第11話 モッティの実力
モッティの性能を確かめる意味でも、火牛を求めて、俺は溶岩近くを歩くことにした。溶岩は近づくだけで体力を奪われる。
「ふぅ、歩くだけで辛いな」
モフモフボディーでウッドゴーレムのはずなのに、モッティは溶岩の近くを歩いても平気そうだな。
「お前は十分に凄いやつだな」
頭を撫でてやると、モフモフしながら反応を返してくれる。
ゴーレムはこんなに可愛い生き物だっただろうか?
「さて、火牛とは、どこにいるのかな?」
溶岩の中を泳いでいるといっていたが、溶岩が川のように流れている。
この溶岩と岩の世界で、どこにいるのか見つけるのは確かに難しそうだ。
仕方なく溶岩の周囲を歩いていると、魔物と遭遇率が高いことに気づいた。
「モッティ、戦闘だ。お前の力を見せてくれ」
頷くモッティ。
声は出せないが、こちらの意図を理解してくれているように感じるな。
「GYAAAAA」
ファイアーバードが3体群れで襲ってくる。
いつもなら巨大なゴーレムが取っ組み合いをしているんだが、モッティで本当に勝てるのかな?
可愛いモフモフボディでパタパタと羽ばたく姿も天使のようだ。
「いけ。モッティ」
俺の命令に応えるようにモッティは姿を消した。
「えっ?」
次の瞬間にはファイアバードの3体が地に落ちた。
「一瞬? 一緒で3体を倒した?」
その3体を運んで俺の前に運んできてくれる。
ファイアーバードは二メートルを超える巨大な火の鳥だ。
それを一瞬で葬って、運ぶのも3体同時とか、ウチの子やばくないか?
「あっ、ありがとうな。俺は解体をするけど、モッティはどうする? 見張りをしておくか? それとも魔物の討伐でもしてくるか?」
俺が問いかけると、モッティは腕を動かして討伐に向かうことを伝えてくる。
うん。モッティの魔力消費は激しいが、最悪もう一体のゴーレムを召喚するぐらいの魔物は残っている。
「わかった。自分のことは自分で守るから大丈夫だ」
モッティに溶岩から離れた場所にファイアーバードを運んでもらって解体を始める。解体の仕方は、血抜きから始める。
これがしっかりとやっておかないに肉に臭みを残してしまうから、二メートルを超えるファイアーバードの血抜きをゴーレムを召喚して吊るして行う。
血抜きをしながら、吊るしたファイアーバードの毛を毟っていく。
毛を毟り終えて、血を抜き終えたなら部位ごとに全てを解体して、肉と骨を分ける。
羽根、胸、足、背中、あばらに分けて肉を畳んで葉で包む。
「ふぅ、3体の解体が終わりだな」
ドサドサドサ。
不意に物音がして、振り返るとモッティが戻ってきていた。
「うん?」
パタパタと羽根でこちらに存在を知らせるモッティ。
その下にはバジリスクやファイアーバード。
それに見たこともない魔物もいる。
「こいつは初めて見るな。兎のようにも見えるが、火牛じゃないよな」
それにしても多いな。モッティが狩ってきた量が10体ほどいたので、流石に全てを解体して、持って帰るには量も多い。
「モッティ。すまないが、全てを運ぶことはできるか?」
パタパタと羽根を動かして合図をくれる。
ふふ、どうなんだろうな。見ていると可愛くなってくるぞ。
「よし。急いで帰ろう」
解体してないから、少し肉は硬くなるが、仕方ないだろ。
「モッティ。少し急ぎたい。協力してくれ」
パタパタと羽根で合図をくれるので、急いで街まで駆け戻った。
途中で魔物に襲われそうになるが、モッティが抱える魔物が増えていくだけだ。
「うーん、このまま冒険者ギルドの入り口には向かえないな」
モッティが抱える魔物がえげつない量になってしまっている。
俺は先に衛兵さんに事情を話した。
前回のゴーレムで止められたこともあるので、衛兵さんたちには優しく理解を得られた。
ついでに衛兵さんが壁になって市民の方々を怖がらせないようい冒険者ギルドまで護衛をしてもらってしまった。
「ここまでくれば大丈夫だろう」
「ありがとうございます!」
「いいってことよ。それだけファイアーバードが取れたなら、俺たちの美味い肉が食えるからな」
衛兵さんたちは、俺の肉が目当てだったようだ。
とにかく冒険者ギルドの裏へと回ると厳ついギルマスが顔を覗かせる。
「おう、またお前かって、今回もスゲーな」
「はは。ちょっと新しいゴーレムを試していたら凄いことになっちゃいました」
「まぁいい。最近は冒険者の奴らが肉の搬入が少なくなっていたからな」
「そうなんですか?」
「ああ、魔物が強化されているのもあるが、冒険者たちのレベルが低迷しているのも問題だ」
冒険者ギルドも大変なんだろう。
俺は先ほど見つけたウサギを取り出して、ギルマスに聞いてみた。
「あの、こんなのも取れたんですが?」
「うおおお!!!!」 マジか」
「えっ? えっ? どうしたんですか?」
「こいつは火牛よりも貴重なファイアーラビットだぞ。見つけるだけでも貴重だが、その素早さで倒すのも捕まえるの高ランク冒険者でも無理だと言われるラッキー食材じゃねぇか!」
「へぇ〜そうなんですね。あの三体いますけど」
「なっ! 買取していいのか?」
「えっと、一体は俺も食べてみたいので、二体なら」
ギルマスは何故か涙を流し始めた。
「俺も生きてきて初めて食べるからありがとうな! 高値で買い取らせてもらう」
「はは、よろしくお願いします」
俺は40体ほどの魔物をギルマスに預けて冒険者ギルドを後にした。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
あとがき
どうも作者のイコです。
近況ノートにも書いたのですが、本日スマホが壊れました。
普段、パットで書いて、スマホで推敲をしているのですが、スマホが壊れたため手続きで書く時間がなくなったため、明日の小説がお休みするものが出てくると思います。
いつも楽しんで読んでいただいているのですが、申し訳ありません。
スマホが修復され次第。
通常通りに戻りますので、よろしくお願いします。
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