第2話 スキルの確認

 四つ目の門を超えたことで五つ目のスキルを手にした。


「AIゴーレム?」


 これまでもゴーレム系のスキルを習得してきた。

 まずはそのおさらいをしていく。


《ゴーレム使い》スキル一覧

 

 1、ゴーレム生成


 これはゴーレム使いとして基本中の基本だが、ゴーレムを作れる。


 土、岩、木、鉄などの素材となる物に魔力込めて形を整えてゴーレムを作り出す。

 レベルを上げれば、加工できる素材が増えていく。


 現在のレベルは30。


 不遇職と言われるゴーレム使いの中でも上がっている方だ。

 勇者パーティーの一員として、ゴーレムを使って戦闘にも参加していたからな。


 レベル1で、砂から作るサンドゴーレム。

 レベル10で、岩から作るロックゴーレム。

 レベル20で、木から作るウッドゴーレム。

 レベル30で、鉄から作るアイアンゴーレム。


 現在は四つの素材からゴーレムが作れるまで成長した。


 2、素材鑑定(一つ目の世界を渡り)


 これはゴーレムの素材として使えるかどうかを鑑定して知ることができるスキルだ。

 先ほどのレベルに応じて素材になるとわかったのは、この素材鑑定のおかげだ。


 3、能力付与(二つ目の世界を渡り)


 ゴーレムを作った上に能力を付与できるようになった。


 最初からゴーレムとして戦わせること、荷物を持たせることは出来た。


 だけど、細かな仕事を任せることは出来なかった。


 能力付与によってプログラムを組めるようになったのだ。


 普通の付与は、サンドゴーレムに魔法を発動させるとかしかできないそうだ。

 だが、俺は転生前の知識としてロボットに対してプログラムを組めば仕事をさせられることを知っている。

 

 そこでプログラムを組めないかと念じてみれば出来た。

 プログラム画面が現れて空中にキーボードでタイミングまで行える。

 ロックゴーレムの形を作った後にどんな仕事をさせるのかプログラミングを組めば、細かな仕事もできるようになった。


 これにより複雑な動きも可能になって、馬車を引いたり、夜中に魔物が襲ってきた時の見張りをしたり、器用なことができるようになった。


 これは俺としても大幅な躍進を遂げたと思っている。

 それでも見た目はゴーレムに違いはない。

 砂や岩ではな、どうしても手先の器用なことはできない。


 4、合成素材作成(三つ目の門を渡り)


 合成素材は、素材鑑定で素材となる者同士の合成ができる。

 

 だが、正直な話。


 今まで上手くできたことはない。

 砂と石を合成してもちょっと大きい石になるだけだ。

 木と鉄を合成した時はメタルウッドという変な素材になったが、レベル不足でゴーレムにできなかった。


 正直、意味がないスキルをゲットしたと諦めかけていた俺は今回の門を渡ることに期待していた。


「それがAIゴーレム? 意味がわからん」


 とりあえず詳細を見れば、ゴーレムのボディーをAIが作成してくれるそうだ。

 デザイン関係の仕事にもついていたので、AI画像なら聞いたことはあるが、あれも学習させてやっと可愛い女の子とか、カッコいい男なんかを画像として生成するものだったはずだ。


 もしかして、そういう類いなのかと思って、試しに可愛い女の子とキーボードでデザイン案を打ってAIゴーレム生成をしてみた。


 素材は近くにあった岩だ。


 出来上がったのはロックゴーレムなのが、確かに小柄な見た目をした女の子になった。

 

 ただ、可愛くはない。


 目と口の中が空洞になった、小学生ぐらいの女の子などホラーでしかない。

 ただ、今までのゴーレムよりは人間に近いゴーレムが出来上がった。

 今まではどう頑張ってもドデカい二メートルは超えるゴーレムが最小だった。


 だが、可愛い女の子をAIゴーレムがどう判断したのか知らないが、小さな女の子のゴーレムが出来上がったわけだ。


「これはAIの学習を続ければ、高性能なゴーレムボディーが作れんじゃないか?」


 ただ問題があるとすれば、使えるゴーレムの素材だな。

 いくら可愛く見えるゴーレムを作っても、砂や岩じゃホラーにしかならない。


「つまりはレベルを上げなくちゃ意味がないってことだな。この世界は溶岩と岩ばかりだから、暑い。野宿しても病気になることはないだろうから、金も無いし一晩野宿してみようか? まずは魔物を討伐して冒険者ギルドに持ち込んでレベル上げと金稼ぎをしよう」


 目的を決めた俺はロックゴーレムを二体召喚して魔物討伐を始めることにした。

 暑い地域にいる魔物はバジリスクやファイアーバードなど、熱帯地区に生息する魔物だ。


 こいつらがどれくらいの値段で売れるのか知らないが、ロックゴーレムたちは暑さを感じないように熱さ耐性の能力付与をしておけば、いくらでも倒してくれる。


「ふぅ、今までは経験値をあいつらに分配していたからな。一人で狩りをしたらどれくらい経験値を貰えるんだろうか? ゴーレムたちが倒してくれても俺の経験値になるから、効率は絶対今の方がいいはずだ」


 今までは強い勇者とその仲間を育てるために、あいつらにも経験値を分けるためにトドメを任せていた。


 ゴーレムはタンクとして壁役と抑え込むばかりしていたな。


「ゴーレムたちよ。お前たちも倒したかったよな。すまん」


 ゴーレムは四体まで同時に召喚できる。

 魔物を討伐するようにプログラムを組んでおけば不眠不休で倒してくれる。

 寝ていてもゴーレムは俺の魔力を勝手に使って動き続けるからな。

 むしろ、俺は一体のゴーレムに護衛を任せて寝る方が魔力の消費を少なくできる。


「うあ?」


 追放されてから、その足で門を渡ったので、相当疲れていたようだ。

 ぐっすりと眠ってしまっていた。


「ふぅ、よく寝たな。どれどれ?」


 ゴーレムたちには資金調達も兼ねているから魔物は集めておくように伝えてある。


「えっ?」


 俺を襲ってきた魔物も見張りのゴーレムが倒しているので、四体のゴーレムが倒した魔物は山を築いていた。


「おいおい、これだけの魔物を倒せるぐらいお前らって強かったのかよ」

 

 ところどころ傷を負っているゴーレムもいるが、俺が触れて魔力を流してやると傷は治って全回復したゴーレムが立っている。


「ハァ〜これだけ倒したらさすぐに宿代ぐらいにはなるだろ」


 俺は近くの街まで全ての魔物をゴーレムに持ってもらって運んでいく。


 途中で、自分のステータスを確認するとレベルが40に達していた。


 一晩寝ただけでレベルが10も上がるなんて前代未聞だ。

 これまで一年かけて旅をして30までしか上がらなかったのに、ソロで攻略することが、ここまで効率がいいとは思いもしなかった。


「ありがとうな」


 心がないことがわかっていても、俺はゴーレムたちにお礼を伝える。

 心なしか、ゴーレムたちが嬉しそうな気がしたのは気のせいだろう。

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