第45話 文化祭準備期間

☆☆☆準備期間で


文化祭まで一週間を切り準備が始まった。


出し物は正式に執事メイド喫茶となり。男子は執事服。女子はメイド服を着用した。


そして男子と言えば、山本さんが執事の所作を徹底的に叩きこんでいる。


「良いですか。執事たるもの主人に絶対服従なんです! 常に主人のことを考え、主人のために行動することこそが執事! 特に主人がピンチの時に颯爽と駆け付けて……」


眼鏡の山本さんはやばい人だと分かった。適当に流しながら所作を真似ている。要は飲食店を真似すればいいんだ。


文化祭なのでそこまで本格的な執事を求めているとは思えないし、執事やメイドはあくまで内輪で盛り上がるためのコスプレだ。


「武野君! もっと主人のことを想わないとだめ! ほら私に……鈴木君も! もっと私を敬いなさい! お嬢様って……私は姫よ!(ふふ……この状況逆ハーレムじゃん)」


最低限の接客さえできればいいんだよ。プロじゃないんだから。


「お嬢様。私は本当に仕えるべきと判断した主人にしか、心を預けることはできません。残念ですがそのようなサービスは行えません」


こういう感じで適当にあしらっておく。すると山本さんは悔しそうな顔をした。


……というか、真子に執事として買われてたらこんな感じなのかな……


それはそれでいいかもしれない。真子の部屋とか掃除したいし、ご飯とかも作りたい。今度お願いしてみようかな。


実際真子はお嬢様みたいなもんだ。稼ぎ方がプロゲーマーなだけで、かなりの額を稼いでいる。


「な、なあ……山本って意外と可愛くねぇか? 胸でかいし……」


……鈴木……マジで? でも、山本さんを押し付けるのは良いかもしれない。確かに山本さんメイド服着てると胸目立つけど、別に俺自身胸の大きさを気にしたりとかはしない。


「……アタックしてみたらどうだ? 執事キャラ完璧に演じられたら可能性あるかもよ。しっかりと所作を教えてもらえば話す機会増えるだろうし、きっかけで連絡先聞いてみれば?」


「……武野良い奴だなお前……おう! 俺頑張るぜ……今度こそ彼女作って見せる!」


そのまま鈴木は山本さんの執事指導を受ける。よし、これで押し付け成功だ。


「きゃ~~~池谷くん~かっこいい~~」


「お嬢様。そのような声を出してはいけませんよ、淑女は静粛に普段私が教えてますよね(イケメンスマイル)」


相変わらず池谷はイケメンであった。女子のハートは皆池谷に向かう。


「「「「きゃゃ~~~~~~」」」」


〇〇〇お化け屋敷


先輩の執事喫茶が楽しみ過ぎる。だって、先輩が執事ってもう考えただけでよだれが出てきますし……当日まで見ないでほしいって言うのも……正直やばい。


絶対かっこいい……妄想の中でもかっこいいのに……


「柴橋さん~~そこのもう少し残酷にしてもいいと思うよ~~~うらめしや~~~」


そう、私達の出し物はお化け屋敷。私は人を脅かすなんてことできないので準備に勤しんでいた。


ちなみに佐奈川さんはお化け役をしているので、白装束に包帯と血糊が付いている。正直に可愛い。全然怖くない。


「わ、私が残酷にしちゃうとその、モザイク出ちゃうから……というか、佐奈川さんお化けでも可愛いね」


ホラーゲームも好きなのでグロテスクは平気だ。


「ありがと柴橋さん~う~ら~め~し~や~~~~~~お化けだぞ~~~」


「可愛すぎてう~ら~や~ま~し~~~~」


「柴橋さ~ん」


「佐奈川さ~ん」


と、文化祭の準備は凄く楽しかった。


「今時間あるし柴橋さんもお化け役やらない? 衣装まだあるからさ。先輩さんとの会話のネタになるかも!」


「やってみようかな……お化け……」


「うんうん! やろうよ! ウィッグは……髪そのままいけるね!」


そのまま佐奈川さんにメイクをされる。鏡で見ると髪はそのままでも十分お化けみたいだ。元々髪長いし……白装束と血が似合う。


「佐奈川さん。もっと血は本物っぽくしたいから……こうして……こうして……ほら、こうしたらなんか目の出血してるみたいでグロテスクだよね」


「じゃあ私のこと脅かしてみて! いったん出るね~」


鏡で見るとかなりグロテスクな見た目になっていた。流石私……ホラーゲームの思い出を照らし合わせればこれくらい余裕だ。内臓飛び散らそうかな……流石にダメか……


佐奈川さんにお化けを見てもらおう。よし……ホラーゲームで経験した全テクニックを使うんだ……どうすれば相手が不安に思うのか、どうすれば恐怖を増幅できるか!


佐奈川さんが教室に入ってくると、私はブリッジをして、頭を揺らしながら佐奈川さんに近づいて行った。


「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”……あ”!あ”!あ”!あ”!!!あ””!!あ”””!!!!」


デスボイスを吐く……楽しいこれ……!


「ぎゃああああああああああああああ! 本物が出たぁぁぁあ!!!!」


「あれ? 佐奈川さーん! 私だよーーーー!」


全力で佐奈川さんは逃げ出した。


「ごめん。佐奈川さん……わ、私つい……」


「い、いや……文化祭のお化け屋敷だと思って入ったら藤Qの変率迷宮と思うぐらい重圧的で恐ろしい声出してきたから……正直漏れるかと思った……怖すぎる……」


「そ、それは褒めてるってことだよね」


「ほ、褒めてるけど……柴橋さんメイク怖すぎる……本格派にやるわけじゃないから……先輩さんに今の姿自撮り送れる?」


先輩が同じように悲鳴を上げて逃げられたら正直死ねる自信しかない。


「やめとく……普通のお化けメイクに戻す……」


「そうしよう。ねぇねぇ一緒に写真撮ろうよ!」


その後普通のメイクに戻してもらい写真を撮った。


「先輩さんとお化け屋敷入ったら抱きついたりしちゃうの?」


怖い怖いって抱き着きたいな……あぁ今からワクワクしてきた。


「うん! 抱きついちゃう!」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る