第21話 素材探し 2
火牛の肉十人前を四人で平らげて、完全にお腹いっぱいになった。
片付けは火の鳥亭の人に任せて、俺はベッドに倒れてそのまま眠りについた。
もしかしたら、またアーチェさんが来るかと思ったけど、それはなかった。
「一人でドキドキしていたな」
朝起きた時にどうなるかと思ったけど、横で寝ていたのはモフモフボディーのモッフィだった。
寝る前に、魔力増強を考えてモッフィだけは作っていた。
「何を期待してるんだろうな。自分でいく勇気もないくせに」
サウナで、女性とは付き合わないと決めたと思っていても、結局は俺がヘタレなだけで求めてしまっている。
「ハァー、とにかくレベルが50まで上がったので素材を探しに行こう」
「グウゥ!!!」
モッティが俺を慰めるように肩にポンポンと手を置いてくれる。
「サンドスケルトンゴーレムを作るからちょっと待ってくれよ」
「グウゥ!」
俺は昨日作った履歴通りにサンドスケルトゴーレムを作った。
「なっ!」
本来はボールになると思っていたら、二つの大きな胸を表したサンドスケルトンゴーレムが出来上がってしまった。
煩悩が溢れすぎているな。出来上がった物へ手を伸ばして握ってみれば、砂の感触しかない。
昨日触れたアーチェさんの胸とは全然違っていた。
「俺は何を考えてんだよ。いつの間にか俺の気持ちが反映されたんだろうか? サンド、すまないが昨日と同じようにボールになってくれるか?」
多少ガッカリしながら、ボールの形に戻ってもらった。
「うん、ありがとう。サンドスケルトンゴーレムって呼びにくいから、サンドって呼ぶな」
サンドが形を変えてグッとマークを出してくれる。
どうやらモッティの時に作った意思表示が、サンドにも適用されてしまったようだ。
「うん。気に入ってくれて良かったよ。今日は二体を召喚しながら、素材探しをするつもりだからよろしく頼む」
「グウゥ!」
二体がちゃんと返事をしてくれるのが嬉しい。
素材集めをしてから冒険者ギルドに向かおうと思ったので、早速街を出て様々な物を素材鑑定していく。
溶岩に近づかなければ、森も、海も存在するので、普段は行かない方に向かって歩いて、鑑定をしていく。
なかなか新しい素材を見つけることができない。
まだ種類としては使ったことがない物を中心に花や木の実、水や風なども鑑定してみるがうまく行かない。
森でキノコや菌なども鑑定したがダメだった。
海の海藻や珊瑚もダメ。
ここまでくると途方に暮れてしまう。
モッティは溶岩ではない場所が楽しかったのか、森で狩りをして、海でも大量に狩りをしていた。
森の魔物や海の魔物が大量に摂取できて、草花や海の幸まで普段とは違う食材が大量に手に入ってしまった。
「貝とかどうだろ?」
素材鑑定をしてみるがダメだ。
「ブー!!!」
俺が疲れて呆然としていると、モッティが警戒する鳴き声を上げた。
途方に暮れていた俺を海のハンターと言われるアリゲーターが襲ってきた!
「グアアアアア!!!」
「ぐっ! 油断した。モッティ。ありがとう」
「グウゥ!」
突然海辺から這い上がってきたアリゲーターの強襲に対処できなかった俺をモッティが助けてくれたのだ。
アリゲーターは巨大なワニで、大きな口と巨大な体が特徴的な魔物だ。
冒険者を一飲みしてしまう獰猛性を持ち合わせている。
「それにしてもさすが海のハンターだな。こっちに接近してくるのが全くわからなかったぞ。モッティの機動力がなければやられていたな」
「グウゥ!
俺はアリゲーターを解体してアイテムボックスに入れる際に皮と肉を鑑定する。
「うん?」
アリゲーターの皮は装備の素材としてかなり重宝されているからあり得るかと思ったが、そちらはハズレで肉の方が素材として鑑定結果に反映された。
「マジか、肉?」
俺は恐る恐るアリゲーターの肉でゴーレムを作ってみた。
少し気持ち悪く感じるが、肉が筋肉を構築してマッスルゴーレムを作り出す。
ただ、皮のない人体模型の赤みあるゴーレムがかなりグロい。
「戻ろうか」
骨に続いて肉は、なかなかにグロい。
「筋肉なのに血液とかないから、黒いのが余計にキモい」
それでも素材が特定できたので、今日は収穫を終えることにした。
それにいつもは肉ばかりに対して、今日は森のキノコやハチミツ、海の魚や貝、アリゲーターまで入手してしまった。
「十分な収穫だね。それに新しい素材を試してAIゴーレムを作成するのも魔力消費が激しいだろうから、ここでやるのは良くないな」
集中すると周りが見えなくなることが、最近わかった。
研究をするなら安全な場所でやった方がいい。
せめて、街の近くまで戻って、いつでも帰れるようにしておかなければ危険だ。
「レベルが50を超えたから上がるのが遅くなったのかな。昨日よりも狩りをしてくれている量は多いのにレベルが上がってない」
モッティは凄まじい活躍をしてくれている。
それにサンドも、アリゲーター以降はボクのボディガードを命じると、周辺を小さなサンドゴーレムとして警戒してくれた。
攻撃を受けると形を変えて反撃を行うので、モッティの素早い動きに対して、サンドの変幻自在の技術が見ていて飽きない。
「ゴーレムによって特徴がこんなにも違うんだ面白いことだね」
二体の戦いを見ながら、俺は街にたどり着いた。
冒険者ギルドに立ち寄って、宿でマッスルゴーレムを検証しよう。
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