第34話 恋人初デート!

☆☆☆一緒に食べよう


柴橋と一緒に神社を巡る。人混みなのでそもそも何を食べたらいいんだろうか。焼きトウモロコシか? 正直お腹空いた。串焼きとか食べたい。


「柴橋は巡りたい店あるか? 屋台色々出てるけど……チョコバナナとかソースせんべいとかいっぱいあるよ」


「え~っと……あ、そこにある金魚すくいとかやりませんか? 私やったことなくて!」


「金魚食べるの!?」


「え? いや金魚すくいですけど……」


「え……あ、悪い金魚すくいか! うん一緒にやろう!」


やべぇ判断ミスした。食欲に支配されていた……


「もしかして先輩。お腹空いてたりします……?」


「うん。まぁでも先に金魚すくいやろう……」


すると腹が鳴ってしまう……


「ごめん……滅茶苦茶お腹空いてる……」


「いえいえ、先輩が食べてる姿見るの大好きなので……(お腹鳴ってる先輩可愛い……)」


「え、食べてるところが? そんなにいいものかな?」


「はい! そ、その先輩ってお肉好きですよね。ほんと美味しそうに食べている姿がかわいくて……あ、すいません……先輩に可愛いなんて失礼ですよね」


男として可愛いって言われるのはどかと思うけど……正直お腹空いているのは事実だし……


柴橋が俺の食べてる姿を好きだと言ってくれるのはありがたい。


「分かった。謝らなくていいからさ、でも一緒に食べたいから、柴橋も好きなものが良いな」


「そうですね……なら、綿あめとかどうですか? そこにありますし」


柴橋が綿あめ食べてる姿を想像する。浴衣に白いふわふわした綿あめ……最高に似合う。夏祭り最高!


「柴橋……絶対可愛いじゃん……」


「そ、そそそそ、そんなことないですよ! 先輩が食べてる姿の方が可愛いですから!」


一体何の張り合いなんだ……


☆☆☆一緒の綿あめ


柴橋と一緒に屋台に並んだ。店員のおっちゃんは流石プロだ。綿あめ機内で割りばしを延々と回している。


「へいらっしゃい!」


「一本お願いします」


綿あめを一本注文する。


「あいよ!」


「あれ、先輩二本買わないんですか?」


柴橋が首をかしげた。


「柴橋と『一緒』に食べたいからさ」


一緒の意味を柴橋は理解してくれたようだ。


「あ、せんぱぁい……『一緒』に食べましょう……」


「兄ちゃんたちお熱いね~~~ちょっと大きめに作っといたよ」


「「ありがとうございます」」


少し大きめの綿あめを受け取った。二人で空いている場所に腰を掛ける。人の流れを見ている。やはりこうしてみてると浴衣デートをしている人たちが多いな。


「……じゃ、一緒に食べようか……」


「は、はい……先輩」


俺から提案したけど、滅茶苦茶思い切ったな……どうしよう。


やばい、柴橋と顔近いし緊張する……柴橋の頬真っ赤になっている……


「せ、せせせ先輩から、ど、どうぞ……」


「え、俺から?」


「あ、は、はい! 『お願い』します……」


「いや、もう恋人同士だし『お願い』出来ないから……でも、いただきます! 美味い!」


先に俺が綿あめを口にした。すると柴橋も……


「いただきます……あむ……甘くて美味しいですね……」


二人で綿あめを頬張る。


「「はむはむはむ……」」


あぁ……やばい。柴橋の食べ方可愛い……一生見てられる。


「うぉっ!」「ぴゃあ!」


一緒に食べてれば綿あめがなくなってくる。そうなれば自然と頬同士が触れ合うのだ。


柴橋の頬めちゃ柔らかい。マシュマロみたいだ……


「先輩……もう一回しませんか……ほっぺ……」


「うん……」


綿あめを食べながら頬同士が触れ合う。うわぁ……これ最高だ……むしろ柴橋の方から頬をすりすりしてくる。ワンコみたい……可愛すぎる……


「先輩……先輩……好き……大好きです……」


「……俺も好き」


「せんぱぁい……」


柴橋が胸元に抱き着いてきた。


「先輩……す~は~先輩の匂いです……少し汗の香りもします……」


何度も胸元で息をしている……いや、嗅いでいるのか……


「え? 柴橋。俺汗かいてるし……臭いかもしれないから、そんな嗅がないで」


臭いとか言われたら普通に死ねるんだけど……


「汗でも好きな匂いですから……すーはー……先輩好き……この匂い好きです……ずっと嗅いでられます……」


付き合ってから柴橋の甘え方がやばい。でも滅茶苦茶恥ずかしい。


「柴橋って……匂いフェチだったりするの……?」


「そうかもしれません……す~は~……癖になりそうです~」


「あ、あのそろそろ離れないか? 嫌とかじゃなくて……その周りの目が凄く気になるんだ……」


周囲で俺達を見ている人がちらほらいた。当然その人たちから俺達は周りを気にしないバカップルだと思われていることだろう。そしてその視線に柴橋も気付いたようだ……すると忽ち顔が赤くなり……


「……っぴゃ! わ、わわわわわ、私何をして……ごめんなさい。こんな外で先輩に抱き着くなんて! 付き合ってそんな経ってないのに凄く馴れ馴れしいですよね……はぁ……」


すると柴橋は落ち込んだ。多分恋人の距離感を掴めてないんだ。それは俺も同じだけど……


「その、二人きりなら……構わないから。むしろそうやって甘えてこられるの凄く嬉しい……」


照れてる顔が見られてたくないので隠した。


「せ、先輩……それズルいです……今すぐ二人きりになりたくなります……」


上目遣いをされる。


「俺にとっては柴橋がずるいよ。なんでそんな可愛いんだよ……」


「うぅぅ……」「ぴゃ……」


柴橋の顔も両手で抑えていた。


「そ、そうだ。食べ終わったから。金魚すくいやろう」


無理矢理話題を変えた。


「そうですね……」


そのまま俺達は金魚すくいがある場所へ向かった。

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