第14話 レベル50

 アイテムバッグをギルマスからもらったので、モッティの性能確認のために魔物討伐に向かうことにした。

 昨日魔物を討伐したことでレベルがさらに上がって、今ではレベル45まで上昇している。


 ソロで魔物を討伐することがこんなにも効率がいいなど思いもしなかった。


「モッティ。今日は魔物を討伐したら、このバッグに入れるから、倒したら魔物を持ってきてね。今日も自由にしていいから。ただ、俺がピンチの時は助けに来てくれると嬉しい」

「グウゥ!」


 親指らしきものを立ててYESを表現してくれる。

 うん。昨日よりも随分と伝わっている感覚があってわかりやすい。


「なら言っといで」

「グウゥ!」


 モッティが飛び去っていく。

 ゴーレムが側にいなくなると急に不安になってくる。


 モッティのおかげでレベルは上がって魔力も上昇していた。。

 レベルもだが、全体的な魔力総量も上がっている。


「ふぅ、今日はモッティを召喚しながら、もう一体サンドスケルトンゴーレムを作ってみよう」


 サンドゴーレムが魔力消費は一番少ない。

 スケルトンゴーレムが単体では一番魔力消費が多く。

 

 合成した際には、サンドスケルトンゴーレムが一番魔力消費が少ないことになる。


「砂だからなぁ〜骨としての土台を持たせてもどうかと思ったけど。案外、意味があるかも」


 サンドゴーレムは砂なので、耐久性が低い。

 逆に破壊されても砂なので再生するのも簡単だ。

 

 だが、すぐに破壊されて再生を繰り返していると、どうしても魔力消費が激しくなる。それに、細かな仕事はロックゴーレムやアイアンゴーレムに比べると任せられない。


 スケルトンの骨格を持たせるとアイアンゴーレムが一番使い勝手は良くなる。


 モッティは強くて可愛いが、実際に戦闘を行わせることを考えるなら、アイアンスケルトンゴーレムを作り出す方が強さを追求できるだろう。

 

 それでは、サンドゴーレムの出番が益々なくなってしまう。


 だから、これは実験も兼ねて、サンドゴーレムに骨格を持たせることでどういう変化を遂げるのか知りたい。


 特性はやっぱり砂を生かしたまま、骨格を生かして発展を遂げさせることだ。


 そこで誕生したのが、伸縮自在のサンドゴーレムだ。


 骨格を最小限にして、核を作り出す。

 その核をスケルトンゴーレムに守らせて、その核に対して砂が集合するようにすれば、サンドゴーレムの大きさを変えられるとかはどうだろうか?


 地面に砂はいくらでも存在する。


 サンドゴーレムは人の形を維持させることの方がナンセンスかもしれない。

 スケルトンゴーレムという核を持って、大きさだけでなく形も変えられたら需要も高くなるんじゃないか?


 今まはゴーレムという人形にこだわっていた。


 だけど、AIゴーレムなら自由な発想で形を作り出して、その上で記録として残させるからいくらでも挑戦ができるな。


「グウゥ!」

「えっ? モッティ。おかえり。えっ?」


 俺はサンドゴーレムの研究に夢中でモッティが魔物を討伐してきているのに気付いていなかった。


「うわ〜、50はいるんじゃないか?」


 ファイアーバード40体、バジリスク9体、ファイアーラビット1体。


「おや? これも初めて見るな。うーん、なんだろうコレ? 牛? まさか火牛じゃないよな? まぁ判断できないからとりあえずマジックバッグに入れておくか。モッティ疲れた?」

「ブゥー」

「うん。大丈夫そうだね。怪我しているところも無しか」


 前は破損したところに魔力を流してあげるとゴーレムを修復することもできたけど、モッティは怪我もしないので、問題ない。


「もう少し狩りをしていてくれるかい? 俺はサンドゴーレムの研究をしたくてね」

「グウゥ」


 モッティは狩りが好きなのかな? パタパタと羽ばたいて飛んでいった。


 木でできているのに空を飛べるモッティは特別な個体に思えるな。

 

 さて、サンドスケルトンゴーレムのプログラミングイメージは、自由自在の形変化だな。

 大きさや形などの自由性をスケルトンゴーレムの核を軸にすることで、砂は別で変化するプログラミングを組んでいく。


 AIゴーレムに注文するようにプログラミングを組み上げれば、小さな砂の塊ができあがった。80mmぐらいの球体が俺の掌に収まる。


「えっと、これもゴーレムなのかな?」


 ボールにしか見えないサンドスケルトンゴーレムができたので、俺は近くにいるファイアーバードに狙いを定めた。


「あの魔物を倒して来い」


 そういって俺が魔物にボールを投げると、ボールは空中で槍へと変化してファイアバードを貫いた。


「へっ?」


 さらにサンドゴーレムへ形を変えてファイアーバードを運んできてくれる。


「ありがとう」


 お礼を伝えるとまたボールの状態に戻ってしまった。


「これはゴーレムだけど、俺個人としての武器を手に入れられたんじゃないだろうか?」


 サンドゴーレムとの付き合いは一番長いので、まさかこんな使い方ができるとは思っていなかった。


「うん。スケルトンゴーレムの可能性と、AIゴーレムの相性が良すぎるな」


 新たな発見を終えて集中して気付いていなかったけど、レベルが50に到達していた。


「モッティはどれだけ敵を倒したんだろうな」


 その日はマジックバッグがいっぱいになることはなかったけど、今までで一番の討伐記録を達成した。


 

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