第23話  ハザマの街並み

 モッティの美少女ゴーレムとしての外見制作に成功したのは良かった。

 今後の課題が多く残る結果になったとも思っている。


 今日はお休みにしてもいいなぁ〜。


 連日ゴーレムの研究と魔物の討伐で休みなく働いていた。

 人間は休まないと、体を壊してしまうから適度に休まなくちゃならい。


 それにモッティの美少女ゴーレムは、作っていて楽しかった。

 誰か女性と付き合うことはないと決めたけど、今のモッティならエルシェンたちにもブサイクなんて言わせない。


 それに俺自身も彼女を作らない代わりに、今までよりもモッティの外見はゴーレムに愛情を持って接せられるような気がしてくる。


「ヒースさん。お出掛けかい?」

「はい。今日は休息日にしようと思っているので」

「それはいいね。あれだけ毎日お土産をもらっているんだ。今日はうちからとっておきを出すから晩御飯は楽しみにしておいておくれ」

「それは楽しみですね」


 女将さんの言葉で気分を良くして、ハザマの街を散歩することにした。

 やってきてから今日まで冒険者ギルド、火の鳥亭、そして外に出る衛兵さんとしか交流を持っていない。


 ハザマの街にいつまで留まっているのか決めていないが、街の中を覚えておいて損はない。


 ハザマの街は領主や貴族といった概念が存在しない民主制の城郭都市だ。

 それぞれの地区を代表する五人がいて、彼らの話し合いにプラスして、意見がある民衆が声を上げて話し合いが数ヶ月に一度行われているようだ。


 学校、商業区の屋台街や職人街、農業など様々な地域に分かれている。


「ハザマの街って結構広かったんだな」


 扉を超えてすぐの街で、溶岩が川のように流れているので危険な場所だ。

 それでもこうやって人々が強く生きている姿を見ていると、人の素晴らしさが理解できる。


「ここは装備屋さんかな?」

「なんじゃお前は?」


 お店の中に入ると、いきなりおじさんの声がした。

 ただ、どこを見ても姿が見えない。


「えっ?」

「こっちじゃ」


 声のする方へ視線を向けると、背の低いおじさんが金槌を持って立っていた。


「お店の方ですか? 俺は冒険者のヒースと言います。この街に着て五日目で街を散策していました」

「なんじゃ、新人の冒険者か。ふむ、若いのに一人で冒険をしておるのか?」


 背の低いおじさんは、多分ドワーフだ。

 小柄な体とは思えないほど筋骨隆々としていて、鍛治仕事によって鍛えられたんだ体が凄い筋肉をしている


「はい。ゴーレム使いなんです」

「なんと! ゴーレム使いとは不憫じゃのう。不遇職であろう? しかし、ここまで一人で来たということは優秀じゃのう」


 ドワーフさんは俺の体をマジマジと見る。


「いえ、この世界に来るまでは、仲間と同じだったんです。だけど仲間の考えと違ってしまって」

「ふむ。人間など二人居れば揉めるものじゃ。一つの縁が終われば、新たな縁と出会う。そうやって人の輪はできておる。気にすることはないじゃろう」


 ドワーフさんに慰めてもらってしまった。


「ありがとうございます。今は一人になって慎重に研究をしながら冒険をしております」

「うむ。それは良いことじゃ。何事も慎重に根気良く研究することで鉄の中にある真理に辿り着ける」

「鉄の中の真理?」

「そうじゃ、我々は最高の武器を作るために鉄と向き合っておる。私は真理には辿り着けておらぬが、いつか鉄の中の真理を知りたいのじゃ」


 俺もアイアンゴーレムを作る際に鉄を使う。

 

 最近はウッドゴーレムであるモッティにかかりきりだったが、溶岩と岩の世界で、鉄はたくさん取れるはずだ。

 ウッドゴーレムよりもアイアンゴーレムの方が材料はたくさんある。


 それに鍛治として最も優秀と言われるドワーフさんを見ていれば、俺にも鉄のことが少しはわかるだろうか?


「あの仕事をしている姿を見せてもらうことってできますか?」

「なんじゃ、鍛治仕事に興味があるのか?」

「はい! 俺も鉄でゴーレムを作るんです。アイアンゴーレムっていうんですが、どうやって強度を増したり、形を整えるのか興味があります」

「うむ、若者の頼みじゃいいじゃろう。じゃがワシも困ったことがあってのう」

「困ったこと?」


 鍛治師のドワーフさんはマディスさんという。

 こちらの要望を聞いてもらうために、マディスさんの願いを聞くことで鍛治仕事を見せてもらうことになった。


「うむ。最近、鉄の入荷が少なくなっておるのじゃ。なんでも肉の供給も下がっていたところに大量にもっと来てくれる冒険者が現れたという。その者に鉄をとってきてもらえないか頼んではもらえんか?」

「わかりました。冒険者ギルドで聞いてみます。それで鉄ってどこで取れるんですか?」

「うむ。溶岩を超えた先にある鉱山じゃ。魔物が強くなっているととかで、鉄の発掘ができておらんようじゃ」

「わかりました。冒険者ギルドに確認して行ってみます」

「無理はせんでええからのう」

「はい!」


 俺はマディスさんの頼みを聞いて、肉を大量に仕入れている高ランク冒険者さんを探すために冒険者ギルドを訪れた。


 休みでも結局はここに来てしまうのは運命的な何かを感じてしまう。


「セレスさん。ちょっと聞きたいことがあるんですがいいですか?」


 すでに昼過ぎになって冒険者は少なくなっていた。

 受付のセレスさんも手が空いていたので問いかけやすい。


「はい。なんですか?」

「鉱山から鉄の供給が少なくなっていると聞いたんです」

「そうですね。最近は前い比べると減っていると思います」

「そこで、最近肉を大量にとってくる高ランク冒険者さんがいると聞いて、その方に鉄をとりにいく手伝いをしてもらえないか聞きたくて」

「あの」

「はい?」

「大量に肉をとってきているのは、ヒースさんです」

「えっ? 俺?」

「はい。なので、その場合の高ランク冒険者さんはヒースさんですよ」

「……あ〜なるほど」


 どうやら、マティスさんの依頼を受けるのは俺だったようだ。

 つまりは、鉄を俺自身でとりに行って知識を与えてもらって、アイアンゴーレムの新しい可能性を追求しなくてはいけないわけだ。


「わかりました! 俺、鉱山に行ってきます」

「あの、鉱山は危ない場所なので、お一人で行くのは」

「大丈夫です。俺にはゴーレムたちがいますから、俺一人で五人分の活躍ができます」

「ふぅ、ヒースさんは大量の肉を持ってきていただいています。評価としても信頼としても申し分ないので、止めはしません。ですが、十分にお気をつけて」

「はい!」


 俺は新たな目標を持って鉱山にいくことを決めた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あとがき


どうも作者のイコです。


やっと一体目のゴーレム美少女を出すことができました。

お話も五万字を超えて10万字まで半分を超えました。

カクヨムコンテスト9も残り二週間!


最後まで体調を崩さないように気をつけながら書き切りたいと思います!


頑張れる応援をいただければ嬉しく思います。

読者フォロワー、☆レビュー、いいねが作者の励みになります。

どうぞよろしくお願いします(๑>◡<๑)


「グウゥ!!!」




 

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