第27話 鉱山攻略 4

 魔力を全回復までは戻すことができた。

 ただ、これからの動きをどうしていくのか? モヒカン集団がどれくらいいるのかわからない。

 それに相手のボスがどんな奴で強さはどれぐらいなのかもわからない。


「とりあえず、一人一人は倒すことができるからモッティで確実に討伐してもらうとしよう」


 俺は自分は動かないまま、モッティにモヒカン集団の討伐を命じる。

 モッフィがやられるようなことがあれば、次の手を考えなければならない。


 とりあえず、この村の中にいるモヒカンを全て倒してもらうようにモッフィに命令を下して解き放つ。


 一瞬で動きが見えなくなったモッフィは相変わらずの速度重視だ。


 古屋の周りから人の気配が消えていくのがわかる。

 

 俺は天井の柱にしがみついて、三度へ偵察に行ってもらう。

 辺りに人がいないことを確認してもらって、サンドに天井から下ろしてもらった。


「ふぅ、一先ず天井脱出成功だな」


 流石に一晩中天井にいると、体はサンドが寝心地をよくしてくれても暇なので、どうにかしたかった。


「とりあえず飯にするか、夜はあの状態で動けないから、アーチェさんが作ってくれたカツサンドを食べさせてもらった。水牛を使った贅沢カツサンドは最高に美味かった」


 だけど、今日は保存食で簡単に済ませる必要があるので、干し肉とパンを食べることにした。本当は湯を沸かして、干し飯でお粥でも作りたかったがそうもいかない。


「そろそろ外は静かになってきたかな?」


 サンドに外の様子を伺ってもらい、誰もいないのか確認をしてもらう。

 モッティが暴れ回っているはずなので、死屍累々の光景が広がっていることを覚悟したが、モヒカン集団の遺体はどこにもなかった。


 むしろ、昨日ぶっ飛ばしたアニキモヒカンすら姿がなくなっていた。


「もしかして倒せてなくて、逃げられたのか?」


 モッティがそんなヘマをするだろうか? そんなわけはないと思いながら、俺は外へ出た。


 誰もいない。


 昨日、村を訪れた時と同じく村の中は閑散と指定、人っこ一人いない。


 だが、それはおかしい。


 俺を探して昨日の晩から荒くれ者集団が獲物を探していたんだ。


 もしかしたら、ララさんの居場所がバレたのか? それでアジトに連れて行かれたとか? それはありえるな。


 あいつらが一晩探し回っていたからな。


「ヒャッホー!! えへへへ」


 突然、不意打ちでスキンヘッド男が現れる。

 上半身裸の量産型ではなく、スキンヘッド男は初めて見るタイプ。


「キシャマ! ここをモッヒーズの縄張りと知って入ってきたのか?」

「いいや。俺は冒険者ヒース。あんた誰だ?」

「俺か? 俺は黄泉のハゲ丸様よ!」


 小柄な体にスキンヘッド。さらには、二本のナイフをクルクルと回しながら、長居したを出してこちらを威嚇している。


「黄泉のハゲ丸? 知らないな」


 モヒカン隊長が強制収容所の幹部として名前をあげていた一人だ。

 つまりはボスの側近のこいつを倒せば、ボスへ繋がる道が広がるはずだ。


「ヒャッホー! お前が俺を知る必要はねぇよ。すぐに死ぬんだからな」


 そう言って体が揺らいだかと思えば、小柄な体が残像を残して、消えてしまう。


「終わりだ!」


 背後に回り込んだハゲ丸に対して、サンドが壁になってくれる。


「なっ! なんだそれは!」

「ゴーレムだよ。俺はゴーレム使いでね」

「ゴーレム使いだと? えへへへへ。そんな雑魚がよくも俺たちの縄張りに入ってきやがったものだ。なるほどな、お前はいつくか扉を超えて、ゴーレムを自在に操れるようになったと思っているわけだ。バカなやつだ」


 ハゲ丸は残像も残さない速度で、俺の視界から消える。

 

「目にも止まらない速さで動いてしまえば、ゴーレムのような遅くてブサイクな奴に俺様が捕まるわけがないんだ!」

「お前は言ってはいけないことを口にしたな」


 俺の前でゴーレムをブサイクというなんて許せるはずがない。


「サンド、やっておしまいなさい」

「えへへへへ。ゴーレム如きに何ができるってんだ。ヒャッホー!!!キヘエエエエ!!!」

「バカはお前だ。攻撃を仕掛けながら話をするのも、奇声を上げながら攻撃を仕掛けてくるもの無駄ばかりだ」


 だからサンドも準備ができる。

 全方位からの攻撃に対して対処するために、俺の全身を砂の球体にして覆い隠す。


 さらに、全方位に棘を突き出す。


「なっ!」


 ハゲ丸が驚いた声を出す。


 サンドが仕留めてくれたようだ。


 砂の球体が解除されて体を貫かれたハゲ丸が空中に浮いていた。


「死ぬ前に教えてくれないか? お前たちのボスはどこにいる?」

「ケッ! 舐めんじゃねぇよ。俺はもう死ぬ。お前に話すことはねぇよ。さっさと殺せよ」

「わかった。サンド、ドリル」


 突き刺さっていた棘がドリルの形状に変わってグリグリとハゲ丸の心臓を貫く。


「ギャッハー!!!」


 大量の吐血をするハゲ丸。


「もう死ぬだろ。話したらどうだ?」

「ウルへェ!!!」

「そうか。サンド終わらせてくれ」


 俺はハゲ丸にこれ以上時間を使わないで良いと判断した。

 他の幹部もいるので、ハゲ丸にこだわる必要はない。

 

 それにハゲ丸程度が幹部なら、なんとかなりそうだ。


 

 

 

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