第25話 鉱山攻略 2

 上半身裸のモヒカン集団に取り囲まれる。

 変な化粧までしているところを見ると、集団行動をとっている一団で、ここにいるのは全てではないように思える。


「あんたのせいだよ。せっかく隠れていたのに」

「お姉ちゃん」

「カイナ、大丈夫だよ」


 何やら恨み言を言われてしまう。

 モヒカンとは随分と古風な髪型を好むものだ。


 この世界に来てからは初めて見るタイプの一団で、岩場ばかりのこの世界には似合って見えてしまう。


「くくく、やっと見つけたぞ。お前のような良い女は俺たちのような良い男の元に下るのが一番なんだよ。それにガキも成長したら可愛がってやるからな」

「くっ」

「いや!」


 うん。見るからに小悪党な雰囲気にしか見えない。

 それにかなり弱そうだ。


「邪魔な男は労働力だ! お前ら連れていけ」

「ヒャッハー!」

「グフフ!」

「ヒュホホホホ!!」


 多種多彩な笑い方ってあるもんだな。

 小さなモッフィを召喚する。


「あぁ〜? なんだそれは?」

「なぁ、抵抗したらどうなるんだ?」

「抵抗?」


 俺の言葉にモヒカン集団が、互いに顔を見合わせる。


「「「「「ギャハハハハハハハ!!!」」」」」 


 モヒカン集団に爆笑されてしまう。


「こいつ、俺たちに抵抗するってよ。いいぜ、やってみろよ。だが忠告しておいてやる。生半可な剣術や魔法じゃ俺たちを倒すのは無理だぜ」

「なるほど、親切に教えてくれてありがとう。手加減はしないほうがいいってことだな」

「あぁ? 本気か?」


 俺はモッティに命令をした、抵抗しないで一瞬でモヒカン集団を殲滅せよ。


「グウゥ!!!」


 一陣の風が吹く。


 それまで俺たちを取り囲んで笑っていた者たちが一気に吹き飛んだ。


「なっ!」

「えっ?」

「ふぇ?」


 俺と会話していたモヒカン隊長? 意外の全員が吹き飛んだ。

 それを見た女性と子供も驚いた声を出す


「あっ、あんた何者よ!」

「俺は冒険者ヒース。何度もそう名乗っていると思うが?」

「お前! とんでもないことをしてくれたな?! 俺たちの兄弟をよくも傷つけてくれたな」

「うん? ちゃんと抵抗してもいいかと聞いたぞ。それに親切に手加減をしても倒せないことも教えてくれたじゃないか」


 吹き飛んだモヒカン集団が、地面に落下していく。

 起き上がる者はいないので、十分なダメージを与えられたようだ。


「ウルセェ!! くっ! 兄貴! アニキ!!!」


 モヒカンが大きな声で叫ぶと、大男が現れる。

 身長にして二メートルを超える長身の男がその体に見合った大剣を持って現れる。


「どうした兄弟!」

「アニキ! 聞いてくれ。俺たちを馬鹿にする奴がいるんだ」

「なぁ〜にぃ〜!!!」


 器用に片目を吊り上げて、こちらを睨みつける高身長のアニキモヒカン。

 

「こいつが俺たち兄弟をいじめるんだよ」

「お前! よくも俺の弟たちをぶっ飛ばしてくれたな」


 俺の前に近づいてきて、大剣を構える。

 ゆったりとした動きだが、振り下ろす際には凄い力が加わりそうだ。


「ハァー」


 俺が何かをする前に、モッティが背後に周り混んで、アニキモヒカンのお尻に向かって全力でカンチョーをお見舞いする。


「グフっ!」

「アニキーーーーーーー!!!!」


 モッティの一撃で、アニキモヒカンが涙と鼻水が飛び出している。

 

「サンド」


 俺の手元にいたサンドが大きな握り拳になってアニキモヒカンを吹き飛ばす。


「ガハッ!」

「きっ、貴様! 許さないぞ。俺たちモッヒーズに逆らったことを後悔させてやるかるからな」

「おいおい、逃すと思っているのか?」


 俺はサンドに命令して、モヒカン隊長を拘束する。


 どうやら後続はいないようだ。

 俺はモヒカン隊長を連れて近くの古屋へと移動する。


「あんたたちも来てくれるか?」


 女性と子供に声をかけると二人ともビクッと肩を振るわせる。

 まるで俺が脅しているように見えるのでやめてほしい。

 最初から敵意がないことを伝えて名乗っているというのに……。


「わかったわ」

「うっ、うん」


 俺たち四人は古い家の中に入って、何かないか確認をすれば、腐った野菜を見つけただけだった。

 仕方なく、マジックバックから水を出してコップに注いで、女性と子供に差し出す。


「これでも飲んで落ち着いてくれ。食べ物は持っているか?」

「いいえ」

「お腹すいた」


 俺は食べやすい白パンと、簡単な野菜のスープを提供する。

 干し肉も渡すが食べるのかどうかは、二人に任せる。


「さて、お前の名前は?」

「誰が名乗ってやるもんかよ」

「そうか、うん。俺は敵には容赦をしない。弱い奴や情けないチンピラのすることも笑って許してやる。だけど、女性や子供を虐げて、自分たちだけの利益を得ようとする奴を許さない」


 サンドが俺の心を読み取って、トゲトゲのハンマーになってくれる。


「話さないなら、少し痛い思いをしてくれ。頑丈なんだろ?」


 右腕を壊してみた。

 逃げるなら利き手が邪魔だからだ。


「ギャっ!! こういう時は足からだろうが!」

「お前に拷問の仕方をレクチャーされる謂れはない」


 躊躇なく左腕も潰す。


「ギャっ!」

「まだ話さないか?」

「こっこんなことぐらいで」

「いい度胸だ」


 俺はこれ以上を女性や子供に見せるつもりはない。


 奥の部屋に連れて行ってモヒカン隊長の体に鉱山で起きたことについて話してもらった。


 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る