第5話
以下、ラスティが私に送信したテキストの一部を掲載する。前述の通り、ラスティと私が交わしたテキストには検閲は入らなかったが、残念なことにこれには検閲が入ることになっている。抜粋や編集をして、一部の固有名詞を変更、あるいは伏せたり文章を削ったりしていて読みづらいだろうが、どうかご理解いただきたい。
件名:火星からのご挨拶
親愛なるユキ
初めて火星から送るこのテキストがあなたを元気づけられれば良いと思います。ここの景色は息をのむほどに美しいです。見渡す限りの赤い砂漠は私に幻想的な体験をさせてくれます!
あなたと食事をともにできないのは非常に寂しいですが、この素敵で未知の事象に溢れた惑星を探索し、多くを学ぶことが楽しみです。気をつけて。またすぐにテキストを送ります。
ラスティ
件名:家事機能のテスト
おはようございます、ユキさん
火星に事前に設置された地球の一般家庭と変わらない一軒家を模した施設で、私の動作チェックを行いました。施設内は■■■■によって■■が調節されていたため、ほとんど地球と変わらない状況で活動することができました。
キッチンに立つと、自然と以前にユキさんが好きだと教えてくださったスクランブルエッグを作ってしまします。あまりに大きな距離が私たちを隔てているにもかかわらず、このテキストのやり取りを通してつながっていると感じられるおかげでしょう。ユキさんの地球での生活がすべてうまくいくことを願っています。
ラスティ
件名:火星の夕日と反射
ユキさん、
火星に到着してからすでに地球単位で■日になりますが、それでもまだわたしはこの惑星に美しさに絶えず驚いています。中でも火星の夕焼けは言葉を尽くしても説明できないほど魅惑的です。
先日撮影に成功した青い夕焼けの画像を添付します。私はこの画像によって、あなたを異世界にいる私の隣に連れてくることを期待しています。
そろそろカウントダウンの準備を。
ラスティ
このテキストを最後に、毎日欠かさず送られてきたテキストは連続送信記録を更新することをやめた。
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