第27話 プールで遊ぼう!

☆☆☆柴橋と流れるプール


準備体操を終え、柴橋と一緒にプールへ入る。かなり汗をかいていたので冷たい水が気持ち良い。


プール初心者の柴橋はまず水に慣れて貰う必要があるので、メジャーな流れるプールに入った。


しかし、流石夏本番なだけあって、プール内はかなり人が多い。これだと泳ぐことはできない。


「レジャープールだからガチで泳ぐことはないと思うけど……柴橋はプール経験あまりないよね」


「つ、冷たい……涼しい……そ、そうですよね。小さい頃に学校のプール入っただけですから、こ、怖い……溺れたら死んじゃいますよね……」


なのにプール行こうとしたのか……


「流れるプールってホントに流されちゃうんですかね……私一瞬で連れ去られそうです……」


「お客さんの安全確認できないとやらないよ……でも、この人の多さだからさ……はぐれる可能性があると思うんだ……」


こ、このぐらいなら許されるだろう。柴橋に散々腹筋触られたんだ。仕方がないだろう。仕方ない。柴橋の手首を握るんだ……


「ぴゃっ! せ、先輩……手首……握って……」


細く白い綺麗な手首だ……


「は、はぐれたら大変だから……な」


駄目だ。拒否されたりしたら死ぬ。かなり柴橋驚いているし……振り払われたら……


「……先輩……『手』を握ってください」


「……い、いいのか?」


「はい。『お願い』します……先輩……」


「う、うん」


自然に……自然に……そっと、柴橋の手を包むように握る……柴橋の手小さいんだな。指も細いし綺麗だ……


「せ、先輩……ぴゃ~~~~……」


「い、痛くないか、強く握りすぎてるかも……」


「だ、大丈夫です。先輩の手大きいけど優しく握ってくれていますから……先輩……えいっ……」


すると柴橋が握り返してくれた。


うわ、なんだこれ……すげぇ、手握るのってこんなに心が満たされるのものなのか……


というか、暑さにやられてか柴橋も積極的になっていないか?


……今女子の手を握っているんだよな。普通に考えたらこれ恋人がすることだろう。


あぁ……最高だ。この時間。正直ずっと柴橋の手握っていたい。


プールの勢いで流されていく。距離も長いのでその間柴橋と手を繋ぎ続けた。


口は開かなかったけど、俺が少しだけ強く握ると、柴橋が同じように強く握ってくれた。


それがまるで会話の様で、心拍数バクバクで顔すら見ることもできなかったけど、楽しかったんだ。


離れずにゴールへ着くと上がる。


「み、水には慣れたか……?」


「は、はい……先輩が手握ってくれたから離れないで済みました……ありがとうございます。先輩……」


「うん、じゃ、じゃ……し、柴橋?」


名残惜しいけど俺から手を放そうとするが……柴橋はずっと握ったままだ。


「も、もう少し繋いでほしいです」


上目遣いやめてくれ……それ反則だから。


「お、俺の手ならいくらでもいいけど……」


「……先輩……ありがとうございます」


正直泳ぎを教える目的を既に忘れていた。だって、柴橋とのプール滅茶苦茶楽しいもん!


〇〇〇先輩と乗るウォータースライダー


どうしよう。先輩と手を握る時間が素晴らしすぎて泳ぎを教えてもらうという名目のもと先輩にボディータッチしまくる計画が頓挫してしまっている!?


このままではフェーズ2に移行できない。


でも、先輩と手を握ってる時間も最高だから、このままでいいのかな……


というか、本当に先輩の水着姿かっこよすぎる……やばい。鼻血出そう……


「柴橋。絶叫マシンとか平気か?」


絶叫マシン。遊園地にもいかないので、得意かも分からない。


でも、先輩が行きたいというのなら、私はどこにだって付き合う。ずっと手を繋いでいたいので……


「は、はい。多分平気だと思います……先輩は」


「ここはウォータースライダーが凄いって聞いたんだけど、結構スピード出るから、慣れてないなら」


先輩が指した先には結構な高さがある。え、そこから落ちるの……


「行きましょう……」


大丈夫。私はどんなスピードのゲームだって反応できる。ウォータースライダーの速度なんて大したものじゃないだろう。


う、うん。行ける……行ける。大丈夫だ。


「怖かったりしたら無理しなくていいんだぞ。高いところ見た瞬間顔青ざめていたし……」


「……その、怖いと思ったのは本当です。でもそれは絶叫系アトラクションに乗ったことがないので……その……ごめんなさい……あそこまで高いのは正直に言えば怖いです……」


先輩乗りたそうにしていたのに、私のせいで乗れないなんて……


「だから、先輩が一人で乗ってきてくれれば……」


でもそうすると、先輩と繋いでる手が離れてしまうけど……仕方がないか。


「俺の方こそ無理させてごめん。それなら、あそこにあるファミリー向けのやつ行かないか?」


「え、あ……」


すると、隣には親子で乗っているウォータースライダーがある。速度も出てないし、楽しそうにはしゃいでいる子供が印象に残った。


「柴橋が絶叫マシン初めてならさ、もしかしたら好きになる可能性もあるわけで……もし、苦手なら本当に遠慮しなくていいけど……」


先輩。私のために凄く優しい。ファミリー向けの奴なら私も怖くない。


「あのくらいの高さなら怖いって思わないです。その先輩一緒に乗りましょう……」


「うん。溺れたりとかしないし。もし溺れても絶対に守るから」


え……


「っぴゃあ……」


声が漏れてしまう。守ってくれるって……え、えぇ……そんなこと急に言われても……反則過ぎる……


「ちょっと……それ……かっこ良すぎますから……やめて……」


「え……あ……悪い俺何言ってんだ……ごめん」


手を繋いだまま私達はウォータースライダーに向かう。


「カップル二名様入ります~」


せ、先輩とカップルだと思われてる~~~


そのままボートの後ろに先輩が座る。子供向けとは言っても思ったより高かった。


「柴橋。大丈夫か?」


「は、はい……初めてなので緊張しちゃって」


「振り落とされることないと思うが……肩掴んでおくけどいいか?」


「ぴゃぁ……構いません……」


先輩がかっこよすぎて、絶叫マシンの恐怖がなくなってしまった!


そのまま、私達はボートに乗り下りていく……


あれ、全然怖くない。むしろ……楽しい……


「ぴゃぁぁ~~~~~~」


「柴橋!」


肩が強く握られた。え、やばい……これやばすぎる……


「ぴゃぁぁぁぁ~~~~~~~」


「柴橋ぃ!」


そのまま滑り降りると、プールに無事付いた。


「はぁ……はぁ……」


「柴橋大丈夫か?」


「楽しかったです! それに、先輩が守ってくれるって言われたから、安心しましたし……これ、凄く好きです!」


そして、私は絶叫マシンが平気だった。むしろ滅茶苦茶楽しい……このスリルを味わえるのはかなり好みだ……


「よかったぁ……柴橋が楽しんでもらえたら凄く嬉しい」


「私に勇気を与えてくれてありがとうございます。先輩が絶叫マシンの楽しさを教えてくれたから……その、好きなものがまた一つ増えました! それで先輩! 一番高い奴乗りませんか! 今の私ならいけますから!」


そのまま、名物のウォータースライダーへ向かう。

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