギルドで職員になる研修を受けている」
「そうだったんですね。再就職おめでとうございます」
「ありがとう。ハザマのギルドマスターが推薦してくれてな」
「よかったですね」
カイナちゃんが入れてくれたお茶をいただいて、ハザマの街で買っておいたお菓子をマジックバックから出して、カイナちゃんに渡す。
カイナちゃんも座って一緒にお茶を飲んでいる。
「そこで、仕事の一環としてこちらで臨時冒険者ギルドを受け持つことになった」
「臨時冒険者ギルド?」
「ああ、君はハザマの街では有名な冒険者だったんだな」
「有名?」
「自覚はないのか? 君がハザマの街に来てから肉の供給量が以上に増えたんだ。だが、君が鉱山に移動して、肉が減ってしまってな。この辺の魔物を狩っているなら、肉を保存しているんじゃないか?」
なるほど、俺の肉を買いに臨時冒険者ギルドを開いてくれるのか。
それはありがたいけど、わざわざ俺一人のために?
「君は自分が思っている以上に凄いことをしている自覚を持った方がいい」
「そうなんですかね? 今あるのはミノタウロスの肉が50体ほどです」
「ミノタウロスだって!!! あの迷宮の魔物であり、鉱山でも上位に入る魔物じゃないか?!」
あれ? そうだったのか? アイがワンパンしていたから全然そんな気がしなかった。
「え〜と、入ります?」
「いいのか?!」
「ええ。二体ほどは鉱山の村にお裾分けしたいので、それ以外なら」
「買わせてもらおう」
早速、ミノタウロスの相場で買取をしてくれるくれるそうだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます