第33話 素材合成 2(鉄+骨+肉)

 エルシェンとの戦いで、俺のレベルも上がり、大勢に追われるという状況で魔力を消費し続けていたことで、魔力の総量が増えた。


 なので、モッティを召喚するのに大体5分の1を消費するだけで召喚が可能になった。


「さて、アイアンゴーレムをベースにした美少女の方を作っていこうか?」


 前回、キングなんちゃらを倒した時に、全身鎧の女騎士のイメージを持つことができた。

 

「さて、力と頑丈さに曲振りするけど、やっぱりスタイルを良くしたいよな」


 モッティは可愛い系をイメージしたから、小人族のルールーさんをモデルにした。

 今回は、冒険者のララさんをイメージして、凛々しくてかっこいい感じを作りたい。


 身長は168センチぐらい。

 胸は少しボリュームを持って、くびれをしっかりと作る。

 足元も細すぎない引き締まりを作っていく。


 今回は骨格は身長を高くして、強度を増すようにスケルトンゴーレムを作る。

 そこにマッスルゴーレムで形を整えるようにAIゴーレムに注文を出していく形で、作成を行う。


 AIゴーレムは俺の注文を聞いて、形を整えて制作を行う。

 切れ長の瞳が強そうだ。


「うーん、モッティは元々獣人でモフモフベースだったから髪の毛をイメージしてなかった。アイアンゴーレムは髪の毛がないぞ。これはどうなんだろうか?」


 イメージ通りのスタイルと顔だちは作れたか。


 そこにアイアンゴーレムを融合させていく。

 イメージは全身鎧で、体にフィットさせることで力を発揮させやすくする。

 だけど、せっかく作ったボディーが見えなくなるのは嫌だと思っていると、AIゴーレムが答えを出してくれた。


 そこには褐色の肌を持った美しい女性が立っている。


 高身長でスタイル抜群。

 褐色美女のマッスルボディーの肌がアイアンゴーレムということになっている。

 さらに、戦闘スタイルと、普段スタイルで変化をさせられる。

 これはサンドの自由度を応用しているようだ。


 瞳の色は黒く、唇は小さめにすると、顔のパーツもかなりまとまりがいい。


「うわ〜ララお姉ちゃんに似てるね」

「ああ、モデルにさせてもらった」

「だけど、ララお姉ちゃんより、綺麗かも」

「それは個性の問題だな」


 バランスを整えたので、ララさんを整形するとこんな感じになりそうだ。

 ただ、ララさんには正気があって、生きているという躍動感がある。

 だが、アイアンゴーレムのアイには、作り物な正気がない。


「アイ、調子はどうだい?」

「ご主人様。ご命令をお申し付けください」


 モッティよりも魔力の消費が激しかったこともあり、アイの口調は滑らかだった。


「うおおお!!! 思考だ!!!」

「え〜、なんだかお兄ちゃん、やらしいよ」


 カイナちゃんに言われてアイを見れば、素っ裸な女性が立っているように見える。


「あ〜そうだな。アイ、何か服を着れる?」


 鎧の代わりに出現させることはできるのだろう?


「はい!」

 

 そう言ってアイのボディーに鎧が出現する。

 やっぱり、その辺はまだまだ調整が必要なところだよね。


「カイナちゃん。女性用の服ってもらえるかな?」

「お母さんに聞いてみる」

「ありがとうね」


 アイに関しては改良の余地があるがモッティと違って従順なイメージを受ける。


 カイナちゃんが、お母さんに服のことを聞きに行ってくれたので、俺は恒例の確かめをしてみる。


「アイ、鎧を外して」

「はい! ご主人様」


 先ほどの裸同然の姿になったので、ボリュームある胸に手を伸ばしてみる。

 あの日、アーチェさんの胸に触れた時から女性の胸に近づけられるのか、そればかりを考えてきた。


 今日は近くにカイナちゃんもいたから、ボリュームを意識するだけだったけど、感触はどうだろうか?


 俺が胸元に手を伸ばしてアイの胸に触れる。


「うわ〜」


 少し表面の硬さはあるが、胸の柔らかさは再現ができている。


「こっ、これは今までで一番!」

「お兄ちゃん〜!!」


 カイナちゃんの声が聞こえてきて、俺は後方宙返りをしながら、アイから距離をとる。


「よっと!」

「うわ〜! お兄ちゃん凄いね!」

「ありがとう。それで?」

「あっ、お母さんから着なくなったワンピースをもらってきたよ。お姉さん身長高いから着れるかな?」

「アイ、着て見せてくれ」

「はい。ご主人様」


 モッティは陽気な子供っぽい感じだったけど、アイは大人の女性と言う雰囲気を持っているので、ドキドキしてしまう。


 ハァーさっきの行為をカイナちゃんに見られなくて本当によかった。


「ねぇ、ヒースお兄ちゃんは、ララお姉ちゃんが好きなの?」

「えっ? そんなことないよ。かっこいいなって思うぐらいかな?」

「ふ〜ん。ならお胸が好きなの?」


 ドキッ!!!


「えっ? さっき、ゴーレムお姉ちゃんのお胸を触ってたから」

「あっ、あれはゴーレムの体をチェックしてただけだよ!!!」


 俺はどうして子供に焦って言い訳をしているんだろうか? だけど、この誤解を解かなければいけないような衝動に駆られる。


「うん。わかった」

「そっ、そう?」

「うん。私もいつか大きくなるからね。その時は触ってもいいよ」


 そう言ってカイナちゃんが家を飛び出して帰っていく。


「また、晩御飯を持ってくるね」


 俺は両手をついて項垂れた。

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