第46話 文化祭当日
☆☆☆執事メイド喫茶は大盛況
文化祭当日。着慣れていない執事服に袖を通し文化祭が始まった。
「おかえりなさいませお嬢様(イケメンスマイル)」
池谷の力で大量の客が押し寄せていた。
「「「「「きゃ~~~~~池谷様~~~~」」」」」」
正直言って、俺達はおまけなので適当に給仕していればどうにかなる。池谷目当ての女性が集まっているため列整理をしている最中だ。というか、池谷目当ての客多すぎるだろう。二百人はいるぞ……
「ただいまの執事メイド喫茶は二時間待ちとなっています。今の時間からお並び頂いても間に合わない可能性がございます」
イベントスタッフもやったことがあったので、列整理は出来る。
「ええぇ池谷君に会えないの? 私池谷君目当てで文化祭来たんですけど~!」
……だからアイドルかよ。
そのまま適当に列の整理を続ける。喫茶の方でトラブルがあれば対応し、列のトラブルも対応。
忙しい。これ、真子との文化祭デート間に合うかな……
「武野~~! 茶葉が切れたんだけど!」
「武野~~~! 客同士が喧嘩始まってる! どうにかしてくれ!」
「「「「武野~~~~」」」」
川上もなんかデータデータ言って役に立ってないし……
くそ、負担が俺に集中している。雑用係としてこき使われ続けた。
池谷は相変わらず出ずっぱりで女子にキャーキャー言われているし、鈴木もずっと山本のメイド服見てテンション上がっている。
待機列もまだまだ続いている。捌けない……そろそろ交代の時間なんだけどな。
あぁ、真子とデートしたい。真子とデートしたい。真子とデートしたい……
そういえば真子のクラスはお化け屋敷やるんだったな……でも、真子お化け役やらないって言ってたし……
真子がお化け役だったら絶対可愛いだろうなぁ……でも、それを他の男に見せるのは嫌だからいいのか……
駄目だ。真子成分を得てないから禁断症状が出て来てる。
無心で喫茶店を回していく。終わるまで終わるまで……いつになったら終わるのだろうか……
そんな時だった。
「悪い遅刻した……! 今日はビルの屋上から飛び降りようとしている猫がいてそれを救出しようとしたら……!」
遅刻マスター秋山が駆け付ける。執事服に袖を通し何事も完璧にこなしていった。
ほんとこいつ……遅刻すること以外は完璧なんだよな。
「武野。事情はよく分からないけど俺に任せて先に行けって」
秋山になら任せられるだろう。
「じゃ、俺は抜ける。用事があるんだ……」
真子との待ち合わせの時間まであと少しか……もう着替えてる暇もないので執事服のままでいいか……目立つけど……文化祭なら大丈夫だろう。
そのまま、大勢の人を掻き分けて待ち合わせ場所へ向かう。
☆☆☆文化祭デートへ
「先輩~~~はわわわわ! そ、その恰好は……!」
真子は準備係だったため文化祭当日仕事はないので制服のままだ。だからこそ俺が執事服なのだけど。
「ごめん。クラスが混んでて来るのに遅れた……格好もこのままだし」
「先輩のクラスが大盛況なのはこちらにも伝わっていますから、気にしないでください。良いな先輩に奉仕されたい……あ、先輩執事服凄く似合ってます……かっこいい~~~うわぁ~~~かっこいいですぅ……」
真子は俺の執事服に釘付けになっていた。これだけで執事喫茶やった甲斐があったものだ。よし……真子が言っていたんだから……
「……お嬢様。それでは参りましょうか」
ここで山本さんから教え込まれた執事の所作が生きてきた。真子に手を差しだす。頭を下げて……
「せせせせせ……先輩!?」
「今日はさ、こういう格好だから……真子専用執事ってのはどうかな。今日はお嬢様だから我儘言ってくれていいんだよ」
「……む、むむむむ無理です。死にますから私……先輩かっこ良すぎますからぁぁ! 反則です!」
「ダメ。今日は真子がお嬢様だから……こういう時しかできないし……私が仕えたいのは真子お嬢様だけですよ」
「ぴゃぁ……ぴゃ……ぴゃあぁ……ほ、ほんとうに、せ、先輩が私の……執事って……最高過ぎます……それじゃあ、お願いしますねせんぱい……」
普段は手を繋いでるけど今回は執事らしく、隣で姿勢を正して歩く。
「お嬢様本日はどちらへ向かわれますか?」
「あわわ~か、かっこいい~~~えっと、それじゃあ、私達のクラス。お化け屋敷行きませんか」
「承知いたしました。真子お嬢様。どんなことがあっても私がお嬢様のことをお守りしますよ」
「せんぱい~~~~~」
そのまま真子のクラスへ向かった。
〇〇〇待機列
先輩の執事服かっこ良すぎます……かっこいい……かっこいい……元々かっこよすぎる先輩なのだけど、執事服を着てると言うのが反則。
普段よりも凛々しい表情をしていて……素敵すぎる……
そんなかっこいい先輩が私に仕えてくれるって……その、正直に言えば私が先輩をお金で買ってやりたかったことでもあった。(引かれるからしていなかったが)
私自身お化け屋敷を作るのに携わっているため、どういう配置か知っている。一切怖くないのだけど……これを利用して先輩に守ってもらいたい。
抱き着いたりしても合法だ。だって、カップルなのだから……
列はそこそこ並んでいる。先輩と隣で一緒に待っていた。
「真子お嬢様。お化け屋敷は平気でございますか?」
全然怖くない。
「そ、その、少し怖いです……だから、そのしがみついちゃうと思うんですけど……だ、大丈夫ですか……?」
「お構いなく。お嬢様を守るのが私の使命ですから……ところで真子お嬢様は幽霊役をなさらないのですか?」
先輩は執事のため言葉崩さないが訳すと『どうしてお化け役やらないの?』と言っている。
「その、やろうとしたんですけど、佐奈川さんからNG出されまして……一応写真は撮りましたよ……」
と、佐奈川さんとの自撮りを先輩に見せた。すると一瞬先輩がいつもの顔になる。
「……! かわっ……おおっと、こんな可愛らしいお姿の幽霊であれば、いつまでもお屋敷で滞在してもらいたいものですね」
先輩が執事っぽく褒めてくれているぅぅぅぅ!
「じゃ……取り憑いちゃいますね……うらめしや~です」
「……っぶぉ……! ま、真子お嬢様。容易く他人を恨んではいけませんよ。もし恨んだり取り憑くのであれば私限定にしてください」
「はい。先輩に一生取り憑いちゃいます~~~」
先輩はいつも私の欲しい言葉を言ってくれる……反則過ぎる……
「と申しましても、私より先に逝去なさることなど許可しません。真子お嬢様には長生きしてもらわないと困ります。一生お仕えするつもりですので」
「せんぱぁい……」
もうそれプロポーズですよ……当然受け入れますが!
すると、私達の番が訪れた。
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